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MIRAIプロジェクト関係者によるブログです。

MIRAI生の研究成果について「在宅医療における外国人患者とのコミュニケーション~現状から改善策を考える~:小林美奈さん」

2024.01.10研究関連

この度、MIRAI生の小林美奈さんが、以下のとおり研究成果を発表しました!

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発表日:
 2023/10/01

区分:
 口頭発表

発表した学会:
 日本ヘルスコミュニケーション第15回学術集会  日本ヘルスコミュニケーション学会誌特別号2023

題目名:
 在宅医療における外国人患者とのコミュニケーション~現状から改善策を考える~

概要:
 【背景】日本は総人口が減少する一方で、外国人住民の人口が増加し続け、300万人に迫り日本人口の2%を超えたと推計されている。海外富裕層をターゲットとする国際医療、医療通訳の育成事業に国が尽力し、支援体制を整えてきた。対照的に日本に住んでいる外国人住民は、医療通訳に頼める体制がなく、言葉の問題や文化の相違が原因となり、医療現場でトラブルを起こしていると度々報告される。特に在宅医療の場合の外国人患者とのコミュニケーションは、研究の蓄積が少ない中、その実態も分かりにくい。本研究は在宅酸素療法を受けている中国人住民の高齢者患者を対象に、治療中のヘルスコミュニケーションについて調査を行い、その問題点を明らかにすると改善策を考えることである。
 【方法】在宅酸素療法は医師、看護師、酸素供給業者、介護士、患者とその家族等多くの人が関わる在宅医療の一つであり、多くの高齢者患者がその恩恵を受けている。本研究は在宅酸素療法において、2019年から2022年にかけて、中国人住民の高齢者患者4人と日本人高齢者患者2人の事例を調査した。そのヘルスコミュニケーションの状況を検討した。
 【結果】1.片言の日本語しか話せない中国人高齢者患者(3人/4人中)の在宅酸素療法は、ヘルスコミュニケーションができていない状況で治療が行われている。2.日本人高齢高齢者患者(2人/2人中)が積極的に治療に取組んでいる事に対して、中国人高齢者患者(3人/4人中)は治療の不理解、不協力。3.不理解によって、中国人高齢者患者(3人/4人中)は、治療を拒否し、医療従事者にハラスメントを与えた。4.中国人高齢者患者(4人/4人中)は自分のかつて中国での経験で日本での治療を判断している。5.医療チーム内の情報共有にずれがあり、中国人高齢者患者の不安を募らせた。
 【結論】外国人住民の高齢者は、在宅医療を受ける際、ヘルスコミュニケーションが機能してない実態が存在する。その際、医療通訳の同行などの対応が必要である。また、医療チーム内のコミュニケーション問題、患者による医療従事者に対するハラスメントの問題も顕在している。現状から改善策を考え、文化や社会背景を配慮し、理解のあるヘルスコミュニケーション体制を構築することを提案する。「未知なる不安」に対応するヘルスコミュニケーションの観点から、超高齢化社会の地域医療の推進においても外国人住民の多様性を配慮し、対応すべきである。

発表内容を研究しようと思った動機など:
 本研究は、蓄積の少ない在宅医療分野のヘルスコミュニケーション研究において、事例研究としてのエビデンスを提供し、貢献したいと考えている。