8月2日に2023年度前期最後のMIRAIゼミが実施されました。

担当者は朱さん、國末さん、洪さんです。

今回のゼミのテーマは「教育」。
アウトリーチや共同プロジェクトなど、研究と社会との接点を模索するようなテーマが多かったMIRAIゼミですが、教育を中心に据えるのは初めてでした。
今回、教育に注目した理由について、3人は次のように語っています。

  • mirai合宿でのkakoゼミの報告を聞き、それぞれの過去を共有しつつ、未来に向けて何かを作り上げる活動をしたい;
  • 実際に教える立場に回った際に、ついモデルとしてしまう先生の授業など、過去から原体験として残っているものが誰しも少なからずあるはずなので、それを言語化してみたい;
  • 属人化してノウハウや経験談が共有されにくかったりと、個人作業になりがちなシラバス構想を協働して考える機会をつくりたい;
  • 6月14日に行われたProject MINTの植山さんのご講演で、21世紀型教育の重要性を学んだ。このイベントを通じて学んだことを実際にどのように授業に落とし込むことができるか考える機会にしたい。

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(↑まず洪さんから今回の企画に至った経緯が説明されました)

ゼミはPART1とPART2の二部構成でおこなわれました。

具体的な個人の経験を思い起こし、そこからキーワードを抽出するPART1。
PART1のキーワードに基づいて、具体的なシラバス案を考えてみるPART2。
具体と抽象とを行き来しながら、それぞれが描く「これからの教育」を形にしていきます。

PART1は「わたしの教育史」と題して、これまで受けてきた教育の中で、印象深かった瞬間をそれぞれ振り返りました。
ワークシートも活用して、個人的な経験談を5W1Hに分類してみることで、ただの記憶や批判に留まらず、良かった点悪かった点を多角的に捉え直すことができました。
各々の経験を付箋に書き起こしつつ、それらをグルーピングしてみることで、アイデアを整理し、一般化してもらいました。
それぞれの体験に紐づく共通する感情や、思わず共感してしまう授業への不満など、意見交換は次第に熱を帯びていきました。
付箋を使ったグルーピングでは、全員が自然と立ち上がって作業を進め、熱量を存分に感じられるワークになりました。

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(↑3つのグループに分かれて、教育に係る経験を共有します)

Part2 では、本学の基礎演習を題材に、具体的なシラバス案をグループごとに考えてもらいます。
ここでは2つのトピックについてディスカッションしてもらいました。

  1. 基礎演習で教えられる3つの技能(①論文などの要約、②プレゼンテーション、③小論文(レポート)の執筆)を身につけるために、どのような知識や技能が必要か
  2. 3つの技能から1つ選び、それをどうやって具体的に教えれば良いか(1コマの授業計画案を練る)

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(↑それぞれアイデアを出し合って、1つの授業計画案にまとめ上げていきます)

ゼミを担当した洪さん・國末さんから、それぞれ振り返りのコメントです。

(洪さん)まず、過去の振り返りパートでは、皆さんそれぞれユニークな思い出をお持ちで、非常に面白い話が伺えました...! そうした個人の記憶を改めて掘り起こし、さらにそこから授業のアイデアに昇華できたことが、今後MIRAIのメンバーが教育に携わっていく可能性もある中で、貴重な蓄積になったのではないでしょうか。 また、私は今年度からMIRAIに参加したところだったのですが、個人的に気になっていたテーマをこうしてゼミとして形にすることができるというのは、非常に新鮮な体験でした。裏話的な部分にはなりますが、一緒に企画を進めた國末さんの俊敏な実行力(素早いミーティングの調整も然り、つい実現化となると二の足を踏んでしまいがちだった私を、できるよ!と前向きにリード、そして実際に要素てんこ盛り状態だったものを90分のゼミの形に持っていくことができるなんて、当初は想像だにしなかったです...!)、経験豊富な朱さんからも、全体の整合性を俯瞰した部分から、資料の細部にわたるまで非常に鋭いご指摘をたくさん頂き、学ぶことの多い準備期間でした。改めてお二人にも感謝したいです。 反省点についても、時間配分などもっと事前に検討しておけたら、という部分がまだまだたくさんありますが、是非後期に活かしていけたらと思います。

(國末さん)博士課程に所属するMIRAI生にとって、研究成果を社会に還元する一つの形として教育はある。今回のゼミでは、ディスカッションを通じてこれまで経験した教育を共有し、個人作業になりがちなシラバス構想を協働して考える機会を設けた。ゼミを通じて、個々人が一人の作業では得られなかった気付きを得ることができた。教育経験の共有では、異なる専攻の授業内容、授業形態の話を聞くことができ、専門の異なる学生が集まるMIRAIゼミの強みを改めて実感した。 今回のゼミでは、教育をテーマとし授業内容を構想したが、このゼミの運営自体が授業計画について学ぶ機会となった。MIRAIゼミの運営は、大学の一コマ分の授業を考えることに相当するため、博士課程の学生にとって、授業の構想を具体化する非常に貴重な機会であると感じている。時間配分やゼミの目的の共有不足が今回のゼミの課題として挙げられたが、これらは、あらゆるイベント・授業を進行する際に課題となる点である。今回のMIRAIゼミで得た気付きを様々な場で活用していきたい。