MIRAIプログラム・コーディネーターの青井です。

2023年6月21・28日の2週にわたって、共同プランニングセミナーを実施しました。

サイエンスコミュニケーターとして活躍されている岩尾奈津実さんを講師としてお招きし、チームでプロジェクトを進めるポイントを学ぶためのワークショップをしていただきました。

この記事では、セミナーを企画する発端になったMIRAI生の宮本さん・小林美奈さんのインタビューを通して、当日の活動を振り返ります。

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アイスブレイクで「呼ばれたい名前」を決めた

ーー今日は2回にわたっておこなわれた共同プランニングセミナーについて、参加者であり企画者でもあった宮本さんと小林さんに、インタビューをしていきます。まず1週目のワークショップについて、印象に残っていることはどんなことですか?

宮本:ワークショップに入る前に、グラウンドルールの紹介があったことでしょうか。

小林:楽しく発言できるような雰囲気を作っていただきました。

ーーワークショップ本編に入る前にも、すでに学ぶところがあったのですね。

小林:そうですね。冒頭のアイスブレイクも印象に残っています。「呼ばれたい名前」を決めたのが面白かったです。

ーー「呼ばれたい名前」っていうのがいいですよね。普通に名乗るっていうのじゃなくて。「呼ばれたい名前」を最初に決めたのには、どんな効果があったと感じますか?

小林:(その場に)親近感が生まれたと思います。

宮本:名前って、その人との親密さによって結構変わる気がします。地元で呼ばれてる名前があれば、家族に呼ばれてる名前もあって。大学院に来ると友達でも大体苗字で、さん付けじゃないですか。それに慣れすぎちゃってて、下の名前で呼ばれるのはちょっと違和感があったりしたんですけど、距離を詰めるというか、話しやすい関係でワークを進めるのに、「どう呼ばれるか」ってやっぱり関係していたのかなって。

小林:アイスブレイクの時に「最近のニュース」を話したのも良かったです。

宮本:良かったですよね。「先週何しましたか?」とか、近い記憶をシェアするのが楽しかったです。みんなのエピソードを聞くのも。自分が面白いと思ったことを伝えるのは、みんな好きですよね。

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もう一歩進んだ話を促してくれたファシリテーション

宮本:岩尾さんのファシリテーションがすごく印象に残っています。アイデアをどんどん広げていく中で、それをまとめてくれる人がいるっていうのは、やっぱりすごくいいなぁって思いました。(岩尾さんのファシリテーションがあったおかげで、)問題が共有できただけじゃなくて、もう一歩進んで解決策についても話し合えて、すごく良かった。

ーー「アイデアをまとめてくれる」っていう役割を担う人がいてくれたことで、どんなことが良かったですか?

小林:頭の中でいろいろ考えてぐちゃぐちゃになってしまったものを、キーワードにして付箋に貼っておいたら、整理整頓してくれたっていう感じです。キーワードを付箋にしただけでは、自分一人で整理ができなくて...

宮本:一つのことに集中できるのがいいなって思いました。岩尾さんがまとめ役を担ってくださったので、安心して考えることに集中できました。(グループに分かれて作業するときは)じゃああなたたちはこのグループでやってみてください、と作業分担も決めてくださったので、負担を感じずにすみました。

ーー先ほど宮本さんから、問題を共有できただけじゃなくて、もう一歩進んだ話ができたというような話がありました。

宮本:はい。いつもは問題を可視化して、例えば、こういう考えが多いんだなっていうのはわかるんですけど、その先に繋がっていかなくて... 今回は岩尾さんが、図を書いて、どうやって解決に向かってやっていけるかっていうステップを細分化してくださって。

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ーー岩尾さんのファシリテーションを実際体験してみて、ファシリテーションについてどんな新たな学びや気づきがありましたか?

宮本:「話しやすい環境を作る」ということです。

小林:「ストレスを感じさせない」っていうところがすごく良かったなと思います。岩尾さんのワークショップは、最初からあまり緊張も感じず、楽しく参加できました。自分たちがもし何かを主催するときにも、ああいう風にやりたいです。

ーー岩尾さんのワークショップが「ストレスを感じさせない」ものになったのは、何があったおかげだったと思いますか?

宮本:(参加者が)何も構える必要がないっていう雰囲気を感じました。MIRAI生同士でいつもおしゃべりしてるところに、一人新しい方が来たみたいな感覚で。あと、内容が難しすぎなかった。いろんなことを一度に言われるとか、いろいろやらされるってわけではなくて、私たちが楽しくできる範囲のことを提示してくれました。それもポイントかなって思います。

小林:自分の中にすでにあるものや、今の自分ができることを整理してもらっただけでも、自分たちのことについて、いろいろ気づくものありました。

宮本:それと、やっぱり「聞く力」がすごく重要なのかなって思います。発言からその人の意図を汲み取ったりだとか、新しく出会った人と早く打ち解けたりだとか。考えを汲み取って、同じような問題意識を持ってお互いに対話ができるような土台を、どうにかして作るっていうような仕事を(サイエンスコミュニケーターとして)されているのかなー、って思いました。

セミナーの内容を次につなげる

ーーオンライン・セミナーで印象に残っていることは何ですか?

宮本:「アイデアとは何か」という話です。アイデアって、新しいものを考えなきゃって気になりがちですけど、すでにある知識の組み合わせだというのを聞いて、その通りだなって思いました。それから、どういう意図でこの(ワークショップの)活動をしていたのかっていうのが、「心理的安全性」などのキーワードでまとめられていて、なるほどなーって。ワークショップを受けたときに自分が実際に感じていたことを、しっかり説明してくださいました。

ーー今回のワークショップとセミナーとを踏まえて、こういうことに活かせそうだな、とか、こういうのやってみたいな、とか、そういうのはありますか?

宮本:地元(沖縄)に帰って、自分の研究をワークショップ形式で伝えるとか... そういう時に活かせるのかな。体験を軸にして、ストレスなく、ハードルも高くしないような雰囲気作りは、ぜひやってみたいなって思います。

小林:私が今回のワークショップを通じて学んだのは2つです。視点が揃っていないと、話題が噛み合わなくなるということ。そして問いが大きすぎると、答えることにハードルが生まれるということ。こういうことに気をつけないと、(話し合いの)失敗につながるんですね。

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振り返ってみて

ーーインタビューを終えて、今回のセミナーの感想を改めてお二人に伺いました。

宮本:修士課程の頃を思い出すと、コロナ禍でしかも上京したばかりで親しい友人がいない、さらに大学院という場をよく知らないといった状況で、誰かと話すということが非常に少なかったように思います。こうした生活をしている中で、人前で話すということも難しく感じるようになりました。

   博士後期課程に進学しMIRAI生になってから、MIRAIのゼミでパワーポイントを準備してワークショップをやってみたり、他のMIRAI生と合宿に行ったり、岩尾さんのようなプロのファシリテーションを学ばせて頂く中で、人前で話すことの抵抗感がいつの間にか無くなったように思います。

   それは自分にとっては成長を実感できることでした。これからは次のステップに向けて、岩尾さんのファシリテーションのように、自分だけではなく、ワークショップ参加者が発言する抵抗感や緊張感を感じない、楽しい場づくりができるように努力をしたいと思います。本当にありがとうございました。

小林:7月末にMIRAI生で企画した合宿があるので、そこでのワークショップに早速実践してみたいと思います。学んだことをどのように活かせるか、私自身も楽しみにしています。岩尾さん、ありがとうございました。