2023年5月28日、高校生を対象とした体験授業が本学でおこなわれ、MIRAI生の國末薫さんが特別授業を担当しました。

この記事では、國末さんによる当日のレポートをお届けします。

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東京外国語大学大学院博士後期課程の國末薫です。

私はフランス語学を専門としており、主にフランス語の談話標識について、話し言葉コーパスを用いて研究を進めています。

今回は、本学を志望している受験生に向けて、体験授業を行う機会を頂きましたので、当日の様子について報告いたします。

これまで大人数の高校生を前に講演する経験がなかったため、緊張と期待の入り混じった心持ちで準備を進めました。

授業を準備するにあたって、高校生に外国語学習の面白さと言語研究の最前線について知ってもらうことを目的としました。

特に、昨今の言語研究では、データに基づいた実証的研究が進められている点を高校生に伝え、言語研究の裾野の広さを提示したいと考えていました。

そのような背景から、授業を3つのパートに分けました。

1つ目のパートでは、フランス語に関するQ&Aセッション、2つ目のパートでは、基礎的な挨拶表現の発音コーナー、
そして、最後に、大規模コーパスを活用した挨拶表現の研究例の紹介という内容で構成し、高校生の言語研究への関心を高めることを意識しました。

当日は、「データを使った言語研究?ーコーパスを使ってフランス語の面白さに触れよう!ー」という題目のもと、
100名近い高校生を対面とオンラインで迎えての授業となりました。

お互いに緊張の面持ちの中、Q&Aや発音の時間を設けたことで、程よくアイスブレイクすることができたように思います。

特に発音パートでは、細かい発音は気にせず、フランス語の音を聞いて、真似をすることを意識してもらい、会場全体で参加する一体感を得られました。

コーパスを活用した挨拶表現の実例については、高校生からも鋭い質問や感想をいただきました。

全体を通じて、参加した高校生から沢山の感想をいただくことができましたが、中でも、「フランス語への興味が湧いた」、
「コーパスを自分でも活用したい」などのご意見を多く頂けました。

また、授業後に行われた質疑応答では、予想を上回る沢山の質問をいただきました。

大学院生活に関することのみならず、東京外国語大学を選択した理由、フランス語に興味を持ったきっかけについて質問を受け、
久しぶりに大学受験当時のことを思い出しながらお話させていただきました。

さて、準備の段階で特に力を入れたのが、授業で使用するスライドの作成です。

スライドの作成にあたっては、3名の方よりご助言をいただきました。

まず、MIRAIトークの経験者である小林真也さんから、小林さんが使用されたスライドを共有していただきました。

これを基に、30分の講演で必要なスライドの分量について、具体的に理解することができました 。

また、高校生にとってアイスブレイクになるような内容があると良いとアドバイスをいただきました。

当日の高校生の様子を見ていると、このアドバイスは非常に有難いものでした。

また、スライドの第一稿が出来上がった際に、現在高校教員として勤めている友人にスライドを見てもらい 、フィードバックを得ました。

現役の高校教員の方からのアドバイスで、高校生への講演方法について学びました。

当初作成したスライドでは、コーパス言語学に関する説明部分が多かった点を指摘してもらい、フランス語がどんな言語であるのか、
高校生が参加しながら分かる内容にした方が良いとの助言を受けました。

そのため、フランス語に関する基本的な Q&A やフランス語を発音するパートを作り、高校生がより主体的に参加できる授業内容に変更しました。

このパートを付け加えたおかげで、単なる研究紹介ではなく、高校生が能動的に参加できる体験授業を行うことができたと思います。

最後に、MIRAIコーディネーターである青井隼人さんにスライドを見ていただき、デザイン面での修正を行いました。

最後の過程では、デザインの統一性を意識し、見やすく分かりやすいスライドになるように心がけました。

現在私は、高校でフランス語を教えていますが、生徒が毎回の授業で感じていることを知る機会は限られています。

今回の体験授業は、準備した内容に対して良かった点や改善点を、高校生の感想から具体的に知ることができる貴重な経験でした。

また、高校生に大学院での学びを提示する機会を得たことで、自分の研究内容を異分野の研究者や一般の方に紹介する術を学ぶ契機になりました。

最後になりますが、このような機会をご紹介いただいた入試課の皆様、MIRAI推進室の皆様、ご協力いただいた皆様に厚く御礼申し上げます。