【終了】2025年度多文化共生シンポジウム 「多文化多言語の子どもたちの未来を拓く『現在地』と「これから」 -公立高校入試の『自治体間格差』をなくすために-」
2026.03.31
2026年3月8日(日)、多文化共生シンポジウム「多文化多言語の子どもたちの未来を拓く『現在地』と『これから』-公立高校入試の『自治体間格差』をなくすために-」を、対面およびオンラインのハイブリッド形式にて開催いたしました。
現在、多文化多言語の生徒に対する公立高校入試での配慮は、自治体間で大きな格差が生じています。本シンポジウムは、この実態調査に毎年取り組む「外国人生徒・中国帰国生徒等の高校入試を応援する有志の会」との共催により実施され、格差改善に向けた「現在地」を共有し、課題を可視化することを目的としました。
開催1週間前には参加申込者数が定員の350名を上回り、本テーマに対する社会的な関心の高さがうかがえる会となりました。
シンポジウムの趣旨説明のあとは、「第Ⅰ部・現在地」と題したセッションへ。リレートークやテーマ別の座談会を通じた熱を帯びたクロストークが行われ、地域ごとのリアルな状況について理解を深め合う時間となりました。
リレートーク
左から
伊東 浄江さん(NPO法人トルシーダ)
宮本 茂生さん(NPO法人外国から来た子ども支援ネットくまもと)
白谷 秀一さん(NPO法人多文化フリースクールちば)
本堂 晴生さん(NPO法人Gコミュニティ)オンライン参加
進行:高橋 清樹さん(認定NPO法人多文化共生教育ネットワークかながわ)
テーマ別座談会・パートⅠ
左から
三田 眞理子さん(こおりやま日本語教室)
石津 みなとさん(公益財団法人石川県国際交流協会)
山本 紀子さん(ひょうご外国ルーツのこどもネットワーク)
進行:吉田 美穂さん(NPO法人ひろだい多文化リソースルーム)
テーマ別座談会・パートⅡ
左から
青木 由香さん(NPO法人アレッセ高岡)
吉田 美穂さん(NPO法人ひろだい多文化リソースルーム)
安藤 州一さん(香川まるがめ子どもにほんごひろば)オンライン参加
「第Ⅱ部:活動の進化と深化」においては、国の最新の動向について担当課長よりご説明をいただきました。続いて、有志の会による最新の入試調査結果を報告し、国の施策と現場の実態を重ね合わせることで、現状理解をより一層深める時間となりました。
最終プログラムとなる「第Ⅲ部:これから」では、多文化多言語の若者の声を聴くセッションを実施しました。近年、文部科学省の調査においても「日本語指導が必要な日本国籍の児童生徒」の著しい増加が指摘されています。本セッションでは、当事者である東京外国語大学の現役学生に登壇いただき、その経験談から子どもたちが直面している実態への理解と共感を深めました。
さらに、首都圏中国帰国者支援・交流センターのサイトの運営方針変更により、有志の会が取り組んできた調査について今後は公開ができなくなるという事態と、これまで同センターが実施・管理してきた重要な情報が失われかねないというご相談を受けて東京外国語大学多言語多文化共生センターがその一切を引き継ぐことになった経緯を報告するとともに、新しいウェブサイトのお披露目を行いました。
多文化多言語の若者の声を聴く
左から
小川 花さん(東京外国語大学1年)
白石 棋仁さん(東京外国語大学4年)
聞き手:小島祥美さん(東京外国語大学)
有志の会・世話人
右から
高橋 清樹さん(認定NPO法人多文化共生教育ネットワークかながわ)
安場 淳さん(首都圏中国帰国者支援・交流センター)
小島 祥美さん(東京外国語大学多言語多文化共生センター)
<参加者の声(事後アンケートより一部抜粋)>
- プログラムの流れが、この分野の歴史をコンパクトにまとめてくれていました。また、登壇者の方々の発言が要点をおさえており、とてもわかりやすかったです。さらに、文部科学省の方も型通りではなく、内容のある発言で希望を持ちました。
- 地域による違いがあることはよく言われていても、その実態を一度知る機会はなかなかないので、今回は貴重なお話を伺うことができ、感謝申し上げます。
- 参加者登壇者全員が、元気と勇気をもらったと思います。構成がすごく良かったです。
- 各地域の現状、文部科学省の方針を伺うことができたこと。特に、枠校や特別枠をただ設けるだけでは課題の解決になっていないということにハッとさせられ、改めて、地域においてどのように伝え、連携や体制構築につなげていくかを考えなければならないと思いました。
- 学生が昨今の排外主義に不安を感じていたが、今日のようなイベントから勇気をもらえたと聞いた時、このイベントの意義を深く感じました。
- 文科省釜井氏のご発表は、ご自分の言葉での発言もあり、とてもよかったです。希望が感じられました。
- 多文化多言語の大学生の体験談(高校入試や高校生活など)をもっともっと聞きたかった(もっとも良い企画だった)。
- 全国各地で様々な取り組みがされていることを知ることができ、また日頃課題だと思っていたことが皆様のお話でクリアになりました。高校の適格主義的な考え方については、私自身の勤務校の現状と合わせて考えても歯痒く感じることがあります。ですが、様々な立場の方が声をあげ、地道に活動されてきたことで、少しずつ変わってきたのだということもわかりました。多文化多言語の子どもたちの高等学校での学びについて共通の思いを持っている方が大勢いらっしゃることに勇気をいただいたので、自分自身にできることをこれから考えていきたいと思います。
- 当事者の大学生の方が「会場やオンラインで、こんなにたくさんの人が自分たちのような人を応援したり関わってくれているんだと感動した」とおっしゃっていましたが、実際の現場でも当事者の方々が、支援を直接している人だけでなく世の中には、こんなにたくさんの人たちが、自分たちのことを気にかけてくれているんだと感じられるような仕掛けがあると、何らかの励ましというか、勇気というかを与えられるのかなと思いました。
当センターでは今後も、このようなシンポジウムや研究活動を通じて、多文化多言語の子どものことばを育て、学びを支える取り組みを続けてまいります。
