第1回講演 「アメリカの黒人」とは――文学を通して考える

第1回目のテーマは「アメリカ研究から見たBLM運動」で、講演者は、長年アメリカ文学や文化を研究されてきた本学名誉教授の荒このみ先生です。

※講義動画はアーカイブされますので上記URLから後日でもご覧いただけます。

講演者

荒このみ名誉教授

講演タイトル

「アメリカの黒人」とは――文学を通して考える

日時

2020年10月21日(水)17:40~19:40

Zoomウェビナーでのオンライン開催

プログラム

1.開会と講演者等の紹介 司会:武内進一教授 (0:00)
2.本連続セミナーの趣旨説明 中山研究担当副学長 (1:36)
3.講演:「アメリカの黒人」とは――文学を通して考える 講演者:荒このみ先生 (5:46)
4.コメント コメンテータ:沼野恭子教授 (1:06:26)
5.質疑応答 (1:42:38)
6.閉会 司会:武内進一教授 (1:58:44)

全体コーディネータ:中山智香子教授

備考

使用言語:日本語

参加費:無料

事前申し込み必要(定員500名。本学学生優先。先着受付順。定員に達した場合参加をお断りさせていただくことがございます。)

共催

多文化共生研究創生WG、総合文化研究所

参考文献

  • 荒このみ著『マルコムX:人権への戦い』岩波新書、2009
  • 荒このみ著『黒人のアメリカ:誕生の物語』ちくま新書、1997
  • キング、マルコムX、モリスン他、荒このみ編訳『アメリカの黒人演説集』岩波文庫、2008
  • ゾラ・ニール・ハーストン(Zora Neale Hurston)著、松本昇訳『彼らの目は神を見ていた』新宿書房、1995(原題:Their Eyes Were Watching God)
  • トニ・モリスン(Toni Morrison)著、大社淑子訳『白さと想像力:アメリカ文学の黒人像』朝日選書、1994(原題:Playing in the dark)
  • トニ・モリスン(Toni Morrison)著、大社淑子訳『青い眼が欲しい』早川書房、2001(原題:The Bluest Eye)
  • トニ・モリスン(Toni Morrison)著、吉田廸子訳『ビラヴド』早川書房、2009(原題:Beloved)
  • トニ・モリスン(Toni Morrison)著、荒このみ訳『「他者」の起源』集英社新書、2019(原題:The Origin of Others)
  • Nella Larsen. Passing. Dover Publications. 2004.
  • ラルフ・エリスン(Ralph Ellison)著、橋本福夫訳『見えない人間』ハヤカワ文庫、1974(原題:Invisible Man)
  • リチャード・ライト(Richard Wright)著、野崎孝訳『ブラック・ボーイ(上・下)』岩波文庫、2009(原題:Black Boy)
  • W・E・B・デュボイス(Dubois)、木島始他訳、『黒人のたましい』岩波文庫、1992(原題:The Souls of Black Folk)

参加者の声

  • 荒先生のことばの力に圧倒された講義でした。平易なことばでわかりやすく展開されていましたが、強いメッセージが伝わってきました。
    沼野先生の解説のおかげでポイントを再度整理できましましたし、最後の「ことばを破壊する鈍感な権力者への異議申し立て」のようなまとめには感銘を受けました。
  • BLMについて文学を通して考えるという視点は非常に新鮮で入ってきやすかったです。特にトニ・モリソンの言葉は格別に強烈で自分の耳の愚鈍さを糾弾してくるように思えましたが、だからこそ、現在の問題がより立体感を持って迫ってきました。
  • 期待の二十倍くらい?!素晴らしかったです。文学、芸術、教育の大切さ、自ら積極的に学んでゆく姿勢、かみしめました。
  • 黒人だけがアフリカ系アメリカ人であってただのアメリカ人とは呼ばれないという話を聞いて確かにそうだと気づいてはっとしました。
    BML運動はなんとなくアメリカでのことだと考えてしまって、大坂なおみ選手がインタビューで彼女の行動からそれを見た人たちが何をうけとったのかが重要だと言っていた時もどちらかというと全世界というよりアメリカ人に言っているような気がして自分の問題として考えることができませんでした。でも今日の質疑応答で日本にも差別の問題はあるし、だれもがそういう問題を抱えているという話を聞いて、正直東アジア系の人以外はなんとなく自分とは違う人たちだと考えてしまうような傾向がわたしにもあるということに気づきました。でもそういう違和感をそのままにして、避けてしまうのではなくきちんと向き合っていきたいと思いました。
    また、トニ・モリスンが読者に考えさせるために難解な表現を使っていたという話を聞いて、本を読んで違和感を感じたとき、分からなかったときちゃんと立ち止まって考える癖をつけたいと思いました。
  • BLM運動という言葉を日本で聞かなくなって久しいですが、日本では途中からひたすらに一部の黒人たちの暴力的な行為のみを取り上げて、その前の背景的な話はほぼされてきませんでした。本講義を通して運動そのものの再認識、そしてそれ以前から連綿と続いてきた黒人の運動について新たに知ることができたのはとてもうれしく思います。本当にありがとうございました。

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