今から数年前、2019年9月にゼミ有志で沖縄合宿を行った。前半で石垣島を訪問し、潮平正道さんから「戦争マラリア」に関するお話しをうかがった。ちょうどその少し前、ゼミ生が新聞やテレビの報道で潮平さんとその活動のことを知り、ぜひともお目にかかりたいとしてアポイントメントをとったのだった。現地で潮平さんは資料館の展示を説明してくださり、またご自身が描かれた絵をいくつもお持ちになって、ていねいな説明をしてくださった。もうすぐ東京でも展覧会をするかもしれないというお話しもうかがって、詳しく決まったらぜひお知らせくださいと話したのだった。
その後、当時合宿に行ったメンバーは卒業したり就職したりし、翌年2020年からのコロナ禍で都道府県をまたぐ移動が制限されて再訪も果たせず、三年弱が過ぎた。それで先日、T新聞の報道で「故」潮平さんの「遺作展」が開催されていることをようやく知ったのであった。潮平さんは2021年4月に亡くなられたとのこと。何も知らず、何もできなかった無力感に苛まれる。展覧会は赤羽の青猫書房で18日までとのこと、せめて見に行きたいと思う。
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もう一つは、拙ブログでも何度か書かせていただいた辺見じゅん『収容所(ラーゲリ)からの遺書』のことだ。これまたコロナ禍で中断してしまった企画だが、ちょうど2020年のはじめ頃だったか、外語会の数名の方から、外大出身者たちの戦争について考えるものをやりたいので協力してほしいと、お話しをいただいたのがあった。そのプランの中で、上記の一書は主人公が外大出身者という話しをうかがった。しかし同書は、外大との関わりがあってもなくても胸を打つ作品で、ゼミ生や周囲の人々などに勧めたものだ。うかつな当方はそんなこともまた忘れてしまっていたが、先日本屋に行ったら、なぜかこの本がとても目立つところに置いてある。何事かと思ったら、今実写で映画化が進んでいるとのことである!こうした良書がふたたび注目されるのは、とても嬉しいことだ。
コロナの感染は、まだ収束したとはいえないが、わたしたちは少しづつ、止まっていた時間を取り戻しつつある。取り戻すこと、変わること、変えるべきこと。うやむやにせず確認しながら、歩みを進めていきたい。