« あきらめない | メイン | 連呼・連呼・人波・人波・人波 »

「復帰」40年の沖縄・慰霊の日に

「復帰」40年の沖縄・慰霊の日に合わせて先の週末、日本平和学会の大会が沖縄大学で行われた。拙ブログで書いたが初日23日午前中には知り合いのたくさん出ているセッションもあり、非会員でも参加できるとのことだったので、行ってきた。このセッションを聴けるよう前日に沖縄入りしたため、22日晩の首相官邸前デモに居合わせることができなかったのは残念だったが、わが友人や知り合いが数々参加しており「どうも4万人とかいるらしい」というメール情報が来たときには、驚きと喜びに目を見張った。翌日の発表(さすがにマスメディアも取り上げた)によれば4万5千人、これはこれは。この一年余りでデモが普通に行われるようになったのは大きな変化だが、3.11直後から「毎週金曜日18時、首相官邸前」というきわめてわかりやすい規則性で地道に声を上げてきた人々の思いが、ついに実を結んだのである。今週はさらに増えるだろうが、久しぶりに都合がつくので行きたいとおもっている。ちなみにはるか熊本でもこれに合わせてアクションがあるという知らせをいただいた。少しづつ多くの人びとが声を上げ、手をつなぎ始めている。なんだかとてもステキだ。

さて、平和学会である。初日午前中のセッションは「基地と原発」の問題をつなぎながら地域社会を考えるというテーマであった。

20120623a.jpg

3つの個別報告はそれぞれ別々のテーマで、興味深い諸論点は出たものの議論の収斂は難しいかと思われたが、我が大学時代の恩師N川先生が実にざっくりと重要な論点を示してまとめあげた。お見事!
大会は二日目24日にも沖縄をテーマとした大変充実したセッションが二つあり、また二日間にまたがった分科会にも沖縄関連のものがいくつもあったので、これらを回るだけでかなりの収穫、とてもよい充電となった。非会員二日参加して300円。チーン(旅費はかかったが実質的収支決算は大幅に「黒字」)。いや申し訳ないっす。今度入会します(;)。

さて今回の沖縄出張のもう一つのポイントは、7月14日のゲストN里さんにお目にかかって打ち合わせをさせていただくことだった。N里さんから、ちょうどその日は慰霊の日記念イベントに出演しているからとお誘いいただいたので、セッションを聴き終わって街へ出た。県庁付近では沖国大・琉大の若者たちが「オスプレイ配備反対」と旗を掲げ、チラシを配りながら叫んでいる。そういえば平和学会の会場でも、6月17日の大規模反対集会@沖縄を報じた新聞を壁に張る学生さんを見かけたが、かなりの熱気である。横目で様子を見ながら「ジュンク堂」の特設会場へ。沖縄の詩人・思想家川満信一さんの朗読ライブである。ここにN里さんが掛け合いで合流するという。はうーん、なんと超豪華な組み合わせ!

ジュンク堂の地階にはなんとかいうディスカウント・ショップが入っているそうで、そこへ向かう家族連れの土曜午後的行楽的雰囲気は、沖縄戦の死者たちへの壮絶な思いを語るにはとても不釣り合いな喧噪をたえず生み出していたが、川満さんもN里さんも意に介さず、密度の濃い語りや朗読を展開する。後半には川満さんの飄々としたユーモアも全開で、集まった聴衆は大満足であった。
20120623b.jpg

ライブが終わると、川満さんの個人誌『カオスの貌』第8号刊行記念のサイン会。N里さんの御新著にサインをもらう人もいた。当方も川満さんのサインをいただいた。えっへっへ サインに「喫茶去」と書いてあるので調べたら、「お茶でも飲んでいきなさい」すなわち日常即仏法 という禅用語らしい。そういえばライブの途中にも、宮沢賢治を例にひきながら、詩を書く者にはなにか背骨のようなものがないと単なるイマジネーションになるとおっしゃって、お経の一節を示す場面があった。言葉に肉薄するこの詩人の拠って立つところが垣間見える。沖縄と「日本語」、消えゆく島クトゥバと思想的自立の問題は、7月14日イベントの焦点である。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
https://www.tufs.ac.jp/blog/mt6/mt-tb.cgi/13281

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

About

2012年6月26日 21:54に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「あきらめない」です。

次の投稿は「連呼・連呼・人波・人波・人波」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。