2004年度 集中講義 (大阪市立大学)


文化理論 (第1部)


日時

2004年8月9日(月)-12日(木)

場所

大阪市立大学 文学部棟1階 比較言語文化情報処理実験室(128)


授業計画


(以下は履修概要掲載の内容です)

講義内容

 「文化」の概念が、時代や国により、どれほど異なったものとして形成されてきたかを考察する。このことは、単に過去の概念の歴史にすぎないのではなく、われわれがある「文化的」産物(文字テクスト・芸術・都市・振る舞い・言語・衣服等々)をとらえる視線に関わっている。つまり、われわれがある文化的産物を研究の対象としようとするとき、それをどのような枠組みのもとに「文化」としてとらえようとしているのか、その枠組みは自分の内にどのように形成されてきたのか、ということを批判的に検証することでもある。
 はじめにできるだけ広い視野から概念史を概観するつもりだが、講義全体としては、とりわけ次の二つに重点をおく。
1.19世紀西欧(特にドイツ)における「文化」概念の形成。また、その連関において、明治以降の日本の西欧「文化」の移植、「教養主義」の展開。
2.20世紀後半の「文化」概念の転換。とりわけ、「カルチュラル・スタディーズ」など知の編成の転換とそこでの「文化研究」の実践のさまざまなあり方。
文化概念をめぐる問題は、おそらく文学部のあらゆる学生にかかわる事柄であり、出席する学生の所属コース、研究分野も視野に収めつつ、それに関連させながら話を進めていくつもりだが、なかでも特に、卒論でしばしば現代の多様な文化現象に取り組む「表現文化コース」での「文化研究」とはどういった位置づけをもつものなのか、ということに焦点をあわせていく予定である。

参考書

特に重要な文献として以下のものをあげておく。(特に最後のものは入手して読んでおくことが望ましい。)
・高田 里恵子 『文学部をめぐる病―教養主義・ナチス・旧制高校』松籟社 2001
・竹内 洋『教養主義の没落―変わりゆくエリート学生文化』 中公新書 2003
・グレアム ターナー『カルチュラル・スタディーズ入門―理論と英国での発展』作品社 1999

その他の参考文献や授業計画については、以下のサイトに掲載