活動報告

Activity Reports

センターの活動報告です

東京外国語大学国際日本研究センター 比較日本文化部門主催 『農本主義をめぐる磁場ー歴史とそして現在』(2017年3月17日)

●日時 : 2017 年 3 月 17 日 (金) 15 : 00 ~ 17:00
●場所 : 東京外国語大学 本部管理棟 中会議室
●発表者 ・ 講演者
・ 野本京子氏 (東京外国語大学 教授)
・ 綱澤満昭氏 (姫路大学 学長)
・ 岩崎正弥氏 (愛知大学 地域政策学部 教授)

 野本京子教授の退官を期して開催されたこの研究会では、野本氏に加えて、綱澤満昭氏(愛媛大学学長)、岩崎正弥氏(愛知大学教授)の二人を迎えて、三人による報告とディスカッションがおこなわれた。
 三人は農本主義研究において、それぞれの世代を代表する研究者である。綱澤氏は1971年の『日本の農本主義』(紀伊国屋新書)によって、野本氏は1999年の『戦前期ペザンティズムの思想』(日本経済評論社)、そして岩崎氏は1997年の『農本思想の社会史 生活と国体の交錯』(京都大学学術出版会)を代表作とする。
 農本主義は、戦間期の産業革命に際して、反産業社会的で反資本主義的な対抗思想として形成され、同時に、丸山真男を嚆矢として、国家主義・日本ファシズムの「温床」として把握されてきた。三人はこの重大かつ問題提起的なテーマに立ち向かってきた。
農本主義の原初的なパトスの継承(綱澤氏)、その批判的理解とともに、「下からの」歴史の文脈に農本主義研究を位置づけること(野本氏)、グローバリゼーションに対抗する「農の思想」と農本主義の可能性の掘り起こしを進めること(岩崎氏)。
 報告はそうしたそれぞれの研究歴をそのまま反映して、三つの個性的な学説の提示となり、つづく討論も熱く緊張感をもったものとなった。農本主義を語る研究会に出会えることは幸運である。野本京子教授の退官を惜しむとともに、三人の碩学が示してくれた学問の志に感謝したい。

岩崎正弥先生

綱澤満昭先生

野本京子先生

ポスター (PDFファイル)