活動報告

Activity Reports

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特任研究員ワークショップ報告 (2015年7月3日)

公益財団法人博報堂児童教育振興会日本語海外研究者招聘事業研究者兼本センター特任研究者3名による研究発表が行われた。

ナデジダ・ウェインベルグ氏(イルクーツク国立言語大学准教授)の発表テーマは、「ビジネス日本語における敬語とロシア語の敬意表現対照分析:成功したビジネスコミュニケーションの確率と維持するための実践的な推奨」である。

氏は、日本在住で日本とロシアに関係のある企業に勤める日本人とロシア人に対して、ビジネスの場面における御世辞やほめ言葉の使用についてインタビューを行った。

その結果、外見についてのほめ言葉があまり好まれない点や依頼の前に相手をほめる点などで両者に共通点が見られるものの、日本人のほうがロシア人より意識的に相手をほめる傾向があり、批判や注意をする際にほめ言葉を付け加えることがわかった。

スタニスワフ・マイヤー氏(ヤギェロン大学言語学部東洋学校助教)の発表テーマは、「漢字ジゴク:ポーランド人の日本語学生向けの多機能のEラーニング・プラットフォーム」である。

ポーランド人の漢字学習者向けにEラーニングを開発中であり、ヤギェロン大学ではすでに学内向けに2,484の見出し語と5,450の例文が公開されつつあるという。漢字の読み、書き順や部首だけでなく写真や解字まで紹介され、誰もが深く楽しめるものとなっている。見出しから例文までほぼ一人で作り上げたという事実に驚嘆する。

豊田悦子氏(メルボルン大学アジア研究所上級講師)の発表テーマは「異文化学習の一環としての日本語Eラーニング」である。

豊田氏は、オーストラリアでアジアの漢字圏の日本語学習者が増える中で、日本語学習に自信を失いかけている非漢字圏の学習者のために、容易に日本語の文章を解読するシステムを開発したいという強い動機から研究を始めたという。

単なる言語学習だけに終わらず、日本とオーストラリアの学生間でビデオ・レターを交換することで互いの習慣や考えの相違に気づき、相互理解が始まることを主張されていた。

3名の研究はいずれも日頃の日本語教育の現場から生まれた強い動機に支えられた説得力のあるものであった。
当日は40名近い聴衆が集まり盛況であった。

(谷口龍子)

写真 (PDFファイル)

ポスター (PDFファイル)

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