活動報告

Activity Reports

センターの活動報告です

国際日本語教育部門主催 文法・語用と教育シリーズ第三回研究会「日本語・英語・中国語の対照研究と日本語教育」(2014年1月25日)

発表者:
彭広陸氏(北京大学)
テレンス・シャア氏、申亜敏氏、福田翔氏(東京外国語大学・本センター特任研究員)
于康氏(関西学院大学)

日時:2014年1月25日(土) 14:30-17:35 会場:東京外国語大学府中キャンパス 管理事務棟2F 中会議室

国際日本語教育部門主催による文法・語用と教育シリーズ第3回研究会が中会議室にて開催された。

「視点」をテーマに、「言語類型論(typology)から見た中国語と日本語の対照研究−視点を中心に−」(彭広陸先生:当センター特任研究員・北京大学)、「「目的語残存受身文」における目的語残存の条件について−中国語の対照という視点から−」(于康先生:関西学院大学)の発表が行われた。彭氏は、中国語と日本語の「視点」の諸相について、語、連語、文、談話の 各レベルで概観した上で、日本語は視点の一貫性が強く主語が一貫しているのに対して、中国語は動作の主体に視点が置かれることから、談話の中で主語が変わり得る点を指摘された。于氏は、受身により目的語の格が変化しない「目的語残存受身文」(NP1はNP2をVれる/られる)を、NP1とNP2間の所有と所属、全体と部分のような意味的なつながりの有無により2種類に分け、目的語と動詞がコロケーションである場合に目的語が残存しやすいことを指摘された。また、日本語の目的語残存文は、受影者を主語に取り立て、中国語は文のテーマを主語に取り立てる点も主張された。続いて、本部門のプロジェクト「母語をふまえた日本語教育研究」(英語、中国語担当は本学教員佐野洋氏、望月圭子氏)の一環として研究発表(テーマ「日本語・英語・中国語の結果表現:日本語・中国語の複合動詞、英語の句動詞・結果構文の対照研究」発表者:本センター特任研究員テレンス・シャア氏、同申亜敏氏、同福田翔氏)も行われた。類型的に見ると、SVO言語は補語が発達し、副詞との違いが明確であるが、SOV言語の場合は、動詞の後ろに結果補語を置くことができない。また、動詞の性質を比較すると、日本と英語は状態変化や「完結性」(Telicity)が動詞に含意されていることから、結果補語が共起しなくても「達成動詞」となるが、中国語の動詞は「完結性」を持たないために、動作の結果を示すためには補語が必要となる点が指摘された。当日は、学内外の教員や大学院生が30名ほど参加し、質疑応答が活発に行われた。

(谷口龍子)

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