活動報告

Activity Reports

センターの活動報告です

東京外国語大学国際日本研究センター&スペイン・ラテンアメリカ美術史学会(共催)、スペイン史学会(主催)「慶長遣欧使節400年―新出史料からみる時代と世界観―」(2013年10月26日)

講演者:
浅野ひとみ氏(長崎純心大学)
小川仁氏(京都大学大学院)
ホムロ・エハルト氏(東京外国語大学大学院)
マルティネス・ソウ氏(スペイン・王立アカデミー)

日時:2013年10月26日(土)13:00-17:30
会場:東京外国語大学府中キャンパス、留学生日本語教育センター1階さくらホール

スペイン史学会主催、国際日本研究センターとラテンアメリカ美術史学会共催で「慶長遣欧使節400年」を記念する研究大会が開催された。2013年は支倉常長ら慶長遣欧使節一行がローマを目指して出航してから400年目の年にあたり、6月には仙台市博物館所蔵の遣欧使節関係資料がユネスコの記憶遺産に登録されている。

本センターが2009年9月に開催した講演会「大航海時代の日本=スペイン関係」は、本センター設立後、最初に主催した講演会であり、ファン・ヒル氏(セビーリャ大学教授)の講演「日本におけるスペイン」は国際日本研究センターブックレットNo.1として刊行されている(日本語訳:平山篤子氏)。今回の研究大会はこの時に続き、日本とスペインの交流の歴史を新たな史料・視点で捉え、考える大変意義深い機会となった。

公開研究大会の報告者はカルロス・マルティネス・ソウ(Carlos Martínez Shaw)氏、ホムロ・エハルト(Romulo Ehalt)氏、浅野ひとみ氏、小川仁氏の4人であり、報告タイトルはそれぞれ順に、"Japón y el Galeón de Manila en la Era Keicho"(「慶長期の日本とマニラのガレオン」)、「16世紀スペイン領フィリピンにおける奴隷制度」、「16-17世紀に請来されたキリスト教関連品に関する一考察」、「コロンナ家と慶長遣欧使節―コロンナ文書館蔵新出史料に見る両者の関係―」というものであった。 基調講演ともいえるソウ氏による日本(徳川家康・秀忠)とスペインとの間の外交原則の齟齬という指摘をはじめ、本学大学院生ホムロ氏のスペイン本国とフィリピンにおける奴隷制度への考え方の相違という指摘にも学ぶところ大であった。また博多遺跡から出土したメダイや銅版画等を紹介され、視覚的にも大変興味深かった浅野氏の報告、コロンナ文書館新出史料を軸に新たな発見を語られた小川氏の報告も研究テーマの広がりを実感させるものであった。コメンテーターの清水有子氏は日本キリシタン史、日本近世対外交渉史がご専門であり、『近世日本とルソン―「鎖国」形成史再考』(2012年東京堂)を上梓した気鋭の研究者であるが、適格なコメントによりそれぞれの報告の位置づけが明瞭になったといえる。報告後の質疑応答では、開催に尽力された立石博高学長をはじめ、フロアからも活発な意見交換がなされ、盛会裡に終了した。

(野本京子)

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