活動報告

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センターの活動報告です

東京外国語大学国際日本研究センター 対照日本語部門講演会「ドイツ語になった日本語」(2013年9月6日)

講師:ヴィクトリア・エシュバッハ=サボー教授(テュービンゲン大学・日本学科)
日時:2013年9月6日(金)15:00-17:30
会場:東京外国語大学留学生日本語教育センター さくらホール

2013年9月6日(金)15時から17時30分まで、留学生日本語教育センターさくらホールでテュービンゲン大学日本学科のヴィクトリア・エシュバッハ=サボー教授をお迎えして講演会を開催しました。エシュバッハ=サボー教授は2005年から2008年までヨーロッパ日本研究協会(European Association for Japanese Studies)の会長を務めるなど、ヨーロッパにおける日本学研究(特に言語研究分野)で主導的な役割を果たしています。演題は「ドイツ語になった日本語」で、講演は日本語で行われました。概要は以下の通りです。

日本が西洋と文化的・経済的な接触を得て以来400年を過ぎ、その関係は様々である。そうした接触は言語の面にも見られ、日本語に多くの外来語・借入語が入ってきたのと同様に、日本語から他言語へも数多くの語彙が借入語として取り込まれた。今日では、日本語からの借入語は英語に最も多く見られるが、ヨーロッパの多くの言語にも日本語からの借入語が増加する傾向にある。英語への借入語は、すでに17世紀には古くから流入していたbonze、buppo、kannonという仏教用語など6語を含め61語が記録され、それが19世紀には416語、20世紀末には613語が英語の辞典に収められている。語彙総数では1425語となり、アラビア語関係の2338語と比較しても、文化接触期間の短さを考慮すると、注目に値する数である。ドイツの新聞・雑誌などを資料に分析・考察した結果、日本経済ブームやグローバル化を通じて新たに生じた接触を二層に分けることができる。つまり、1960年代、70年代は日本からヨーロッパへハイテクや伝統文化がもたらされ、80年代後半以降はゲーム製品やメディア機器、若者文化が流入した。それにより広範囲で日本語受容の潜在性が成立したと見ることができ、日本語が商品名として、あるいはコマ−シャルで日常生活に入り込んできた。一方で、メディアで提示される「現実」と日常の現実は相離反していく可能性があることも忘れてはならない。

講演後は、日本語からドイツ語に入った名詞の性の問題などについて活発な質疑応答が行われました。聴衆は約35名でした。

(成田 |節)

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