活動報告

Activity Reports

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『外国語と日本語との対照言語学的研究』第5回研究会(2011年12月17日)

日時:
2011年12月17日(土)13:50~17:00

場所:
東京外国語大学 語学研究所 (研究講義棟4階419号室)

発表者・講演者と題目
宮島達夫氏(国立国語研究所名誉所員)
講演「コーパスによる日英比較」
藤縄康弘氏(本学大学院総合国際学研究院)
研究発表「受動化とアスペクト性:ドイツ語の非人称受動を中心に」
鈴木玲子氏(本学大学院総合国際学研究院)
研究発表「「の」に対応するラオ語」

宮島氏は、国立国語研究所に長く在職なさり、国語研で早い時期から行われていた大規模な語彙調査を中心的にひっぱっていらした。このご講演では、日本語と英語それぞれの大規模コーパスである「BCCWJ(現代日本語書き言葉均衡コーパス)」と「BNC(British National Corpus)」を用いたご自身の最近の調査にもとづいて、程度表現、食事に関する表現、移動表現、スポーツや動物の名などについて、両言語の興味深い異同が紹介された。また、コーパスのもつ「代表性」の問題、すなわち大規模コーパスといっても、実際の言語使用をどの程度に代表し得ているのかという難しさについてもお考えが述べられた。

藤縄氏はドイツ語の受動表現(werden受動・sein受動・bekommen受動)をめぐって、完了相と不完了相との関わり、その類型論的な性質について述べられた。まずwerden受動のうちでも非人称受動をつくるのは、もっぱら活動動詞の場合であることをコーパス調査によって明らかにされ、非人称受動は、sein受動やbekommen受動と異なり、不完了相に依拠するものであると述べられた。また、ある言語が非人称受動を許すか否かと、その言語において不完了相と完了相のどちらが有標であるかが相関するという展望も述べられた。

鈴木氏は、日本語の「N2+の+N1」という表現に相当するラオ語の表現(ラオ語では「N1+(x)+N2」)について紹介・分析された。「N2」の意味的な種類(所有主、対象、成員、主体、数値、時、......)、ラオ語の形(「N1+N2」「N1+前置詞+N2」「N1+類別詞+N2」......)、「N1とN2のむすびつき」(関係的、状況的、質規定的)とラオ語の形との関係などが整理され、両者の異同を示されるとともに、「N1+x+N2」の「x」の機能について述べられた。

今回の研究会にも、本学教員・大学院生のほか学外の方々も含め30名ほどの参加者があり、活発な質疑応答や意見交換が行われた。次回(第6回研究会)の予定は、3月3日(土)である。

(早津恵美子)

研究会の 写真 (PDFファイル)

研究会の ポスター (PDFファイル)

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