活動報告

Activity Reports

センターの活動報告です

研究会「国際日本研究の構築に向けて」開催 2011年9月27日(火)

 2011年9月27日、王敏氏(法政大学教授)と白戸伸一氏(明治大学教授)にお出でいただき、センター主催の研究会「国際日本研究の構築に向けて」を開催した。講師のお二人は、3月に開催予定であった国際シンポジウム(東北地方太平洋沖地震により中止)のパネリストとしてお願いしていた方々である。

 その後、ぜひお話しをうかがいたいということになり、別途、この研究会が企画された。講師の王敏氏は法政大学国際日本学研究所でアジア・中国研究のチーフリーダーを務められ、宮沢賢治研究、比較文化研究を精力的に進められている。また、白戸伸一氏は経済史(日本流通政策史)がご専門であり、2008年4月の明治大学国際日本学部創設より学部の研究・運営に携わって来られた。

 王敏氏は「国際日本学研究の模索」と題して、法政大学国際日本研究所の来歴と活動状況について詳細に説明された。同研究所は法政大学が21世紀COE「日本発信の国際日本学の構築」に採択(2002年)された際に設立されたとのことであるが、同大学の沖縄文化研究所や大学院国際日本学インスティテュート(2004年度から)とともに事業に取組んできた足跡は、非常に興味深いものである。国際日本研究所では、①異文化研究としての「国際日本学」、②異文化としての日本(東アジア、中国中心の日本研究)、③日本の中の異文化(沖縄)、④電子図書館システムの構築 という四つのサブプロジェクトが設けられ、王敏氏はこの②のチーフリーダーとして活動を牽引されてきた。どのような問題意識のもとに課題を設定し、活動を行なってきたのか、各年度の研究会や出版状況をあげながら詳細な報告がなされ、日本国内だけではなく中国や韓国の多くの機関・研究者と交流を重ねつつ、実績を積まれてきたことがよくわかった。本センター関係者や外部からの出席者にとっても、今後の活動を考える際に大変参考になり、かつ刺激的な内容であったといえよう。

 白戸伸一氏は、「国際に本学部の教育理念・教育目標」について、データに基づきながら論じられた。明治大学は2009年7月、「留学生30万人計画」に基づく拠点大学の一つに選定されたが、これに先立って設立された国際日本学部は、明治大学全体の教育の国際化を担う(牽引する)役割を期待されて出発したとのことである。つまり学部が、大学全体の学生や教員の双方向的国際交流を推進するための中核としての役割を担うということである。また白戸氏は、学部の教育理念について「日本を相対化しつつ『再発見』する」ことと述べられ、そのための教育目標やカリキュラム編成についても詳しく説明された。日本文化コースと日本社会システムコースというコース編成と各コースの目標についても論じられ、本学の教育・研究体制と比較しながらうかがったが、大変興味深い内容であった。

 最後に設けられたディスカッションでは、フロアーからの質問もあいつぎ、活発な質疑応答がなされた。なかには「国際日本学」とは何かという根源的な問いにかかわるものもあり、充実した研究会であった。お忙しいなか、ご出席を快諾してくださったお二人の先生方に感謝申しあげたい。

(野本京子)

研究会の資料 「国際日本学研究の模索」 (PDFファイル)

研究会の 写真 (PDFファイル)

研究会の ポスター (PDFファイル)

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