活動報告

Activity Reports

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比較日本文化部門・国際連携推進部門共催 研究会「『牡丹灯籠』の旅――中国、日本、ベトナム」

 2010年11月12日に比較日本文化部門・国際連携推進部門の共催による研究会『牡丹灯籠の旅――中国、日本、ベトナム』が開催された(本部棟中会議室)。報告者はマティルデ・マストランジェロ氏(ローマ大学)、ドアン・レー・ザン氏(ホーチミン市人文社会科学大学)、許麗芳氏(台湾彰化大学)、コメンテーターに中国文学の千野明日香氏(法政大学)。マティルデ・マストランジェロ氏「『牡丹灯籠』の旅•西洋への旅」がとりあげたのは、円朝の評判を聞き、菊五郎の「牡丹灯籠」を観劇し、この物語の翻案を企てたラフカディオ・ハーンである。マストランジェロ氏は、円朝とハーンという二人の話芸の達人の解釈によって、「牡丹灯籠」の旅は西洋に到ることができたのだと締めくくった。ドアン・レー・ザン氏「〈木綿樹伝〉(阮嶼『傳奇漫録』)と〈牡丹燈記〉 (瞿佑『剪灯新話』) ―― 比較考察」がとりあげたのは、ベトナムにおける『剪灯新話』の翻案である阮嶼(15世紀末~16世紀初?)の『伝奇漫録』である。オリジナルとベトナム版とのふたつの伝奇集の対応関係と、「牡丹燈記」と阮嶼によるその翻案である「木綿樹伝」の相違を詳細に検討することで、前者の勧善懲悪と説教調が後者ではロマンティックな人と妖魔の愛の物語に変容していることを指摘した。許麗芳氏「叙述形式と価値意識の踏襲――『牡丹灯記』の伝播と改変に関する分析」は、台湾における1980年から今日までの30年間の『剪灯新話』研究史の浩瀚な内容を紹介し浅井了意と上田秋成が翻案した伝奇文学と比較した。参加者は40名余あり、活発なディスカッションが行われた。

研究会の 写真 (スライドショーでご覧いただけます)

研究会の資料(PDFファイル)
マストランジェロ氏
レー・ザン氏
許氏

研究会の ポスター (PDFファイル)

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