活動報告

Activity Reports

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若手研究者ワークショップ「台湾農民運動-嘉南大圳灌漑システムへの反対運動を事例に」

国際日本研究センター 若手研究者ワークショップ
「台湾農民運動-嘉南大圳灌漑システムへの反対運動を事例に」

報告者:清水 美里氏 (東京外国語大学大学院博士後期課程)
司 会:野本 京子氏 (東京外国語大学大学院教授)
コメンテーター:松本 武祝氏(東京大学大学院教授)
日 時:2010年7月17日(土)14:00~
会 場:東京外国語大学府中キャンパス、本部管理棟2階・中会議室

若手ワークショップは、本学の若手研究者に発表の機会を保証し、活発な研究交流を実現することを目的として始まった。第一回は本学博士後期課程に在学中の清水美里氏。司会に本学の野本京子教授、コメンテーターには松本武祝・東京大学大学院教授をお願いした。報告テーマは「台湾農民運動――嘉南大圳(たいしゅう)灌漑システムへの反対運動を事例に」である。日本植民地総督府による水利事業は、嘉南平原に三年輪作を導入することで、台湾農民に水稲と甘藷の栽培を強制し、栽培の選択権を奪い、雑作区にも水租をかけるなどの不満を生じさせた。清水氏の報告の焦点は、この植民地水利事業がかならずしも総督府の意のままに実行されたわけではないこと、またそうした過程における農民の抵抗はどのように論証できるかということにあったといえよう。

コメンテーターの松本氏からは旧慣と水利事業の関係の解明が必要であることが指摘された。さらに討論では、農民組織と日本人管理者との力関係を整理して説明する必要が指摘された。結果的に嘉南大圳組合の日本人管理者を辞任に追い込んだこの抗議行動の分析において、植民地空間がひとつの「交渉空間」に変容を遂げたのではないかと清水氏は推定した。これを単なる植民地政府の妥協ととらえるのか、旧慣保持という要因も考慮して、植民地農民が優勢をかちとった抵抗とみるのか、今後の研究が期待されるところである。(文責・友常)

研究会の 写真 (スライドショーでご覧いただけます)

研究会の ポスター (PDFファイル)

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