LUNCHEON LINGUISTICS
要旨
2017(平成29)年
2016(平成28)年
2015(平成27)年
2015年12月16日
「音韻素性を用いたL2研究枠組みの提案」
  発表者 アナトリー・ヴァフロメーエフ(東京外国語大学大学院博士後期課程)
 音韻素性は従来L1の音韻論研究の文脈で発達してきた。本研究はこの音韻素性をL2研究に適用する可能性を探るものである。
 具体的には、日本語母語話者によるL2ロシア語およびL2英語の事例に基づき、音韻素性のL2研究における有効性を主張した。また、L2の素性の有効性を踏まえて素性を用いたL2の研究の枠組みを提案した。この研究枠組みは3つの部門からなる。1つめはL2の出発点としての初期段階を予測する(i)規範的素性セットである。これは学習者のL1と学習ターゲットの言語の素性設定を対照することによって設定する。2つめは(ii)素性による記述である。この部門ではまず、学習がある程度進んだ段階で、デフォルト素性の値との比較を通じて発音の記述を行う。次に学習者間で繰り返し現れる発音のパータンは、ターゲットの言語の話者にとっていかなるものか、という評価(容認できる発音であるかどうかという判断および「容認できる」と評価されたパターンの優劣の判断)を調べる。3つめの部門は(iii)暫定的目標であり、これは(ii)の過程で「容認できる」と評価されたパターンから設定する。これは初期段階から出発する学習者のための道しるべとなり得るものである。

2015年12月9日
「現代標準アラビア語の疑問文 ―古典アラビア語との比較を中心に―」
  発表者 松尾愛(東京外国語大学大学院博士後期課程)
 古典アラビア語における疑問標識の出現頻度を示し、その中でmaa / maðaa「何」の違い、annaaの反語的使用、否定疑問文の応答balaaに関して従来の記述とは異なり、否定文が前部にある場合にも使用できることをコーパス調査に基づき示した。現代標準アラビア語の疑問文に関しては用例を示すことがほとんどできなかったのが今後の課題である。

2015年12月2日
「『第16回日本語文法学会大会』報告」
  発表者 孫瀾月(東京外国語大学大学院博士後期課程)
2015年11月14(土)、15(日)に学習院女子大学で行われた第16回日本語文法学会につして報告した。全体のプログラムについて簡単に説明した後、中山健一氏(茨城キリスト教大学文学部)「類義漢語の品詞性と意味-「貧乏」と「貧困」について-」、及び三好伸芳氏(筑波大学大学院生)「制限的連体修飾節の意味的階層性」を取り上げ、やや詳しく紹介した。

2015年11月25日
「日本中国語学会第65回全国大会報告」
  発表者 赤池晴香(東京外国語大学大学院博士後期課程)
 2015年10月31日(土)、11月1日(日)に東京大学駒場キャンパスで開催された日本中国語学会第65回全国大会について報告した。まず大会の概要について紹介し、続けて基調講演の郭锐氏(北京大学)による「汉语叙述方式的改变和“了”“着”结句现象」(中国語の叙述方法の改変と“了”(le)“着”(zhe)の文終結現象について)を取り上げ、比較的詳しく紹介した。

2015年11月4日
「AA研フィールド言語学ワークショップ活動紹介」
  発表者 中山俊秀(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授)
      山越康裕(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所准教授)
      児倉徳和(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所助教)
 アジア・アフリカ言語文化研究所の研究プロジェクト「言語の動態と多様性に関する国際研究ネットワークの新展開」(通称LingDy2)で展開している次世代研究者養成のためのワークショップ「フィールド言語学ワークショップ」における、以下三つの活動について紹介するとともに、直近のイベントの告知をおこなった。1) DocLing (Documentary Linguistics Workshop)、2) テクニカル・ワークショップ、3) 文法研究ワークショップ。

2015年10月28日
「フィジー語の3つの動詞構造」
  発表者 岡本進(東京外国語大学大学院博士前期課程)
 フィジー語の動詞文は、他動詞派生接尾辞と目的語に前置する冠詞の有無によって、下表のように、「接尾辞形」、「冠詞・ゼロ形」、「無冠詞・ゼロ形」の3つに分類できる。接尾辞形は他動詞接尾辞と目的語の意味役割が対応するが、冠詞・ゼロ形と無冠詞・ゼロ形はその接尾辞が欠如しているため、目的語の意味役割は不明瞭である。しかし、冠詞・ゼロ形と無冠詞・ゼロ形の目的語の意味役割については従来の先行研究でも詳しい記述がない。

 本発表では、1音節接尾辞形と2音節接尾辞形のどちらの構造も持ちうる移動動詞と放出動詞を対象に、冠詞・ゼロ形及び無冠詞・ゼロ形の目的語の意味役割が1音節接尾辞形と2音節接尾辞形の目的語のそれに、それぞれどう対応するかという問題を扱った。
 インフォーマント調査の結果、冠詞・ゼロ形における目的語は放出動詞では2音節接尾辞形にのみ対応し (移動動詞では冠詞・ゼロ形は観察されない)、無冠詞・ゼロ形の目的語は1音節接尾辞形・2音節接尾辞形のどちらにも対応することが明らかとなった。つまり、他動詞接尾辞は、目的語の有無を反映していないと結論付ける。

2015年10月21日
“The Two ‘be + p.p.’ Constructions in Irish”
  発表者 山田怜央(東京外国語大学大学院博士後期課程)
 本発表では、アイルランド語(インド=ヨーロッパ語族ケルト語派)における「be+過去分詞」という構文について考察をおこなった。
 実際には、この構文は2つの機能を持つように思われる。1つは他動詞を用いた場合で、この時は受動態のような役割を持つ。対して自動詞からこの構文を作ることも可能であり、その際は単に完了アスペクトを表す。
 この構文の正体について、Ó Siadhail (1989)などは「完了受動」と呼んでいるが、Noonan (1994)などは「能格構文」であるとしている。
 前者の解釈を取った場合、「be+過去分詞」という1つの構文に対して、「完了受動(他動詞)」と「完了(自動詞)」という2つの機能を認める必要がある(しかし、それ自体は奇妙なものではなく、例えばフランス語やドイツ語では「be+過去分詞」が動詞の自他などに応じて2つの機能を持つ)。
 後者の解釈を取った場合、「be+過去分詞」が自動詞にも他動詞にも用いられるという点を簡潔に記述することができ、また他動詞の場合に起こる項の昇格・降格についても説明することが可能である。
 とはいえどちらの解釈にも穴があるのが現状であるので、本発表ではインターネット上で公開されているコーパスを用いて、この構文が実際にどのようなものなのかを調査した。
 その結果、先行研究で挙げられていない形、他動詞を用いて「被動作主を表す主格項が現れず、動作主を表す斜格項のみが現れる例」が見付かった。アイルランド語において、他動詞文の被動作主がしばしば省略されることはÓ Siadhail (1989)が指摘しており、この形はそれに対応する「be+過去分詞」であると考えられる。また、この形の存在から、アイルランド語における「be+過去分詞」が「完了受動」ではなく、「能格項文」の性格を持っているということを結論付けた。

2015年10月14日
「『第12回ソウル国際アルタイ学会』報告」“The 12th Seoul International Altaic Conference (SIAC)”
  発表者 山田洋平(東京外国語大学大学院博士後期課程)
 2015年7月16日~19日に韓国のソウル大学で開催された第12回ソウル国際アルタイ学会について報告した。まず、大会の概要について紹介したのち、個人の研究発表からPark Sangchul氏(ソウル大学)の“Ha-ending headwords in Han i araha manju gisun i buleku bithe”と菅沼健太郎氏(九州大学)の Reinterpretation of r-insertion in Modern Uyghur”を取り上げ、発表の概略を報告した。

2015年10月7日
「ラワン語ダル方言の疑問小辞」
  発表者 大西秀幸(東京外国語大学大学院博士後期課程)
 ラワン語ダル方言では任意の文が疑問文であることを示すために、文末に小辞である=máか=léのいずれかが現れる。ダル方言の文法概説であるBarnard (1934)では疑問語の現れる疑問文には=léが、現れない疑問文(真偽疑問文)には=máが用いられるという説明がある。しかし筆者の収集したデータからは、疑問語の現れる疑問文に=léが用いられる例が散見された。この矛盾を疑問の内容から分析した結果、=máは疑問焦点が命題全体に及ぶときに、=léは疑問焦点が命題の一部に及ぶときに現れるということが分かった。すなわち、疑問小辞の分布は疑問語の生起に左右されるのではなく、疑問の焦点が命題全体に及ぶか否かに左右されることを主張する。

2015年7月8日
「ホジェン語に-meという副動詞は存在するか」
  発表者 李林静(成蹊大学法学部准教授)
 満州語には主節の動詞と同時並行的な動作(~して、~しながら)を表す副動詞-meがあり、-meは主節の動詞(多くは移動に関する動詞)の目的(~するため)を示すことも多い(津曲2002:61,62)。
 一方、ホジェン語の副動詞-miも、主節の動詞と同時並行的な動作(~して、~しながら)を表す他、さまざまな機能を持っている。多くの場合、iが無声化または脱落し、-mになる。これを同時副動詞と呼ぶ。先行研究及び筆者のデータにおいて、主節の動詞が移動動詞(eme-「来る」、ene-「行く」)である場合、従属節の副動詞が-mと表記される例がしばしば見られ、これは同時副動詞の-miの母音が無声化また脱落したものだと考えられてきた。しかし、ごくわずかだが、筆者のデータにおいて、主節の動詞が移動動詞である場合、従属節の副動詞が音声的に[mə]となって現れる例があった。本発表では、筆者の音声データを再検証し、移動動詞の目的を表す機能を持つ副動詞-meを立てるべきではないか、そして、この-meは満州語の-meと何等かの関係があるのではないかという仮説を立てておくことにした。(補足:2015年8月16日-26日のホジェン語話者への直接インタビューにおいては、-meと-miの対立は確認されず、-meを目的副動詞として立てるのは難しく、-miの異形態として考えたほうが妥当だという結論に達した。)

2015年6月24日
「日本言語学会第150回大会報告」
  発表者 岡本進(東京外国語大学大学院博士前期課程)
 2015年6月20日と21日に大東文化大学板橋キャンパスで開催された日本言語学会第150回大会について報告した。まず大会の概要について報告した。そのあと、口頭発表から牧野友香氏(大阪大学大学院言語文化研究科)の「スワヒリ語動詞の反復形 ―機能と派生の条件―」と、山田真寛氏(京都大学学際融合教育研究推進センターアジア研究教育ユニット)の「琉球与那国語の敬語体系」に関して、報告者がやや詳しく紹介した。

2015年6月17日
「日本語学会2015年度春季大会報告」
  発表者 森貝聡恵(東京外国語大学大学院博士前期課程)
 2015年5月23日(土)、24日(日)に関西学院大学上ヶ原キャンパスで行われた第146回日本語学会について報告した。大会の概要について報告したあと、口頭発表から富岡宏太氏・林田明子氏(國學院大學大学院)「中古和文の準副体助詞と連体助詞―現代語の準副体助詞との対照―」の発表について、やや詳しく紹介した。併せて、22日(金)に甲南大学で行われた第100回方言研究会の大会概要についても報告した。

2015年6月10日
「中期朝鮮語における形式名詞由来のモダリティ形式」
  発表者 小山内優子(東京外国語大学大学院博士後期課程)
 中期朝鮮語(15世紀中葉~16世紀末)の形式名詞to (こと)は、非現実連体形-lが先行し、かつコピュラ-i-が後接した-l ti-という形で当為のモダリティを表す。16世紀に入ると、形式名詞kes (もの、こと)も非現実連体形が先行し、コピュラが後接した-l kesi-という形で、-l ti-と同様に当為のモダリティを表すようになる。本発表の目的はこれら2つのモダリティ形式の違いを明らかにすることである。『翻訳小学』(1518年)および『小学諺解』(1588年)を主な調査資料として分析した結果、これらの形式には「否定」の観点から次の2つの相違点があることが明らかになった。第一に、連体形用言がどのような否定形式をとるかという点で顕著な違いがある。-l ti-は連体形用言の否定にaniho- (意志の否定)、mal- (否定動詞)を用いるのが普通で、mwotho- (能力の否定)が現れることは稀である。一方、-l kesi-の連体形用言の否定はmwotho-が優勢である。第二に、それぞれの漢文の原文を見ると否定形の-l ti-は概ね漢文の「不」、「莫/勿/毋」に対応し、否定形の-l kesi-は「不可」に対応している。以上の結果から、-l ti-よりも-l kesi-の方が「当為性」が強いと考えられる。

2015年6月3日
「束縛現象から見るロシア語名詞句の統語構造: NPかDPか?」
  発表者 宮内拓也(東京外国語大学大学院博士前期課程)
 冠詞のないスラヴ語の名詞句の構造についての立場は、NPであるかDPであるかで二分されている。本発表では、Kayne (1994)の理論、Despić (2013)の方法論を用いて、束縛の観点からロシア語の名詞句の統語構造を検討し、ロシア語の名詞句の最大投射はNPであり、DPは投射されないと結論付けた。

 (1) a.[DP D [PossP [Kusturicai] [ ['s] [latest film] ] ] ] really disappointed himi.
 b.
 
*Kustricyni  poslednij  fil'm  sil'no  egoi  razočaroval.
 Kusturica's  latest  film  really  him  disappointed

 Kayne (1994)によれば、(1a)の所有者KusturicaiはPossPの指定部に位置しており、空のDを持つDPに支配されている。このDPのレイヤーはKusturicaiによる目的語himiへの(Kayne 1994で定義される)c統御を妨げるため、束縛原理は守られ、(1a)は文法的になる。ロシア語においてもDPが投射されるのであれば、英語の場合と同様にDPのレイヤーによってc統御はブロックされると予測される。よってロシア語においても(1a)のような文は文法的になるはずである。しかし、(1a)に対応するロシア語の文(1b)は非文となる。これは所有者Kustricyniが目的語egoiを束縛してしまい、束縛原理の違反を引き起こしていることを意味する。よって、ロシア語においてはDPは投射されていないといえる。また、所有者を被所有者に後置させる所有表現(属格による所有表現)を用いた文においては、所有者はそれと同一指標の目的語を束縛せず、文法的となる。この文法性は上記の議論から矛盾なく予測され得る。

2015年5月27日
「日本ロマンス語学会第53回大会報告」
  発表者 星野加奈子(東京外国語大学大学院博士前期課程)
 東京外国語大学において5月26・27日に行われた日本ロマンス語学会第53回大会について報告した。全体のプログラムについて概観した後、近藤野里氏(名古屋外国語大学)の発表「17世紀末および18世紀初頭フランス語におけるリエゾンに対するスタイルの影響」を取り上げ、やや詳しく説明した。

2015年5月13日
「ラワン語ダル方言における他動詞目的語の標示について -対格後置詞=sə̀ŋが現れる要因―」
  発表者 大西秀幸(東京外国語大学大学院博士後期課程)
 ラワン語(ミャンマー、チベット=ビルマ語派ヌン語群)の他動詞目的語(P参与者)は項とそれを示す形式が、「目的語=対格」か絶対格(音声形式なし)の何れかで示される。特に対格後置詞が選択される要因について、同方言の文法概説であるBarnard(1934)は有生性の観点からすでに指摘しているものの、発表者は要因が「有生性」に限らないと考える。対格後置詞が選択されるためには、以下の5つの要因が関わる。
 1. P参与者を指示する名詞句にとりたての後置詞がついていないこと(統語的要因)
 2. 述語が特定のものでないこと(述語に関する要因)
 3. 名詞句が代名詞であること(語類に関する問題)
 4. P参与者が定であること

 そして、対格後置詞が成立する最重要の要因は1であり、それらをクリアした環境でのみ2、3が関わる。さらにそれらの要因をクリアすることで、4が関わるといえる。すなわちラワン語の対格後置詞の生起要因には以下に示すような階層が見られる。
   統語的要因>述語に関する要因>名詞句のタイプに関する要因>定性に関する要因

2015年4月22日
「青森県津軽方言の自発形式」
  発表者 大槻知世(東京大学大学院博士課程・日本学術振興会特別研究員)
 本発表では、青森県西部の津軽方言の「サル」の用法と分布、さらに他方言の「サル」相当の形式と用法を報告した。そして、津軽の「サル」にのみ基づいてではあるがその起源を提案した。
 津軽方言の「サル」は四段活用で、動詞未然形に接続し、自発、一種の受身、可能(主に状況可能)の三用法が知られている。発表者による調査の結果、一部地点で新たに尊敬用法と使役受身と思しき用法が認められた。
 「サル」相当の形式は、他にも北海道から静岡県大井川流域まで散見される。山形市や福島市では-(r)ar、北海道、秋田県北部、岩手県盛岡市、栃木県宇都宮市では-(r)asar、静岡県大井川上流の井川では-(r)aːsa(ː)rまたは-(s)aːsa(ː)rと、実現は様々だが、概ねいずれも四段型の活用と未然形接続であり、自発、本発表での受身、状況可能の用法を有する。
 また、「サル」の由来について、まずはかつての中央語との関連を考慮し、助動詞「す」と「らる」から成る「せらる」が有望であると提案した。「せらる」は接続、活用の点で「サル」と共通しえたと考えられ、意味的にも重なる部分が大きい。

2015年1月28日
「トルコ語の非人称受身の成立条件」
  発表者 青山和輝(東京大学大学院修士課程)
 トルコ語では動詞語幹に受動接辞-Il/nを付加することによって受動を構成できるが、特に自動詞を受動化し非人称受身をつくる点が特徴的である。本発表ではこのトルコ語の非人称受身について、先行研究に示されたデータを動詞の時制形という観点から再分析し、受動文分析におけるより適切な視座を提供することを試みた。

 Nakipoğlu (2001)において、動詞のとる時制形が一部の動詞(「溺れるboğul-」「死ぬöl-」など)の非人称受身の可否に影響を与えることが示された。すなわち、このような非対格よりの動詞においては、属性や習慣を表す中立形では非人称受身が構成できるにも関わらず、過去形では構成できない。一方で、典型的な非能格動詞では、中立形でも過去形でも非人称受身を構成できる。

 Perlmutter (1978)を嚆矢として、非人称受身のふるまいはしばしば動詞分類の根拠として採用されてきたが、発表者はこのふるまいの差異は動詞自体の性質に帰する部分と時制形の性質に帰する部分とを峻別して分析すべきであると考える。本発表では特に中立形の属性叙述という性質に着目し、上述の動詞群においては本来非人称受身にできないところが、属性叙述であるから例外的に非人称受身になることができているという分析の立場をとった。


2015年1月21日
「現代朝鮮語の連結語尾 -ko, -sɔ と他動性」

  発表者 黒島規史(東京外国語大学大学院博士後期課程)
 現代朝鮮語には日本語の「テ形」に相当するような連結語尾-ko、-sɔが存在する。本発表では、それぞれの連結語尾が取る動詞の傾向を角田太作(1991; 2009, 2007)の「二項述語階層」に従って他動性の観点から考察した結果、前者はより他動性の高い動詞と、後者はより他動性の低い動詞と結びつきが強いことが明らかになった。さらに、他動性の高い場合は「前景」と、他動性の低い場合は「背景」と関連があると指摘したHopper & Thompson (1980)を参考に、-koは前景と、-sɔは背景と関連があるということを論じた。

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