LUNCHEON LINGUISTICS
要旨
2017(平成29)年
2016(平成28)年
2015(平成27)年
2014(平成26)年
2013(平成25)年
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2011(平成23)年
2010(平成22)年
2009(平成21)年
2009年12月2日
「日本言語学会 第139回大会報告」
  風間 伸次郎(総合国際学研究院教授/ツングース諸語・言語学)
 神戸大学で11月28・29日に行われた139回大会について報告した。「南琉球宮古伊良部島方言における「複合名詞」の品詞分類」(下地理則氏)や、「ティディム・チン語における否定標識」(大塚行誠氏)「コリマ・ユカギール語の名詞句外所有構文について」(長崎郁氏)、「アラビア語チュニス方言(チュニジア)の否定と文構造」(熊切拓氏)、ワークショップ「知覚の言語学に向けて:行為と知覚の関係はどう言語化されるか」(うち特に長谷川明香氏の発表)などの研究発表等に関して、報告者が概略を紹介した。

2009年11月25日
「日本語学会 2009年度秋季大会報告」
  川村 大(総合国際学研究院准教授/日本語学)
 島根大学において10月31日・11月1日の両日行われた日本語学会2009年度秋季大会について報告した。概況を報告した後、2日目の口頭発表から藪崎淳子氏「『極限』のマデ」、川瀬卓氏「モダリティ副詞『なにも』の成立」の2件を取り上げ、やや詳しく紹介した。

2009年11月11日
「日本語文法学会 第10回大会報告(於:学習院女子大学)」
  佐藤 雄亮(大学院博士後期課程)
 学習院女子大学にて2009年10月24日、25日に開催された大会内容を報告した。第10回記念フォーラムより、柴谷方良氏「日本語準体法再考 ―体言化と連体修飾―」を、次に二日目の発表より「名詞述語に繋辞動詞は必要か」(白岩広行氏・平塚雄亮氏)「逆使役分析の五つのメリット」(佐々木冠氏)について、その概略を紹介した。

2009年11月4日
「琉球語宮古多良間方言の中舌母音」
  青井 隼人(大学院博士前期課程)
 琉球語宮古諸方言に広く観察される中舌母音の音声的特徴として、従来の研究では、以下の3点が報告されている;(1) 中舌狭母音 [i]のような音色を持つ、(2) 舌尖調音を持つ、(3) 摩擦噪音を伴う。しかし、従来の観察は、研究者の聴覚印象に基づくものがほとんどであり、客観的手法によって中舌母音の音声的実態の把握を試みた研究はほとんどない。本発表では、上記3つの特徴のうち、特に、従来の研究で十分な観察がなされてこなかった (3) 摩擦噪音を伴う点に着目し、中舌母音がどのような環境で、また、どのような音声的メカニズムを持って摩擦噪音を伴うのかを考察した。

2009年10月28日
「朝鮮学会 第60回大会報告」
  金 民(大学院博士後期課程)
 2009年10月3日から4日まで、天理で開催された学会の語学分野の発表は、韓国語教育を基礎に据えた研究が多く、コーパスに基づいた実証的研究が主流となっていた。
 音声学分野では、日本語母語話者の韓国語発話に見られるピッチパターンや文末のイントネーションに関する発表があった。文法分野では、文末のムード形式、語彙の対照研究などがあった。教育分野では、言語中心の文化統合教育を目指した教材開発に関する発表などがあった。

2009年10月14日
「認知言語学の最新の動向 ―日本認知言語学会 第10回全国大会報告」
  三宅 登之(総合国際学研究院教授/中国語学)
 2009年9月26日(土)・27日(日)の2日間にわたり京都大学で開催された、日本認知言語学会第10回全国大会について報告した。まず全体のプログラムを紹介し、日本認知言語学会の全体的な動向について紹介した。次に個別の研究発表の中で、報告者が興味を持った日本語学の分野での2つの発表につき、それらを聴いての報告者の意見とともに詳しく解説し、会場と質疑応答を行った。最後に、学会の会長の交代等の報告と絡め、近年の認知言語学の動向を紹介した。

2009年7月22日
「パキスタンのカティ語の紹介:簡易調査報告」
  吉岡 乾(大学院博士後期課程)
 パキスタン北西辺境州チトラール県ルンブール谷シャハナンデ村で話されている、インド・ヨーロッパ語族カーフィル諸語のカティ語に関して、2008年10月28・30・31日に行った最初の簡易現地調査をまとめた。基礎語彙500語と僅かな例文を基に、周辺言語と対照しての音韻的な特徴、場所表現に見られる接頭辞~後置詞(イラン系~インド系)という境界性、能格性、20進法の数詞体系などを指摘した。

2009年7月15日
「モンゴル語の動詞語尾-нэ, -в, -лээ, -жээが織りなす構造について(その2)」
  飯田 純(本学博士後期課程修了)
 前回の発表(2009年1月14日)で充分にふれられなかった4語尾の織りなす構造について、-нэは「(前景)説明」、-вは「(背景)語り」、-лээは「意中確認」、-жээは「意外確認」の語尾であると定義した。さらに、これらの定義に基づいて、「なぜ-вは口頭言語で使われないのか」「なぜ4語尾には否定が(少)ないのか」等について理由を説明した。

2009年7月1日
「日本言語学会 第138回大会報告」
  風間 伸次郎(総合国際学研究院教授/ツングース諸語・言語学)
 神田外語大学で6月20・21日に行われた138回大会について報告した。会長就任講演「言語の構造制約と叙述機能」(影山太郎氏)や、「コリマ・ユカギール語の関係節における3種の分詞の用法」(長崎郁氏)、「タイ語の機能語hây」の意味変化の方向性(高橋清子氏)、公開シンポジウム「文の周縁部の構造と日本語」(Luigi RIZZI氏・井上和子氏・遠藤喜雄氏・長谷川信子氏)などの研究発表等に関して、報告者が概略を紹介した。

2009年6月24日
「『のではないか』における〔質問〕と〔疑い〕の差異」
  佐藤 雄亮(大学院博士後期課程)
 本発表では日本語の「のではないか」における〔質問〕と〔疑い〕二つの意味について、『現代日本語書き言葉コーパス』から得られた用例を基に考察した。
 考察の結果、本質的には語用論的効果としての意味対立だと考えられる〔質問〕と〔疑い〕は、実際には多くの例で形態論的、あるいは統語論的環境によってそれぞれ明示されていることが明らかになった。これら何らかの手段で意味を明示する用例は、〔疑い〕のものに圧倒的に偏る。一方で、そのような標示が無く、語用論的意味として解釈される場合には、〔疑い〕よりは少ないものの、〔質問〕の用例数の割合が大きくなることも指摘した。

2009年6月17日
「ツングース系諸民族における口承文芸について」
  風間 伸次郎(総合国際学研究院教授/ツングース諸語・言語学)
 本発表では、まずツングース諸民族の一般的性格について述べ、次に他の民族、特にアイヌと日本の口承文芸との類似についていくつかの事例を取り上げて解説した。他にそのジャンルについて、英雄説話と神話、伝説を取り上げた。英雄説話に関しては、主人公である英雄(ムルグン)、女主人公(プジン)の性格について述べた。神話・伝説については、創世神話、射日神話、姉弟始祖神話、トラに関する伝説、巨人伝説、諸由来譚などについて述べた。

2009年6月10日
「ポルトガル語及びスペイン語の直説法未来と過去未来における非直説法性について」
  鳥越 慎太郎(大学院博士後期課程)
 本発表ではスペイン語学、ポルトガル語学における直説法未来と過去未来の法性的解釈に関する先行研究をレビューし、両形式を意味論的観点から分析してその非直説法性(Irreality)を指摘した。これを踏まえ、出口(1980, 1986)が両形式の非直説法性に着目して提唱した推定法(Presumptive Mood)の紹介と批評をした。

2009年6月3日
「フィンランド語のA不定詞変格形の意味機能について」
  坂田 晴奈(大学院博士後期課程)
 本発表では、フィンランド語のA不定詞変格形の意味機能について、コーパスからの用例を基に考察した。先行研究では、A不定詞変格形の主な意味機能は<目的>・<程度>・<陳述>の3つであるとされている。しかし、これら3つに分類しにくい例がデータ中に1割近くあり、そのような例は<到達>として分類した。調査の結果、この<到達>こそがA不定詞変格形の基本的な意味機能で、先行研究が示す3つの意味機能は<到達>から派生したものであるという解釈を示した。

2009年5月20日
「モンゴル語の補助動詞《ab-》の意味について」
  スチンガルラ(大学院博士後期課程)
 本研究は、モンゴル語の補助動詞《ab-》の意味とその意味が実現する条件を明らかにした。補助動詞《ab-》には、「自分へという方向性」、「元の状態に戻る」、「単純完全遂行」の3つの意味があり、それぞれの意味の実現は、本動詞の性質、本動詞に後続する副動詞接尾辞、《ab-》に後続する肯定・否定表現、接尾辞、補語などの各要素と深く関わっていることが分かった。

2009年5月13日
「北パキスタン諸言語での名詞反響」
  吉岡 乾(大学院博士後期課程)
 ブルシャスキー語・ドマーキー語・シナー語・コワール語・カラーシャ語の名詞反響を対象に、以下の点を明らかにした。反響音には地域普遍的なものがあるが、東と西とで、完全重複をする言語としない言語とにタイプが分かれる。後者はさらに、同一性回避のみをするものと、類似性回避をもする言語に分類できる。

2009年1月28日
「マダガスカル手話の語順について」
  箕浦 信勝(外国語学部准教授/言語学)
 マダガスカル手話では、S、O、Vの語順に関して、順列的に可能な6つの組み合わせすべてが見られるが、その内、音声・書記マダガスカル語に見られる語順、そしてフィッシャーの法則(動詞の前に少なくとも1つの名詞句が必要)の両方に合致するSVO、OVSの例が特に多かった。また、能格標示があることが報告された。また3項動詞の間接目的語は、2項動詞の有生目的語と同様な振る舞いはしないことが報告された。

2009年1月21日
「報告【linguapax Asia 2008年シンポジウム】」
  山本 真司(外国語学部准教授/イタリア語学)
 linguapaxは、長年にわたって活動を続けている、ユネスコの研究プロジェクトの1つで、その本部は、バルセローナにある。linguapax Asiaはそのアジア支部で、日本在住の研究者の参加が多いが、日本人の参加者はむしろ少ないようである。今回のシンポジウムは、「言語とプロパガンダ」というテーマで行なわれ、この分野ではもはや古典的とも言えるナチス・ドイツの宣伝政策から、現代日本における政府の対外国人政策まで、さまざまな問題が取り上げられた。発表者は、フリウリの非ロマンス系言語話者に対する同化政策に関して報告を行なった。

2009年1月14日
「モンゴル語の動詞語尾-нэ, -в, -лээ, -жээが織りなす構造について」
  飯田 純(博士後期課程単位取得退学)
 作家ツェデブの短編小説42作品(3989文)を言語資料として、-нэ, -в, -лээ, -жээを含む文の頻度と用法を、「地の文」「私の語りの文」「登場人物のせりふ等」に分けて考察し、4語尾の相互関係を図式化して示した。

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