アラビア語の読みかた
【弱動詞の能動分詞におけるワクフ】
弱動詞について
「弱動詞」とは、最終語根が弱文字(وもしくはي)であるような動詞を指します。「アリフ」(ا)で終わっているものもありますが、これは語根ではなく、「و」(ワーウ)もしくは「ي」(ヤー)から転じたものに過ぎません。というのも、ハムザではなく音価を持たない方の「アリフ」(ا)は語根になり得ないからです。
この能動分詞では、第2語根につく母音「i」にひかれて第3語根の弱文字が「ي」(ヤー)になってしまう上、主格と属格(所有格)の時に語末の「ي」(ヤー)が隠れダンマのタンウィーンのかわりに「in」という音で終わります。
しかし、この「ي」(ヤー)は、ファトハのタンウィーンや、定冠詞などがついて限定される際に復活します。
弱動詞の能動分詞におけるワクフ
【タンウィーンがついている場合】
タンウィーンがついている場合、弱動詞の能動分詞語末で「ي」(ヤー)を復活させず、手前の子音をスクーンにすることでワクフが行われます。
現代アラブ世界では長母音「ī」(イー)としているようですが、古典アラビア語のルールでは上のような方法が基本となります。
- 主格

彼は裁判官です
非ワクフ:huwa qāḍin [
フワ カーディン
]
ワクフ時:huwa qāḍ [
フワ カード
]
- 属格(所有格)

裁判官と共に
非ワクフ:ma‘a qāḍin [
マア カーディン
]
ワクフ時:ma‘a qāḍ [
マア カード
]
ただし、属格(所有格)の場合は、「ي」(ヤー)を出して固定させることもできます。

裁判官と共に
非ワクフ:ma‘a qāḍin [
マア カーディン
]
ワクフ時:ma‘a qāḍī [
マア カーディー
]
- 対格(目的格)
対格(目的格)の時は、ワクフのために「ي」(ヤー)が消されることはありません。読みも、ワクフの基本ルールに従います。
【タンウィーンがついていない場合】
タンウィーンがついていない場合、主格と属格(所有格)では、弱動詞の能動分詞語末で「ي」(ヤー)を復活させず、手前の子音をスクーンにすることでワクフが行われます。
また、表記上現れるはずの長母音「ī」(イー)を表す「ي」(ヤー)が省略されることもあります。たとえば、アッラーの属性のひとつである「至高なる者」は、クルアーンにおいてワクフのため、次のような形になります。

至高なる者
非ワクフ:’al-muta‘ālī [
アル=ムタアーリー
]
ワクフ時:’al-muta‘āli [
アル=ムタアーリ
]
対格(目的格)の時は、ワクフのために「ي」(ヤー)が消されることはありません。読みも、ワクフの基本ルールに従います。
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