アラビア語の読みかた
【ワクフとその基本ルール】
ワクフとは
「وقف」(waqf)とは、アラビア語
文法において「単語を次の単語とつなげて発音せず、その語末で発音を止めること」を指します。
単語を単独で発音する場合、長い文を読んで句読点や意味の切れ目で息継ぎをする場合に、このワクフ(注:休止、止めることを意味します)をします。
通常、このワクフは語末につく母音を子音にすることで行われます。実際にはそれ以外の様々な細かいルールも存在しますが、まずここでは基本となるルールを紹介したいと思います。
ワクフの基本的な仕組み
ワクフは有母音の語末を無母音(=スクーン)に変えることで行われるのが一般的です。
【タンウィーンがついている語】
単語にタンウィーンがついている場合、ダンマとカスラでは母音とタンウィーンの「n」が無くなり、語末の子音で発音が止められます。
しかし、ファトハのタンウィーンでは、タンウィーンの「n」が無くなるものの、アリフがそのまま残って長母音の「ā」(アー)と発音されます。
- ダンマのタンウィーン

これはムハンマドです
非ワクフ:hādhā muḥammadun [
ハーザー ムハンマドゥン
]
ワクフ時:hādhā muḥammad [
ハーザー ムハンマド
]
- カスラのタンウィーン

ムハンマドから
非ワクフ:min muḥammadin [
ミン ムハンマディン
]
ワクフ時:min muḥammad [
ミン ムハンマド
]
- ファトハのタンウィーン

また、also、too
非ワクフ:’ayḍan [
アイダン
]
ワクフ時:’ayḍā [
アイダー
]
【タンウィーンがついていない語】
子音に母音がついて終わっている単語で読みを休止する(ワクフする)場合は、その母音を取り去り、子音で発音を止めます。
- ダンマ

その本(は)
非ワクフ:’al-kitābu [
アル=キターブゥ
]
ワクフ時:’al-kitāb [
アル=キターブ
]
- カスラ

その本から
非ワクフ:mina-l-kitābi [
ミナ・ル=キタービ
]
ワクフ時:mina-l-kitāb [
ミナ・ル=キターブ
]
- ファトハ

私はその本を読んだ
非ワクフ:qara’tu-l-kitāba [
カラァトゥ・ル=キターバ
]
ワクフ時:qara’tu-l-kitāb [
カラァトゥ・ル=キターブ
]
【ター・マルブータで終わっている語】
「ة」(ター・マルブータ;tā’
marbūṭah)はアルファベットには含まれません。これは「ه」(ハー;hā’)に点を2つつけたものですが、「ت」(ター;tā’)を縛って丸めたような形になっているため、「結ばれたター(=tā’
marbūṭah)」という名前で呼ばれています。
この「ة」(ター・マルブータ;tā’
marbūṭah)のワクフですが、本来のルールでは「ة」(ター・マルブータ;tā’
marbūṭah)の部分をスクーンのついた「ه」(h)に置き換えることで行われます。
しかしながら、現代のアラビア語ではクルアーンや詩を除いた一般の音読では、「ه」(h)を読まず手前の母音「a」(ア)で止めることが一般的になっているようです。

(とある)学校
非ワクフ:madrasatun [
マドラサトゥン
]
ワクフ時:madrasah [
マドラサフ
]
現代風?:madrasa [
マドラサ
]
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