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ああ、日帰り出張

昨日は兵庫県の保険医協会に呼ばれ神戸でレクチャーをさせていただいた。昨年12月に東京のそちら関係の会合で一度やらせていただいたご縁である。その時も今回も「コロナ禍の後の世界をわたしたちはどのように考え、どのように生きるべきか」というお題で、当方などから医療従事者のみなさまにお話しできることなどおよそないにもかかわらず、ご指名をいただいたのだった。前回も今回も忸怩たる思いを抱えながら、なぜか今回は拙著の、そしてさらに昨今出たばっかりの関連書籍の販売までもしていただいて、まさかの「サイン会」(ええっ?!これぞ人生初)まで行ったのである。サインはないので相手様のお名前の下に一言書いて、「中山智香子」と地味に署名するだけなのだが、レクチャーそのものより緊張した。次にそんな機会があるといけないので(?)今度サインを考えておこうと思う。
レクチャーのテーマは「ポスト新自由主義の経済を考える:身体に向き合う時代へ」とした。新型コロナのウイルスがグローバリゼーションや新自由主義の負の側面に目を向けさせており、負の側面とは身体への負荷であるというハナシである。長時間の移動をすれば身体は疲れるし肩こりや腰痛を引き起こす、と具体的に説明しながら、自分は神戸往復を日帰りで行っている。ああ語るに落ちたか、この矛盾。真夜中に向かう新幹線に揺られながら、身体に向き合う経済は容易ではないとつくづく思った。

さて、「昨今でたばっかりの関連書籍」とは、当方が監訳をさせていただいた『ポスト新自由主義と「国家」の再生』(鈴木正徳さん邦訳、白水社さんから近日発売予定!)である。これMitchell&Fazi2017.jpg
共著書で第一著者ミッチェルさんはMMTの代表的論客の一人、第二著者ファシさんはジャーナリストで映画監督でもある。両者ともに明確に左派を名乗っており、日本の混濁し屈折した政治状況からみるとなんともすがすがしい。ファシさんは映画監督として来日したときお目にかかっているので知り合いなのだが、「出たよー」と連絡して表紙の写真(上記と同じもの)を送ったら「素敵だね!邦題は "Make The Left Great Again"なの?と返信あり。それは英語だろう!と突っ込みたくなるが、原著はちょうどトランプ旋風が吹き荒れていた時代に刊行されたのである。新自由主義の歴史的文脈の批判的考察、グローバル世界の中でMMTの位置の主張。なかなか面白いので、みなさまにも書店でみかけたらぜひ、お手に取ってみてくださいませー。

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2023年5月22日 23:08に投稿されたエントリーのページです。

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