« 2016年8月 | メイン | 2016年10月 »

2016年9月 アーカイブ

2016年9月 6日

地べたと、優しい手

9月に入った。大学の業務も少しづつ通常に戻ってきて、学会の業務は鬼スケ(=鬼のようなスケジュール)で動いている。そんな折、二冊心に響く本に出会ったので少しご紹介をば。
一冊はこれ。テレビでこのメソッドを行っているのを見かけたことがあり、関心をもっていた。あたりまえのようであたりまえでない、ケアの核心を衝いている。

ひとは最後までひとである。そのひとに触れる優しい手のありかたをメソッド化したもの。とても参考になる。

もう一冊はこちら↓。いつものようにアトプラスの特集でWさんから教えてもらっていて先日購入して読んだ。(そしたらご恵送いただいていたことが本日判明。Wさんありがとうございます!)

This is Japan って、そのタイトルはどうよ?と思うが、イギリス労働者階層の地べたの目線から現代日本をみるまなざしと文体が痛快である。彼女の『アナキズム・インザUK』(ショッキングピンクの装丁がカッケー)もサッチャー以降のイギリスの新自由主義について教えてくれていておもしろいが、こちらの方がひとつひとつの文章のかたまりが長くて読みごたえがある。

「優しい手」だけにつとめればしんどいし、「地べた」だけで考えるとすさんでくるものがある。この二つのバランスが、「社会的なもの」を考えるときのポイントなのだろうと思う。

2016年9月13日

久しぶりの海外出張(資料調査)行ってきますー

明日から研究仲間とともに、久しぶりの資料調査で一週間ほど海外出張である。メインはグラスゴーとエジンバラ、スコットランドである。むかーし学会発表で一度行ったことがあるが、ほとんど覚えていない(;)。友人や知り合いに話してみると意外と詳しい人が多く、みんな「もう寒いよ」とアドヴァイスしてくれるのだが(14℃ぐらいとか)、昨今湿気が蒸し暑い東京では想像力が貧困になっていて、どんな感じなのかまったくイメージできず...。まーとにかくセーターを一枚もっていけば大丈夫だろう(ホントか?)。
旅先から素敵な報告などできたらいいと思うのだが、ともあれ行ってきまーす!

2016年9月27日

かの映像のオリジナルがそこにー

海外出張から帰って時差ボケしていたところへ、いつも情報通なMみんから「チリの闘い」観ましたか?ときかれ、そういえばIゼミのOちゃんからもお勧めいただいていたな!と思い出し、慌てて観に行ってきた。チリでアジェンデが大統領だった時期から1973.9.11のクーデターの頃までを、まさかのリアルタイムで撮ったもので、第一部から第三部まで通すと4時間以上の大作である。
これまでこの事件を扱った映像にしばしばオリジナル映像の挟み込みがあるのを目にした際に、一体だれがどうやって撮っていたのだろうと不思議に思っていたのだが、今回この映像を観てわかった。ここにそのオリジナルがあったのだ!!それは1970年代初頭当時、まだ学位をとって帰国したばかりだったパトリシオ・グスマン監督とその仲間たちが、厳しい状況の中、フランスのクリス・マルケル監督(!レヴェルVの!)らの助けも借りながら、そして同僚の命という犠牲を出してもなお、命懸けで撮り続け、フィルムを守り抜いて世に問いかけた映像だったのである。
かなり精緻な記録であり(カメラワークに撮り手の苦労や工夫が見え隠れする)、チリ社会がアメリカの介入によって真っ二つに分断され、しかし労働者の自負を持つ人びとがアジェンデ大統領を支援しながら闘っていく様子が力強く映し出される。それに対して、いわゆる右派にのった人びとが総じて伏し目がちに、あるいは目をそらしながら、いかに多くのエライ人たちが自分たちの側についているかを似たようなトーンで語るのも象徴的である(「最後は金目でしょ」に乗ったやましさなのか?)。全体の三部構成がうまく作られており、そこからチリが悲惨な時代に入ることを知っていても、観終わった後にはなぜか勇気が湧いてくる。各部、当時すでに世界の様々な映画賞を受賞しているが、まことに貴重な映像で必見。ただし長丁場なので、分けて観るにしてもかなりの体力を要する。やはり、知性も体力ですな。うぬ
あ!渋谷のユーロスペースで一部から三部を一日二巡ずつ。週末にはイベントなどもある様子ですー。

About 2016年9月

2016年9月にブログ「Virtual LoungeCN」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のアーカイブは2016年8月です。

次のアーカイブは2016年10月です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。