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豚は空を飛ぶ

9月も終わりに近づいているが、書店には相変わらず、さまざまなゲンパツ事故関連書籍が並んでいる。最近手に取った本から少しばかり―

菅野典雄『美しい村に放射能が降った:飯館村長・決断と覚悟の120日』(ワニブックスplus新書、2011年)
広河隆一『福島 原発と人びと』(岩波新書,、2011年)

一冊目は副題の示す通り、飯館村長の菅野さんが若妻たちをヨーロッパ研修に出したり合併を拒んだりしながら、大切に大切に飯舘村を作り上げてきた記録を、3.11以降の動向、「計画的避難区域」として移動することになるまでの経緯とともに書いたものだ。二冊目はご存じ広河さんによる3.11以降の事項の整理と実践を追ったもので、7月の506イベント「核と未来」でお話しいただいたことのエッセンスがきちっと書かれている。この本ではチェルノブイリの実例を参照しながら、おもに福島を論じているところが、ちょうど前著『暴走する原発』と逆のバランスというところだろうか。両氏はそれぞれの立場から喫緊の課題と今後のあり方を論じており、もちろんスタンスに違いもあるが、福島を考えるのに必読の二冊であろう。

今日のブログのタイトルは、「までい」にしようかと思っていた:左右にそろった手を意味する真手(まて)の方言で、丁寧に、大事に、思いやりをもってを意味するという「までい」が、「スローライフって、までい、ってごどなんじゃねーべか」!という、ある村民のどんぴしゃりのつぶやきから、飯舘村の美しき看板になったというお話し、いまや日本中(あるいは世界の各地で?)有名かもしれないが、拙ブログにも書き残しておきたかったのだ。までいな飯舘村は、飯野町に避難しつつもしっかりと今後を見つめている。
 しかし広河さんの本の中に出てきた、ヨーロッパのあるチェルノブイリ被ばく地域にあったというポスター、豚が空を飛んでいる絵に「地球は平らだ。原発は安全だ。豚は空を飛ぶ」とキャプションがついていたというお話しがおもしろすぎた。もちろん誤った情報への風刺だが、本全体のタイトルにしてもいいほどのパンチ力である。岩波新書の編集様には「却下!」なネタかもしれないが。ぶひっ 何というか、その絵を想像してしまって…

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2011年9月27日 23:08に投稿されたエントリーのページです。

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