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2010年8月 アーカイブ

2010年8月 2日

研究会ふたつ

7月のラスト2日、30日、31日と、立て続けに研究会があった。立て続けにした理由のゲストS山さんは公務のため結局お出ましになれずとても残念だったが、どちらもなかなか充実した研究会だった。
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 30日は昨年秋以来の、謎の(?)教科書本のための打ち合わせ研究会@本郷サテライト。編集さま、執筆陣のみなさまがほぼお顔合わせで、数名ながら超豪華であった。議論をすすめるうちに、グローバリゼーションを周辺あるいは底辺から考えようという視角と、経済学者とも対話可能に、というたった二つのことがらの接合が、思いのほか難しいことに直面する。つまりはグローバル世界のなかで「市場」とどこまで、どのように付き合っていくかということなのだろう。
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 31日は西谷ボスの科研と神戸大土佐弘之さんの科研の合同研究会で、拙著の合評会@学士会館をしていただいた。人様がいらしてくださる気がしない反面、わが子の学芸会のような(ほんまかいな)妙なテンションもあって、いらしてくださったおひとりおひとりに、最敬礼したいほど感謝の気持ちであった。前半は西谷さんと土佐さんからじっくりコメントをいただき、後半は当方からのリプライも含めて全体討論。ついいつものクセで司会まがいの発言をしたりして、われながらやや奇妙だったが、何とか無事に終わり、アフターセッションもとても楽しかった(カメラをもっていけばよかったとも思うのだが、あれで写真まで撮っていたら、ほんとうに奇妙だったに違いない)。しかし結果的にみると、経済学関係者の参加はお一人だったというところが、なにかを物語っている気がする…

2010年8月13日

バリバール!?

8月11日から13日は外大ロックアウトで、週末の15日まで実質上のお盆休みである。ようやく一息つけて、渋谷ユーロスペースでペドロ・コスタ監督『何も変えてはならない』を観てきた。女優であり歌手でもあるジャンヌ・バリバールのドキュメンタリー的作品である。

JBalibar.jpg

全体としては音楽作品を楽しむ出来であるが、各シーンため息が洩れるほど美しい。ペドロ・コスタ監督、えらいっ!で、このバリバール、マルクス主義思想家のE. バリバールのお嬢さんであるとのこと。この点に関しては彼もホクホクらしい。さしもの思想家も、人の親ということか。しかし久しぶりの映画館の幸福… ああ、クセになるう。

2010年8月16日

お盆休みも明けて

先週はお盆休みで、仕事もペースダウンで進めていたが、今日からまたフル操業である(でないと、間に合わない;きー)。が、お盆休みのお話しをひとつだけ。

昨日はたまたま、友人がダンナ様と行くはずだったチケット(ダンナ様に中国出張が入ったそうで)で、東京バレエ団の<ベジャール・ガラ>を観てきた。メインはニコラ・ル・リッシュの「ボレロ」である。当方にはシルヴィ・ギエムのそれを観て以来、ずいぶん久しぶりである。誘ってもらって感謝~。さて、リッシュは観客を魅了し、終演後はスタンディング・オベーションの大歓声となったが、ギエムが中央で踊ったときとは、周りの男性ダンサーたちとの関係から何から、ずいぶん違っていた。ふーん、ナルホド。いや、とてもよかったのだが。それからこの公演、通常のバレエ公演と異なり、なぜか男性のお客さん率がけっこう高かった(なぜだろう?)。会場では偶然、I福先生にもお目にかかった。大学にいらっしゃるときとあまり変わらないいでたちで、涼しげに御帽子などかぶっていらっしゃる。突然に大学的日常がフラッシュバック!しかし聞けばレヴィ・ストロースにバレエ論があるとか何とか。はあ、文化人類学者も大変ですなあ!しかし、どうも辛そうにはお見受けしなかった。

2010年8月21日

秋の企画のお知らせ2つ

そんなわけで(どんなわけじゃ?)、夏休みに入ってもなぜかしばしば大学に出ている。が、一応夏休みである。メールのやり取りなどでぼちぼち調整しているところだが、9月8日(水)午後@サテライトと、10月16日(土)午後@府中キャンパスで、グローバル・スタディーズの経済関連企画を準備中である。9月のほうは詳細をお知らせできるのは来週になるが、10月のほうはすでに確定済みで(西谷ボスのブログでもすでに告知されている)、かの宇沢弘文先生をお招きしたインタヴュー的講演会というか、対談というか、の企画である。いつものとおりの入場無料(予約はとるかも)、ぜひともたくさんの方々にご来場いただきたい。チラシができたら、またアップします!

目下、他人様の某翻訳プロジェクトから頼まれたチェックに日々勤しんでいる。原語のイタリア語は読めないので英訳版と対照しつつ、テーマは金融危機と認知資本主義あたりのもので、うう、結構しんどい。そんな折、本日ついにS社のUさんにお目にかかり、アリギ『北京のアダム・スミス』のゲラ(とりあえず半分)を受け取った。Uさんと、解説を書いてくださったY氏のチェックがびっしりと書き込まれている。いや、先日のUさんからのお電話で、様子はだいたいわかっていたのだが、はは、これでまだ、後半のゲラもやがて来るのである。当方の夏休みはこれで終わるであろう。ははは… ヒュルー

2010年8月25日

昨今の経済危機を考えるために

先日の拙ブログでご案内した一つ目の研究会、詳細確定いたしました!以下です。
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さる5月のバリー・アイケングリーン『グローバル・インバランス:歴史からの教訓』(東洋経済新報社、2010年)邦訳刊行を記念し、訳者でありアイケングリーンの共同研究者でもある畑瀬真理子先生、この分野に造詣の深い矢後和彦先生をお招きして、テーマに関わる議論の場を設定いたしました。ご関心のあるみなさま、どうぞおいでください(入場無料)。

日時:2010年9月8日(水)15:00-17:30 
場所:東京外国語大学本郷サテライト7階会議室
討論者:畑瀬真理子(日本銀行金融研究所)
    矢後和彦(首都大学東京)
(終了後に近くでの懇親会を予定しております)

いらしていただけるかたは、中山(nakac@tufs.ac.jp)までぜひご一報くださいませ!

MaybeIshouldhave.jpg

ところで、7月にボルドーの学会で観たアイスランドのフィルム(Maybe I Should Have (Gunnar Signurdsson, 2010, 94min.))、昨今の経済危機を考えるためにも、やはりどうしても何らかの形で活かしたいと思い、少し下準備を始めた。当初は講義その他で使えればと考え、字幕制作会社に頼もうかと思ったのだが、ちょっと調べてみると40万円以上かかるとわかって二の足を踏み…。以下、フィルム宣伝のチラシの試訳である。

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ドキュメンタリーフィルム Maybe I Should Have は、アイスランドの平均的な市民、つまり世界で有数の、豊かで汚職のない国に住んでいると信じていた一人であるグンナーの物語である。ある日、彼の世界は動揺し始め、数日のうちにアイスランドで最も大きな三つの銀行が、まるでドミノ倒しのように破産してしまった。
突然グンナーは、彼と同じく何の疑いも持っていなかったほかの市民たちと同様、自らが築いてきたものをすべて失いそうになっていることに気付いた。アイスランドは、人口わずか32万人の国だが、彼らが信じてきたすべて、つまりメディアや政府が彼らに語ってきた、いかにすべてが順調かという話は、まったくの幻想だったのである。
世界は動揺し始め、アイスランドの市民たちは何ら警告も受けず騙されていたのだと気づいて、抵抗のために街へ出た。抵抗する者たちが警察と暴力的に衝突し、警察が彼らを暴力的に扱うという、この北海の平和な小国には、これまでほとんどなかった事態となった。何が起こったのだろう?何が間違っていたのだろう?なぜこんなことになったのだろう?銀行に蓄えられていたはずのお金は、いったいどうしてしまったのだろう?それは、アイスランドの大口投資家の一人がいう「貨幣の楽園」にあったのだろうか?

こうした問いかけに答えを見つけるべく、グンナーは旅に出た。真実を見いだせるという希望をもって。彼は、すべての貨幣が置かれているというロンドン、ニューヨーク、ワシントンDC、ベルリン、ガーンジー(イギリス海峡諸島中の第二の島)、ルクセンブルグや、英領バージンアイランドの小さな島トルトラへと向かう。真実を求める探求の途上で、彼は経済学者や大口投資家、政治家、法律家、リポーター、銀行家やその他多くの人々に会い、答えを得ようとするのだが―。

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まずは知り合いの映像ディレクターSさんのところにデータを送って、感触をうかがうことにした。さて、どうなることやら。

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