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使役

ちょっと前に書いたマダガスカル手話の論文で、

http://repository.tufs.ac.jp/bitstream/10108/92836/1/acs097009.pdf

「笑わせる」みたいな動詞そのものを使役化するものの他に、
節が入れ子構造になっている使役複文も探していたんだけど、
その論文では、

・割と無色な使役文
(例えば英語で、Chris made Pat to clean the room)
みたいなのと、

・許諾の使役文
(例えば英語で、Chris let Pat to go to the party)
みたいなのは採れたんだけど、

・強制の使役文
(例えば英語で、Chris forced Pat to do the translation)

みたいなのが中々採れなかったんです。

でも今日、強制の使役文の否定命令が採れました。
(例えば英語で、Do not force children to eat spinach)

みたいなのが採れました。

調査協力者先生の感覚で、「強制」っていうのが
馴染まなくて、中々出てこなかったんでしょうね。
でも、その否定命令なら、問題無いという。

もっと、政治問題なんかで、

「中国政府は、香港の市民に◯◯することを強制した」

的なものをアイディアとして伝えれば、
否定命令じゃないものも採れるかも知れません。

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ところで、割と無色な使役文
(例えば英語で、Chris made Pat to clean the room)

のmadeのところが、MAMPORISIKAっていう動詞の
例文は一昨年、去年と認識していたんだけど、
今年になって、そこの部分に、ATAOVYという、
MANAO(する)の命令形が出てくる例に気が付きました。

もしかしたら、そこには、ロールシフトが絡んでいるかも。

ビデオをよく見直さないと。

ATAOVYは、「無色の使役」の場合と、
あと、動詞の原型の前(あるいは後ろ)に付けて、
命令文を造るのにも使われるように見受けてます。

ずうっと前には、ATAOVYっていうのはMANAO(する)の
命令形としか認識していなかったので、
ずうっと前から、使役や、「他の動詞」の命令の助動詞として
使われている例があったかも知れません。

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2019年8月20日 02:18に投稿されたエントリーのページです。

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