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ねじれカルク

翻訳借用(loan translation)あるいはカルク(calque)と
呼ばれる現象があります。

外国語の単語を、元の音形に近い形で借用する
(例えば、英:family → ファミリー)のではなく、
「翻訳して」借用すること。

典型としては、部分部分の意味を保ちながら
翻訳して借用すること。

例えば、古典ギリシャ語の語根を使った
新latinate語 oxygen→ドイツ語 Sauerstoff→日本語 酸素
              ↓
         (ロシア語 kislorod)
皆「酸っぱい」「産むもの」という部分部分を
すこしずつ変えながら翻訳し借用しています。

それに対して、部分部分の意味を尊重していないものも
翻訳借用と呼ばれます。例えば、

economy→経済

ところで、最近の現象で、英語の概念をフランス語が取り入れるとき、
わざと、部分部分を尊重しないで、翻訳借用しています。

walkman→balladeur
digital camera→appareil photo numerique
affirmative action→discrimination positive

こんな、「わざと」存在する共通の部分部分を使わずに
「翻訳借用」することに、何か名称が欲しいのですが、
どうしましょうか?

そう言えば、日本に対して複雑な感情を持っているとされる
韓国では、日本語から、あるいは日本語経由で翻訳借用する際、
フランス語でやっているような、わざとの「言い換え」は
していないことが多いようです。
そのようなフランスの言語政策、韓国の言語政策の
背後にある「意識」などにも興味があります。

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2010年7月29日 21:45に投稿されたエントリーのページです。

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