多文化社会実践研究・全国フォーラム(第5回)日程と内容

未曽有の被害をもたらした2011年3月11日の東日本大震災。日本に暮らす外国人はどのような状況に置かれ、どのような支援がなされたのでしょうか。東北3県における外国人支援の状況や、本センターで取り組んだ支援活動を紹介する中から、多文化社会の担い手としての専門人材のあり様、および大学における専門人材養成の意義について議論します。



2011年11月26日(土)

■基調講演&パネルトーク (10:10-12:00)
多文化社会と専門職教育~本学だからこその専門職教育のあり方を探る 

<基調講演>  
亀山郁夫(東京外国語大学長)

<パネルトーク>
【趣旨】 多言語・多文化教育センターは、5年間のプロジェクトの経験を踏まえ、今年度より「多文化社会人材養成プロジェクト」を新たに立ち上げた。異なる背景を持つ人びとを、その個性を尊重しつつもつなげることにより、新しい場や価値を創造していく。そのような能力はどのようにして習得できるのか、それに大学がどのように寄与することができるのか、という問いをこれまで以上に探究し、その成果を発信していきたいと考えている。パネルトークでは、帰国・外国人児童生徒の直面する困難と公立学校における支援政策、教員養成の事例にみる専門職教育の現状と課題、理論と実践の関係の問い直し、および本センターにおけるこれまでの取り組みと展望とを報告した後、多文化共生社会の実現に向けての教育のあり方、関係者間の協働の仕組みについて議論する。

パネリスト    
佐藤 郡衛 (東京学芸大学副学長)
関 百合子 (文部科学省初等中等教育局国際教育課課長補佐)
青山 亨 (本センター長) 

コーディネーター 
受田 宏之 (本学総合国際学研究院准教授)


■ランチタイムセッション(交流のためのラウンドテーブル 12:20-13:20)
※詳細は■こちら


■パネルディスカッションⅠ(13:30-16:00)
東日本大震災― その時、現場で何が起こったか~「多文化共生」の行方

【趣旨】 自治体ではニューカマー外国人の定住化にともなって、90年代以降、「多文化共生」政策が実施されるようになった。「多文化共生」施策は、未曾有の災害時にどのように機能したのだろうか。東北三県で外国人支援にあたっている国際交流協会職員および外国人当事者から、被災地ではどのような取り組みが行われたのか現状と課題について報告してもらった後、「多文化共生」の観点から支援活動を捉え直すとともに、今後の「多文化防災」のあり方や「多文化共生」施策の担い手としてどのような人材が求められるのかを議論する。

パネリスト
宮 順子  (公益財団法人岩手県国際交流協会主幹)
大村 昌枝 (財団法人宮城県国際交流協会参事兼企画事業課長)
幕田 順子 (公益財団法人福島県国際交流協会主任主査) 
劉 朝鋼  (仙台市在住会社員)

コメンテーター  
近藤 敦 (名城大学法学部教授)

コーディネーター 
杉澤 経子 (本センタープロジェクトコーディネーター)


■懇親会 (大学会館2階特別食堂 16:30-18:00)



11月27日(日)

■パネルディスカッションⅡ (10:00-12:00)

多言語対応の必要性とコミュニティ通訳の役割
~司法通訳および東日本大震災における翻訳・通訳の実践事例から

【趣旨】 東日本大震災では、災害救助法が適用された地域(東京都を除く)に暮らす外国人被災者数は約22万7千人に上り、その数は実に日本の全外国人登録者人口の一割強を占めることになったとされている。このことからも、多言語・多文化化が進む日本社会において、あらためて多言語対応による情報伝達の必要性が浮き彫りとなった。
 東京外国語大学では、「語学ボランティア制度」に登録する本学OB・OG、大学院生、教職員にくわえ、多言語・多文化社会専門人材養成講座の一環として開講している「コミュニティ通訳コース」の修了生等が、震災発生直後に立ち上がった全22言語による「多言語災害情報支援サイト」、及び日本弁護士連合会等主催による「被災外国人のため電話法律相談」に携わることとなった。
 このような緊急時の多言語情報支援では、平常時における専門知識や言語技能の蓄積が肝要とされるが、これまでも本学では弁護士会等との協力・連携を通じて、コミュニティ通訳コース修了生が通訳者・翻訳者としての力量を形成する場を、相談通訳を入口とした「司法通訳」の分野において提供してきた。その際求められるのは、通訳者としての訳出スキルのみならず、自身が果たすべき「役割」を十分に認識し、クライアントである弁護士等との円滑なコミュニケーションを図ることである。
 本パネル・ディスカッションでは、法律相談に携わる弁護士、実践の場にいるコミュニティ通訳コース修了生、通訳者を育成する教育者が登壇し、それぞれ①クライアント(ユーザー)の観点、②実践者の経験、③教育者の立場から、コミュニティ通訳者の役割について、実践事例をもとに考察する。

パネリスト
関 聡介 (成蹊大学法科大学院客員教授/弁護士)
内藤 稔 (本センター特任講師)
佐藤エバートン文雄  (コミュニティ通訳コース修了者/長浜市企画部国際交流員)  

コーディネーター
武田 千香  (本センター副センター長/本学総合国際学研究院准教授)


■研究発表セッション (13:00-14:50)
◆個人/グループ発表
※詳細は■こちら


■パネルディスカッション Ⅲ (15:10-17:10)
「多様性」への対応~「協働」を創り出す人材の必要性とそのあり方

【趣旨】 言語・文化の異なる人々の定住化にともなって、地域には様々な問題が顕在化してきている。そうした言語・文化の差異に象徴される「多様性」への対応には、これまでの「人・モノ・金」を資源とするやり方から、「協働」によって生み出される「ソーシャルキャピタル」による問題解決の重要性が指摘されるようになった。本セッションでは、日本社会の多文化化の問題に対して、内閣府が企画・調整役を担い実施されている日系定住外国人施策や現在各地でボランティアを中心に実施されている地域日本語教育に対する文化庁の人材養成の取り組み、および地域福祉の分野において「協働」の推進役はどのように考えられているのかを報告する。そのうえで、本センターで取り組んでいる多文化社会コーディネーター研究の成果を紹介しつつ、これまで日本社会が経験したことのない多様性への対応に貢献できる人材の必要性とそのあり方について議論する。

パネリスト        
齊藤 馨  (内閣府定住外国人施策推進室参事官)
小松 弥生  (文化庁文化部長)
妻鹿ふみ子  (東海大学健康科学部教授)

コメンテーター    
山西 優二 (本学特任研究員/早稲田大学文学学術院教授)

コーディネーター   
伊東 祐郎 (本学留学生日本語教育センター長)


※事前申込みは終了しました。参加希望の方は当日直接会場にお越しください。

日時: 2011年09月21日