お知らせ
【開催報告】第1回 生成AI活用アイデアコンペ(9/14、10/5開催)
東京外国語大学グローバル・イノベーション・デザイン・インスティテュート(GIDI)と学際研究共創センター(TReND)は、日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)様の協力のもと、第1回 生成AI活用アイデアコンペを開催しました。
本イベントは、学生が生成AIの基礎知識や活用方法を学び、自らの関心や問題意識を出発点として、生成AIを活用した(外大生ならではの)アイデアを生み出すことを目的とした企画です。イベントは9月14日(月)の講習会と10月5日(月)の発表会の2日にわたり開催されました。
生成AIの基礎を学び、アイデアを考える ― 9月14日の講習会
9月14日(月)、留学生日本語教育センター棟ワークショップスペースにて、参加学生を対象とした講習会を開催しました。
講習会の前半では、望月源准教授(本学大学院総合国際学研究院)による講義を通して生成AIの基本的な仕組みや倫理・リテラシー、プロンプトエンジニアリングなどについて学びました。 生成AIの基盤となる大規模言語モデル(LLM)の仕組みから始まり、AIがどのようにテキストを生成するのかを学習しました。続いて、ハルシネーション(もっともらしい誤情報の生成)やバイアス、著作権、個人情報保護など、生成AIを利用するうえで注意すべき問題について理解を深めました。
さらに、AIへの指示の与え方を工夫する「プロンプトエンジニアリング」や、背景情報や条件などを設計する「コンテキストエンジニアリング」を取り上げ、生成AIを実際に操作しながら、よりよい結果を得るための方法を学びました。

また、日本IBM様の協力により、無料のオンライン学習プラットフォーム「IBM SkillsBuild」の紹介や、学習コンテンツの体験も行われました。

講習会の後半では、学生たちが各々の関心ごとに4つのグループ(チーム)に分かれ、生成AIを活用してどのようなことができるか、アイデアの検討を開始しました。日本IBM様からご参加いただいた本学卒業生・栁宥輝さんにも学生たちのディスカッションに加わっていただきました。

約3週間のグループ活動 ― 試行錯誤を通してアイデアを形に
講習会後、学生たちはチームごとに10月5日の発表会に向けて自主的に活動を進めました。
各チームでは、取り組むテーマや目指す成果物、想定する利用者、AIに担わせる役割などを整理しながら、アイデアの具体化に取り組みました。
今回のコンペでは、成果物の完成度だけでなく、最初にどのような目標を設定したのか、AIへの指示をどのように工夫したのか、うまくいかなかった点をどう改善したのかといったプロセスも重視しています。そのため、発表会では完成した成果物の紹介に加え、試行錯誤の過程や、そこから得られた知見についても報告してもらいました。
4チームが多彩な成果を発表 ― 10月5日の発表会
10月5日(月)、研究講義棟115教室にて発表会を開催しました。発表会はオンラインとのハイブリッド形式で行われ、4チームがそれぞれの成果を発表しました。

Aチーム「旅する日記」― 旅の計画から思い出までを記録するWebアプリ
Aチームは、旅行の計画や訪問先、その日の思い出を一つにまとめて記録できる日記型Webアプリ「旅する日記」を制作しました。
地図上に写真や旅の記録を配置し、旅行の思い出を視覚的に振り返ることができる仕組みが特徴です。
発表では、実際に制作したWebアプリのデモンストレーションを披露。生成AIによるコーディング支援や画像編集ツールなどを組み合わせ、機能だけでなくデザインにもこだわりながら制作を進めた過程が紹介されました。

Bチーム「Prompt」― AIとの対話を通して自己理解・自己成長を支援する
Bチームは、AIとの対話によって自己理解を深め、一人ひとりの興味や目標に合わせて成長を支援する「オーダーメイド型AI」を構想しました。
具体的な取り組みとして、多言語の単語学習アプリ、歩数計とペット育成を組み合わせたアプリ、日々の活動を経験値として可視化するアプリなどを制作。一部のアプリについては、実際にアプリストアで公開したことも報告されました。
制作にあたっては、AIに一方的に指示を出すだけでなく、AIの側から必要な情報を質問してもらい、対話を重ねながら仕様を具体化する工夫が行われました。

Cチーム「Campus bridge」― 学生と大学をつなぐAI
Cチームは、大学生活の中で学生が感じる疑問や困りごとを整理し、学生と大学のコミュニケーションを支援する仕組みを提案しました。
単にAIが質問に回答するだけではなく、学生自身も十分に言語化できていない困りごとや要望を整理し、大学側が対応を検討しやすい形につなげることを目指しています。
発表では、相談先を案内する機能や、学生のニーズを掘り下げる機能などを想定したチャットボットの画面案を紹介。生成AIを用いて制作したオリジナルキャラクター「つなぴ」も登場しました。
また、AIの役割設定や出力条件の指定など、期待する応答を得るためにプロンプトを改善していった過程についても報告されました。

Dチーム「identity」― AIとの雑談から「自分らしい」小説を生み出す
Dチームは、生成AIを使ってどのように「自分らしさ」を表現できるのかという問いから、AIとの雑談を通してオリジナリティのある小説を生成する方法を検証しました。
好きな作品やキャラクター、最近印象に残った出来事などについてAIと雑談し、その会話内容をもとに小説を生成します。
検証では、基本的な物語の設定を共通にしたうえで、異なる人物との雑談から生まれた小説を比較。その結果、雑談の中で語られた好みや価値観が、登場人物の特徴や物語の描写に反映される様子が紹介されました。
一方で、AIが指示していない内容を独自に補ってしまうことなども確認され、生成AIによる創作の可能性と課題の両面が示されました。

生成AIをめぐるディスカッション
全チームの発表後には、今回の活動で得た気づきや苦労したことについて、学生たちが意見を交わしました。
議論の中では、従来はプログラミングなどの専門知識が必要だと思っていたことにも、生成AIを活用することで挑戦できるようになったという声が聞かれました。
一方で、AIが生成したプログラムなどの仕組みを十分に理解できないことへの不安や、AIに任せきりにせず、人間自身が考え、判断することの重要性についても意見が交わされました。
生成AIの利便性や可能性を実感するだけでなく、その限界やリスクについても、実際の利用経験をもとに考える機会となりました。
4チームそれぞれの取り組みを表彰
発表会の最後には、審査員による講評と表彰が行われました。審査員には、青山亨副学長、望月源准教授に加え、発表会においても日本IBM様から本学卒業生お二人(栁宥輝さん、難波尚子さん)にも入っていただきました。
今回はチーム間で順位をつけるのではなく、それぞれの取り組みの特色や試行錯誤の過程を評価し、4チームすべてに独自の賞が贈られました。
- Aチーム:よく定義できたで賞
- Bチーム:PDCAよく回したで賞
- Cチーム:双方向コミュニケーション賞(副賞:つなぴかわいい賞)
- Dチーム:雑談の力賞
アプリの仕様を明確に定義したこと、制作と改善のサイクルを重ねたこと、双方向コミュニケーションに着目したこと、雑談を通して利用者の個性を引き出す発想など、各チームの異なる強みが評価されました。

生成AIを「使ってみる」ところから、新たな可能性へ
今回のコンペでは、生成AIについて学ぶことから始まり、学生たちが自らアイデアを考え、実際に試し、その成果や課題を共有するまでの一連の活動を行いました。
発表では、実際に動くアプリの制作から、新しいコミュニケーションの仕組みや創作方法の検証まで、学生たちの多様な関心から生まれた成果が示されました。
一方、制作過程やディスカッションでは、AIを使えば簡単にすべてが実現できるわけではなく、目的や条件を明確にし、結果を検証しながら改善を重ねることの重要性も浮かび上がりました。
生成AIを単に便利な道具として使うのではなく、AIとの対話や試行錯誤を通して自らの発想を具体化し、その可能性と課題を主体的に考えること。今回のコンペは、そのような実践の機会となりました。
GIDIおよびTReNDでは、今後も学生が他者と協働しながら学びを深める機会の創出に取り組んでいきます。
なお、「生成AI活用アイデアコンペ」はまた来年も開催を予定しています。
改めまして、ご参加いただいた学生の皆さん、発表会観覧者の皆さま、そして講習会から発表会までご協力いただいた日本IBMの皆さまに、心より御礼申し上げます。




【関連イベント】
今回のコンペにご協力いただいた日本IBM様では、「IBM Bob」を体験できるワークショップ「Bobathon」が開催されています。
IBM Bobを実際に操作しながら、ゼロからWebアプリケーションを開発する体験ができるとのことなので、ご関心のある方はぜひ参加を検討してみてはいかがでしょうか。
<詳細・お申し込みについて>
詳細は以下のWebページをご参照ください。ページ冒頭の「学生向けイベントを見る」から、現在参加可能なイベント情報をご確認いただけます。
IBM Bob for University(詳細・お申し込み)
【開催概要】
第1回 生成AI活用アイデアコンペ 開催概要
- 講習会:2026年9月14日(月)13:00~17:00
- 発表会:2026年10月5日(月)17:30~19:00
- 主催:グローバル・イノベーション・デザイン・インスティテュート(GIDI)、学際研究共創センター(TReND)
- 協力:日本アイ・ビー・エム株式会社