随分前に、マイミクH氏がこの歌に日記で触れているが、
日本のキャンプソングに、ラップランド起源とされる
アチャパチャノチャ、あるいは、アチャパチャノーチャという
歌がある。
http://www30.tok2.com/home/wcw/action/action23.htm
アチャパチャノチャ アチャパチャノチャ
エベスサデベスサドラマサデ
アチャパチャノチャ アチャパチャノチャ
エベスサデベスサドラマサデ
セタベラケイセアバチャ セタベラケイセアバチャ
アチャパチャノチャ アチャパチャノチャ
エベスサデベスサドラマサデ
アチャパチャノチャ(オカリナ インストルメンタル)
http://youtu.be/dvbAKu18esA
論点1
まず、a?a pa?a no?aと検索しても何も出て来ない。
単語の分け目を変えていろいろくっつけてみてもダメ。
?の変わりに、サーミ語(=ラップ語)っぽくはないが
ch、tch、tsch、tjなどと変えてみてもダメ。
もし、仮に現地に昔存在したものだとしても、
現代、ネットに登場するほどポピュラーなものでは
最早ないようだ。
論点2
上記の歌詞を見ると「この言語」は、音素配列論的に、
CV(Cは子音、Vは母音)を基本とした開音節言語である
ということ。日本語は、撥音「ん」や、促音「っ」に
目をつぶれば開音節言語であり、ハワイ語なども
開音節言語だ。(日本語の拗音については、
本筋に関係無いので、省略する。)
一方、サーミ語は、子音終わりの閉音節を
結構多く含んだ言語である。
もし、そんなサーミ語が原語だとしたら、
歌詞にもその痕跡が無いと行けない。
日本語が外国語を取り入れるときには、
音節末子音や、子音クラスターには、
基本、u母音を、タ行とダ行の時だけo母音を
挿入する。
(他の開音節化傾向を持った言語が
外来語/外国語音を取り入れる時には
別な母音が挿入されたり、子音が落とされたりするが、
現代日本語ではその様なことは主要な戦略としては使われない。)
そのu母音(あるいはo母音)を挿入したかもしれないのは、
エベスサデベスサの「ス」と、
ドラマサデの「ド」である。
「ス」に関しては、後続音節もサ行であるから、
もしそこが母音無しのsだったとしたら、
エベッサデベッサとして取り入れられたはずで、
これは却下される。
ドラマサデのドラが、draあるいはdlaだった可能性は
あるが、歌われるときに、ドにもラにも音符が
当たっていることは、これの弱い反証になる。
そうなると、この歌詞は、やっぱり、もともと
開音節言語のものだと強く推定できる。
そうなると、サーミ語原語説は怪しくなる。
論点3
キャンプソングとして同様に歌われる歌に、
マイミクS氏によると、
「洗濯屋のばあちゃん」というのがあって、
「えべすさ(恵比寿さん?)出ベソでドラ猫ニャー」
という歌詞が出て来るそうである。
洗濯屋のばあちゃん
http://youtu.be/cppdlRuiqgM
「セタベラケイセアバチャ」と
「洗濯屋のばあちゃん」も似ている。
これを無関係と考えるのは不自然だろう。<笑>
で、ラップランド民謡説が正しかったとしたら、
この「洗濯屋のばあちゃん」は、アチャパチャノチャに
対して、似た単語に日本語で意味のある単語を当てた
替え歌、ということになりそうだが、
寧ろ、その「替え歌」の方向が逆なんじゃないかと
思えてもくる。
予備的推測
この歌は、日本語の音素を、日本語の音素配列論の
範囲内でならべて、異国情緒を醸し出した、
無意味語の歌なのではないかというのが
ひとまずの結論である。
そしてもしかしたら、意味のある「洗濯屋のばあちゃん」
から「逆に」無意味な「アチャパチャノチャ」が
作成されたのかも知れない。
蛇足
日本語の音素を、日本語の音素配列論の
範囲内でならべて、異国情緒を醸し出した、
無意味語の歌というと、
真っ先に思い浮かぶのが、
バンド、NITORON。
無意味語の歌でイメージを醸し出そうとする
地域は、もっと「南の方」なので、
その点は違うが、それ以外は似ている。
NITORON - アップダウン
http://youtu.be/pxxdi5mBRUM
<一夜明けての我がコメント>
洗濯屋のばあちゃんの方は、
「連」の数を合わせるとこんなでしょうか。
あっちゃ向いてこっちゃ向いて
あっちゃ向いてこっちゃ向いて
えべっさ(ん)(が)でべそでドラ猫ニャー
あっちゃ向いてこっちゃ向いて
あっちゃ向いてこっちゃ向いて
えべっさ(ん)(が)でべそでドラ猫ニャー
洗濯屋のばあちゃん 洗濯屋のばあちゃん
あっちゃ向いてこっちゃ向いて
あっちゃ向いてこっちゃ向いて
えべっさ(ん)(が)でべそでドラ猫ニャー
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まあ、無意味な歌他にもありますけどね。
クイ クワイ マニマニなんかは、
日本語としては無理に、1つの音符に
仮名3個分位まで入ってたりしますけど。
アチャパチャノチャの場合は、そんなことも無く
短い音符が沢山連なって行きます。
なんというか、もの凄く日本語的。<笑>