音声学の専門家に向かって、
「音声学は言語学じゃないでしょう?」
などという失礼なことを
言ってしまったことがありました。
理由は簡単。
佐久間淳一他「言語学入門」(研究社)に
http://www.amazon.co.jp/dp/4327401382
こんな感じで書いてあったからです。
音声学は厳密に言うと、ラングではなく、
パロールの研究なので言語学ではありません、と。
ま、それはそうなんですけど。
でも、言語学の中で、「割と大きめな」
言語共同体のラングのみを研究対象にしていたのは
過去のものになりつつあります。
私の前の世代の言語学者は、
「社会言語学は社会学であって言語学ではない」
と平気で言う人もいましたが、
今は、社会言語学が扱うような
様々な変異をも考慮しないと、
そもそも当該の言語の記述も上手くいかない
ということがわかってきています。
そして、研究対象は、ラングを拡げるというよりも、
パロールのある一定の部分までは研究対象とする
ということになってきているというのが
私の考えです。
それには、音声学の発展や、
(社会学寄りではなく言語学寄りの)
社会言語学の地位向上などが
関係しています。