人間文化研究機構第14回公開講演会・シンポジウム
「ことばの類型と多様性」
http://www.nihu.jp/events/2011/01/28/symposium/
行ってきました。
長野泰彦教授:
ことばを「くらべる」という営みに関する
歴史的な簡単な纏めが良かったです。
ただ、「含意的普遍法則」というのは
あくまでも類型論であって、言語ユニバーサル
ではないのですが、その辺、誤解を生み易いです。
「全ての言語には母音がある」という命題も、
手話諸言語を視野に入れたとたんに
そう簡単には言えなくなります。
(D. Brentariさん等が、「手話の母音」について
論じておられるのは承知の上です。)
窪薗晴夫教授:
疑問イントネーションが、「上がる」ものだけでなく、
「下がる」ものが日本語にもあるとのご指摘、
面白かったです。
大堀壽夫准教授:
「主語」という「範疇」が
さまざまな属性を束ねることによって出て来ること。
また、言語によっては、1つの「主語カテゴリー」に
収束しないことなど、興味深かったです。
認知言語学に傾倒する気はないですが、
C言語学に反旗を翻す「赤ん坊の脳内に『主語』は
無い」というご発言は、小気味良かったです。
プラシャント・パルデシ准教授:
以前、別な席でも伺ったことがありますが、
他動詞構文表現の、日本語、マラーティー語間の
ずれをいまも扱っておられるようです。
おおまかな傾向としては、両言語とも
非意図的事象には、自動詞表現を、
意図的事象には、他動詞表現を用いるが、
日本語には非意図的事象に他動詞表現を
用いる場合があるとのこと。
横綱は右膝を痛めて、休場している。
いろいろ考えさせられました。
そもそも、(私は)日本語他動詞表現の
他動詞「主語」の、意味役割自体を
再検討すべきではないかとも思っています。
太田 斎教授:
主催者に請われて、橋本萬太郎「言語類型地理論」
を解説してくださいました。
そこで、岡田英弘「ピジン起源説」、
松本克己「クレオール説」なども引き合いに出されました。
森 壮也さん:
言語学者一般に知られていない、手話研究の概説を
してくださいました。
コメンテイター:
角田太作教授:
豪州で、動詞の数が東に多く、西に少ないのは、
言語類型地理論的ではないかと。
橋、端、箸のような、語の区別を、
強さ、高さなどのアクセントは
それほど担ってないんじゃないか?
(そもそも豪州には無い。)
(窪薗:諾。切れ目を分ける機能が主。→二面結節か?)
菊澤律子准教授:
オーストロネシア系1200言語。殆どVOS。
マラーティー語で難しいのは?
(パルデシ: 文法性、男・女・中、能格スプリット。)
日本手話で難しいのは?
(森: 非手指標識(NMM)、類別辞表現(CL))
VOSは少ないのか?
(大堀: S-final少ない。カリブ、Hixkaryana等。
会話データ大事。
「林檎食べたでしょ?あなた。(OVS)」
影山太郎所長:
遺伝子にfox P2欠けている、言語障碍の家系(@UK)。
(以下数字等書き取り違えがあるかも知れません。)
50万年前: 人類の発生
20万年前: 言語の獲得
10万年前: 出アフリカ
4万年前: 到欧
7万年前: 到インド
3万年前: 到シベリア
1.5万年前: 到北米
1万年前: 到達中南米
→ 類似点が多くて当然。
1866 パリ言語学会
言語の起源を論じる人多数→後に拒否。
そろそろ、再び言語の起源を論じてもいい頃ではないのか?