以前にも書いてますが、 
「名詞的要素+動詞的要素」(名+動)の順番の複合語ではなく、 
「動詞的要素+名詞的要素」(動+名)の順番の複合語は、 
語の内的シンタックスにバリエーションがあって面白いです。 
基本パターンとして、「動+名」複合語は 
「(動詞)する・される(名詞)」(a)というように 
「名詞」が主要部として解釈されるものと、 
「(名詞)に関して(動詞)する」(b)というように 
「動詞」が主要部として解釈されるものとがあり、 
それぞれ、片方だけだったり、両方だったりの 
バリエーションがあります。 
例えば、「食べ物」は、「食べる物」であって、 
(a)パターンです。 
それに対して、「書き物」は、「物を書く」であって、 
(b)パターンです。 
他方、「編み物」は、「編む物」、「編まれた物」という 
(a)パターンと、「物を編む」という(b)パターンの 
両方の解釈が可能です。 
「この編み物よくできてるわねえ」は(a)の解釈で、 
「ちょっと編み物でもするわ」は(b)の解釈になります。 
両方の解釈が可能なのは、(日本語としては 
文法全体のごく一部分ではありますが)、 
名詞と動詞の区別が曖昧な言語の諸現象に 
連なる現象で、興味深いです。 
最近流行りの「撮り鉄」は、「鉄道を撮る」という 
(b)の解釈しかありません。 
歴史的には、想像するに、漢語の「動詞+名詞」という 
シンタックスが日本語に入り込んだ結果だとは思われますが、 
その歴史をつぶさに跡づけすることは、日本語史の専門家に 
お任せせざるを得ません。 
また、この「動+名」複合語が、漢語的素材に限らず、 
和語や、西洋語からの外来語、オノマトペなどをも 
要素として使うことは、とっても面白いです。
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(後にこんな助言をいただきました。)
   「乗り鉄」の「鉄」は「鉄道」ではなくて、 
   いわゆる「鉄ちゃん」、鉄道マニアのことではないでしょうか。 
   他にも、「乗り鉄」、「模型鉄」、「時刻表鉄」とか、あるみたいですよ。
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それじゃあ、「撮る鉄」のことですね。 
「鉄道を撮る」じゃないや。 
あ~、つまんない。<笑>
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で、動詞用法が無いかと、"撮り鉄しに"で 
ググってみました。 
あることはあるんですが、まあ、 
それは、名詞用法の「撮り鉄」の 
後から使われるようになった可能性は 
あります。 
名詞的な「学生(だ)」が、 
動詞「学生する」になるように。 
でもまあ、「動+名」という組み合わせが 
動詞的意味を誘発しやすいという「力」を 
持っている可能性もあります。