とある用務先のとある部屋の
入り口に、「学年!氏名!用件!」
と書かれています。
これを見て、「あ、全文性が
発揮されてる!」と思いました。
全文性(holophrasis, holophrase)には、
僕の知っている範囲で、
2つの意味があります。
1.幼児の言語獲得の研究において、
1単語からなる1語文が、
その単語そのものの意味だけでなく、
より年長の者なら複数の語からなる
文で表わすような意味を担っていると
考えられることを指してそう呼びます。
例えば、「パパ!」という1語文は、
「あ、パパが見えた」の他に、
「あ、パパが帰ってきた」
「パパ、大好き」など
いろいろな意味を持っている
可能性があるとのことです。
2.複統合的(輯合的とも polysynthetic)な
言語において、他の言語なら複数の語でしか
表現できないような事柄が、複数の形態素からなる
1語で表現できることを指して、そう呼びます。
例:
qayapicuaraliyukapigtellrunricaaqsugnarqaanga(中央ユピック語)
(カヤーピッチュアガリーユカーピヒトゥシホンゲッチャークスグナハカーガ)
「彼は私に本物の小さいカヤックをとても作ってくれたくはなかったようだが実際は作ってくれたようだ」
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「学年!氏名!用件!」の例は、
1の方に近いんでしょうけどね。