「世界を食べよう!」 プロジェクト
2年ほど前から取り組んできた「世界を食べよう」プロジェクトの中心的な課題が大詰めを迎えようとしている。
それは、東京外国語大学出版会から 『世界を食べよう!―東京外国語大学の世界料理』 という本を出すことである。
外大の30名を越える先生方から、それぞれ研究している地域の食文化に関する原稿をいただいた。
ネイティヴの先生方にもご執筆いただいているし、写真部や外語祭実行委員など学生にも協力してもらっている。
レシピと写真をふんだんに盛り込んで、世界の多様性を 「食」 の領域で提示する本を作りたいという思いで始めたこのプロジェクト。
私は、企画からコーディネーター、編集者まがいの仕事まで自ら抱え込んでいるが、それはひとえに楽しいから。最初のうちは、「世界料理の書」を夢見てあれこれ空想を膨らませていたが、集まってきた原稿は予想をはるかに超えて面白く素晴らしい! 歴史的な背景を語ったもの、文化人類学的アプローチのもの、文学と絡めたもの、香り高いエッセイ、ユーモラスでほのぼのしているもの...。
どれもこれも美味しそう!
当該地域の食のありようを、専門家ならでは深い考察とともにさまざまな視点から切り取った、本格的な 「世界料理」 の本が今できあがりつつある(興奮!)。
東京外国語大学というのは、こうした本を作るのにまさに打ってつけの大学であった。本当にすごい専門家集団なのだと、あらためて母校に誇りを感じる。
『世界を食べよう!―東京外国語大学の世界料理』 はコンセプトとして、1冊で世界各地の料理が目で楽しめ(写真)、実際に作って味わうこともでき(レシピ)、文化的・歴史的・社会的背景が深く理解できる(情報)という欲張りな目的を掲げている。単なる料理本ではなく、食文化について「薀蓄」を傾けるほうにむしろ比重を置いている。
さて、どんな感触のどんなデザインの本にするか、検討課題はまだたくさんあるけれど、ぜんぜん苦にならない。編集プロセスに関わりながら、本を作るというのはこんなに楽しいことだったのか、とちょっぴり編集者を羨ましくさえ思っているほどだ。