メールマガジン47号

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【多文化コミュニティ教育支援室メールマガジン】      
 第47号2009年1月8日  文責:ロシア語専攻 田中
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支援室HP:/blog/ts/g/cemmer_mclsc/ja/

学生ボランティアの皆さん 新年明けましておめでとうございます。
皆さんはどんな年末年始を過ごしましたか。
実家で家族とのんびり、友達とわいわい、海外で年明けを迎えた方もいるかもしれないですね。

さて、多文化コミュニティ教育支援室メールマガジンの第47号をお届けします。
このメールマガジンは、月に一度のペースで配信し、支援室の活動内容等をお伝えするものです。冬休み中でも元気な皆さんの活動をお伝えします!

☆★***注目トピック******★☆
=====*報告*======
第5回高校生のための国際理解(グローバル)セミナー

日時:12月26日(土) 10時半~19時半27日(月)9時~19時
場所:研究講義棟113教室対象:高校生30名

東京外国語大学オープンアカデミーの一環として毎年夏・冬に開かれている
「高校生の ための国際理解セミナー」の第5回目が開かれました。
学生ボランティア13名と本学の 尹(ゆん) 教授(多言語・多文化教育研究センター)や国際理解教育専門員木下(同センター)が協力して企画・運営を行いました。全国から集まった高校生30名の中には、昨年冬の参加者や双子で参加してくれている生徒もいました。 初日は「他己紹介」や「人間知恵の輪」などで初対面で緊張する心をほぐすことから スタートした後、ワークショップ「多文化共生!?」を体験。台湾やイランにつながりを 持つゲストスピーカー4名を囲み盛んな質疑応答が行われました。夜の交流会では学生によるフラメンコや韓国伝統楽器サムルノリの体験も。 2日目の朝はキャンパスツアーから始まりました。尹教授のレクチャー「多言語・多文化化する地域社会の課題と可能性」を聞いた後、5つのグループに分かれ4時間に渡る話 し合いをしました。「アイデンティティとは」「国際理解とは」「○○人らしさとは」 など各テーマで全体に話し合いの成果を発表しました。開会式で挨拶した北脇保之先生(多言語・多文化教育センター長)も、高校生の成長ぶりに驚きながら最後の講評で「自分を大事にしつつ周りを尊重して欲しい」とメッセージを贈りました。 

企画運営に携わった麻下さん(朝鮮語専攻)の感想:
今回のセミナーでは絶えず疑問が生まれました。 「自分らしさって何?」
「他人を理解するってどういうこと?」答えのない問題に次々とぶつかりました。
けれど、正解を見つけられないこの「もどかしさ」こそが今回獲たものだったように思います。
大人になって忘れかけていた「なぜ?」の気持ちをもう一度取り戻せた気がしたセミナーでした。  

☆関連記事:「学生の視点から」

☆★***これからの活動予定と報告 ******★☆

■□■学習支援活動■□■
子どもたちと交流しながら勉強をサポートする学習支援活動。
新たなボランティアを随時募集しています。

=====!募集中!=====================

▼府中市内小学校
 府中市内の2つの小学校にて、子どもの勉強を手伝ってくれるボランティアを募集しています。専攻語は問いません。放課後や空き時間を使って、今年一番に新しいことを始めてみませんか?

▼川崎市ふれあい館 
 川崎市桜本地区にある、ふれあい館では毎週木曜日の夜と土曜日の昼間に学生たちが学習支援活動を行っています。支援に通う学生の多くがこの秋から留学に行ってしまっ たため、新たに支援に加わってくれる学生を募集中です。

ふれあい館HPはこちら:http://www.seikyu-sha.com/fureai/

*上記2つに関してのボランティア希望・問い合わせは 支援室 t-shien@tufs.ac.jp(和田・河北)まで

======*進行中・報告*============

▼府中国際交流サロン
 毎週金曜日夕方に行われている府中サロン。現在は学生と子どもたち計30名ほどで活動しています。年内最後の12月18日(金)にはクリスマス会を開きました。ブラジル出身の本学大学院生 ホムロさん扮するサンタクロースの突然の登場に子どもたちは大はしゃぎ。プレゼントに喜んだり、中国語や韓国語を使った伝言ゲーム、宝探しを楽しみました。 今回は、サロンに通う中国出身の女の子(小学4年生)の詩を紹介します。

*************************「雲」
ゴロゴロゴロ、雲が怒った
じゃじゃじゃー、雲が涙を落とした
あ~、雲がつまんなくなった
ハハハ、雲が子どもたちと遊んでる。
ゴホン、雲がせきをして、家にいる
雲って人間みたい
****************************
サポートを担当している大前さん(ビルマ語専攻)のコメント:
最初、本人は「日本語で詩なんて絶対無理」とおっくうでした。二人であれこれ話しながら「雪」「空」といったお題を出していきました。その言葉を見聞きしどんな印象を受けるか話し合い、そのうちに出てきたのが「雲」です天気によって雲はいろんな表情になり、まるで人間みたい!という彼女の気持ちが綴られています。

個性的な擬態語・擬音語は、大前さんが口に出し、彼女がしっくりくる音を選び取っていったそうですよ。二人のコミュニケーションの中から生まれたこの詩。子どもの想像力の豊かさが伝わりますね。それぞれどんな天気か、ぜひ皆さんも考えてみてくださいね。

▼調布市での学習支援
 毎週水曜日と土曜日に、調布市国際交流協会日本語教室にて、小学生と中学生の生徒を、地域ボランティアの方と共に本学学生が支援しています。12月26日(土)のクリスマス会 では、小学生は学年ごとに朗読の発表をし、中学生は自分につながりのある国についてクイズを出しました。まだ日本語をうまく話せないながらも一生懸命発表する子どもたちの姿を、保護者の方も優しく見守りました。最後には全員で歌を歌い、子どもたちはプレゼントをもらい、楽しいひと時を過ごしました。 

参加している鳥光さん(ペルシア語専攻)は、「子どもたちは元気いっぱいで困ってしまうこともありますが、勉強もちゃんとしつつ、今年も楽しく活動していきたいと思います。」と今年の意気込みを語ってくれました。鳥光さんは土曜日に千葉の自宅から教室まで通っているそうです。今年も明るく楽しい教室になるといいですね。

 ▼武蔵野市での小学校学習支援 
 昨年11月より、武蔵野市内小学校にてフランスを母語とする小学6年生の女の子を週1回ペースでサポートしています。担当しているのはフランス語専攻の和田さん。進行状況を聞きました!

-第一印象はどうでしたか。
 とても殻に閉じこもっているのを感じましたね。授業もよく分からず、クラスメイトともコミュニケーションがとれなければ当然かなとも思いますが。

- 現在の様子はいかがですか。
 今は私とも打ち解けて、自分のことをものすごいスピードでニコニコ話しているのを見ると、嬉しくなります。徐々にクラスの子たちとも、関係を築けるようになって年末には年賀状用に住所交換をしたり。

- 何か難しい点はありますか。 
 毎日、私がサポートできるわけではないので、久しぶりに行くと、音楽の授業のパート分けから外れてしまっていたりして。それに私が気づくとちょっと頑なになってしまうこともありますね。 今年3月にそれぞれ、小学校と大学を卒業するため残り数ヶ月の支援です。

メルマガでは和田さんの支援を今後もお伝え致します。

▼武蔵野市第四中学校内 学習センターすてっぷルーム 
武蔵野市第四中学校内学習センターで行われている「すてっぷルーム」。ここでは、学芸大など複数の大学からの学生ボランティアと日本語の先生が一緒になって、外国から来た子どもたちや帰国生の学習支援、交流を行っています。

▼府中市学習支援ボランティア 
学生たちが府中市の小中学校に出向き、外国につながる子どもたちに日本語を教えたり、学校の勉強をサポートしたりしています。

▼足立区での学習支援足立区の2つの小学校で、ウルドゥー語を母語とする児童2名とビルマ語母語の児童1名の支援を昨年から継続しています。


■□■国際理解教育■□■

======*報告*==============

★調布市立調布中学校国際理解教育★
日時:11月9日(月) 12日(木) 26日(木) 30日(月)12月7日(月) 
対象:中学2年生 (各日1クラスずつ 計5クラス)

 身近にいる外国につながりをもつ人たちとどう接したらよいか考え、理解することをねらいに各回1クラスずつに実践を行いました。国際理解教育初参加の1年生を含む計16名の学生が携わりました。実践のメインは「謎の人」ゲーム。大きく「?」マークの書かれた仮面を被った3人の学生が話すのは各自の専攻語だけ。大学生を交えて、言語が通じない相手とのコミュニケーションを通して感じたコミュニケーションに必要なものについて語り合いました。インフルエンザで実践に参加出来なくなった学生もいたりとハプニングもありましたが、無事に全5回の実践を終えました。
☆関連記事:「支援室インタビュー」


■□■その他の活動■□■

========*報告*=============

▼多文化語劇「WA-月餅 on the せんべい-」DVDができました 

スペイン語専攻中村さんを中心に外語祭で上演された、多言語・多文化劇「WA-月餅 on the せんべい-」のDVDがこのたび完成しました。支援室にあるDVDは、スタッフの方に一声掛ければ無料で貸し出し可能です。中国からやってきた一人の少女を巡って起こる学校での出来事を通し、多文化共生とは何かを問いかける舞台です。「舞台を見逃した方、ぜひDVDでチェックしてくださいね!」 (制作・キャストを務めたロシア語専攻山内さん)オリジナルの中国語翻訳による「翼をください」の合唱は、きっと心に響くはずです。

▼うりぬり
 朝鮮語専攻の学生と、韓国の留学生が中心となって活動している団体で、主に小中学校での文化交流や日韓の学生間交流を行っています。今年は外語祭で朝鮮舞踊団とコラボ レーションした舞台を発表するなど、新たな試みを行いました。

▼Amigos 
ポルトガル語専攻の学生が中心となって活動している団体で、地域の外国人児童生徒に対しての日本語による学習支援や、ブラジルに関する文化交流などを行っています。外語祭では日系ブラジル人やアマゾンをテーマにした今年も展示を行いました。
AmigosのHPで写真入りブログを見られます:http://www.tufs.ac.jp/st/club/amigos06/

▼GIRASOL
 2007年、スペイン語専攻の学生で立ち上げた国際協力系サークル、ラテンアメリカの会GIRASOL(ヒラソル)。代表の工藤さん(スペイン語専攻)に新年の抱負を聞きま した。「2009年は新たに児童労働に関するイベントや日本に住む中南米地域の子ども達への学習支援を行うなど、様々なことに挑戦した年でした。今年は今までに出てきた課題と向き合い、GIRASOLが大きく成長できるような年にしたいと思います。」

支援室メルマガでも、今年もGIRASOLの活動を追いかけていきますよ。
GIRASOLのオフィシャルブログはこちら:http://ameblo.jp/latinoamerica-girasol 

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今回は、調布中学校での実践に参加した池田さん(フィリピン語専攻)にインタビューしました。中学高校と柔道に打ち込んできた池田さんが、外大で見えてきたものとは?

-中高校と柔道をやってきたそうですね。
父の影響で、小学2年生から始め、今も外大で続けています。高校時代はインターハイ にも出場しました。

-それだけの経歴がありながら、なぜ外大に?
 自分のことはやるだけやった、という満足感がありました。自分の将来や生きる意味、 そんなことも考えられず1歳になる前に死ぬ子どもたちがいる。生まれた場所 将来が決まってしまう不平等さ。そのスタートラインを揃えたい。そのためにも、途上国の言語、国際関係などを学んでみようと思いました。今までとは全く違うフィールドで学生生活を送りたいという気持ちもありました。

-周囲の期待やプレッシャーも大きかったと思います。
 「体育の教員になれ」とずっと言われてきましたね。自分の柔道スキルしか見られてないのでは、と葛藤を感じたこともありました。
 そんな中、柔道大会の語学ボランティアをきっかけに支援室に参加。調布中学校で国際理解教育にも挑戦しました。 調布中の国際理解教育実践で一緒に携わった同期の子が、「学校の先生向いてるね」と言ってくれたんです。 「柔道」という自分の強み抜きに、本質を見て素直に言ってくれたと感じ嬉しかったですね。
 11月から学習支援も始めました。毎週金曜日、三鷹の「ピナット」という教室でナイジェリアの中2の女の子を支援しています。 家庭環境が複雑だったりと大変な面もありますが、ICUの学生や社会人の方も一緒で刺激になります。

-何をやるにも一生懸命に打ち込みますね。池田さんの「軸」って何でしょう。
あきらめないこと、ですかね。「成功」の反対は「失敗」ではなく、「あきらめ」なんだと思っています。

***************インタビューを終えて***********
「あきらめない」という手垢のついた言葉でも、池田さんがいうと響くものがあります。 柔道を通し挫折を葛藤を乗り越えた池田さんだからこそ、言えるものなのだなと感じま した。池田さんも自認されるように、外大ではちょっと珍しい存在かもしれません。インタビューを読んだあなたも、ぜひ一度、お話ししてみてはいかがでしょうか。

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■学生の視点から 

今回は、「高校生のための国際理解セミナー」に参加した現役高校生からの感想を紹介します。

○もっと堅苦しいものかと思っていたらすごく楽しくて、普段学校でこんなにたくさん意見をぶつけ合わないので、自分とは違った意見を聞いてそれを自分の中に取り込んでいくことの大切さを教わって嬉しかったです。(高校2年生)

○とってもとっても、もう言葉で言い表せないくらい私の得たものは、とっても大きく大切なことだと思いました。自分で考える事の大切さを学びました。この経験を活かして、 もっともっと自分の意見も外へ出しつつ相手の意見も聞いて、視野を大きく持とうと思いました。(高校2年生)

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編集者よりメールマガジンを担当して、今月で丸一年になります。

「今月のあのインタビューがよかった」など感想をもらえたり、初対面の人からも「あっ、もしかしてメルマガの人?」と言われると、つい笑顔になります。 学習支援や国際理解教育をする中での、喜びや難しさ、皆さんの色とりどりのハートが詰まった、充実したメールマガジンを今年も書いていきたいと思います。 インタビューや取材に応じてくださる、皆さんの協力あってこそのメールマガジン。感謝の気持ちを忘れずに取り組んでいきます。

どうぞ本年もよろしくお願い致します。

ロシア語専攻 田中

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このメールマガジンに関する御意見、もしくは支援室の活動に関連して、学生にとって 有益な情報がございましたら、t-shien@tufs.ac.jp(支援室代表)までメールにてご連絡いただければ幸いです。

多文化コミュニティ教育支援室は2012年の東京外国語大学の改組にあわせ、 より広いボランティア活動をサポートするためのボランティア活動スペースとなりました。
(本サイトはアーカイブとして公開を続けています)