メールマガジン46号

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【多文化コミュニティ教育支援室メールマガジン】

     第46号2009年12月8日

        文責:田中
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支援室HP:/blog/ts/g/cemmer_mclsc/ja/

学生ボランティアの皆さん

 外語祭の5日間、皆さんはどう過ごされましたでしょうか。
劇で、料理店で、サークルの発表で・・
普段見慣れた仲間の意外な才能、新たな一面を発見できた!
そんな方も多いのではないでしょうか。

 さて、多文化コミュニティ教育支援室メールマガジンの第46号をお届けします。
このメールマガジンは、月に一度のペースで配信し、支援室の活動内容等を
お伝えするものです。外語祭での皆の活躍もお届けします!


<注目トピック>
*報告*
 ★府中市立住吉小学校 国際理解教育★
 日時:10月21日(水) 
   3時間目及び 5時間目
   *時間はそれぞれ45分。5時間目は研究授業枠のため、約30名の先生方も見学しました。
 対象:5年2組(28名)

 多文化コミュニティ教育支援室でも創設以来初の試みとなる、英語教育と国際理解教育の要素を取り入れた実践を4名の学生が行ってきました!

 「タスク」(課題解決型活動)をキーワードに、3時間目に「茶番劇」、5時間目には「難破船ゲーム」という学生ボランティアによるオリジナルのワークショップを実施しました。
 茶番劇は、与えられた3つの単語だけでお題のシチュエーションを班ごとに寸劇にし、観客に伝えるというもの。一方、難破船ゲームは船が難破してしまい、気づけば地図にも載っていない未知の島(カオス島)へと漂着してしまった状況設定の想像から始まりました。異なる言語を話す島民に扮した3人の学生から、住吉小に帰るための船に付けるマストを手に入れようとする子どもたち。身振り手振りやイントネーションを工夫し、苦戦しつつも交渉し、コミュニケーションの本質とは何かを実感する授業となりました。


 *報告*
 ★外語祭オープンキャンパスでワークショップを実施★
 日時:11月21日(土)
 場所:多文化コミュニティ教育支援室

 外語祭3日目に開催されたオープンキャンパスで、支援室に来場した高校生向けにワークショップを行いました。
 小学校の国際理解教育実践で使ったことのある「あなたと出会う国当てゲーム」や夏の国際理解セミナーで作られた「TUFS(転校うろうろふらふらシミュレーション)ゲーム」などを実施。カンボジア語専攻の柴本さんを始め、6名の学生が対応し、訪れた高校生に支援室の活動を知ってもらうきっかけとなりました。



※※※※ これからの活動予定と報告 ※※※※

■学習支援活動
!募集中!
▼川崎市ふれあい館
 川崎市桜本地区にある、ふれあい館では毎週木曜日の夜と土曜日の昼間に学生たちが
 学習支援活動を行っています。支援に通う学生の多くがこの秋から留学に行ってしまったため、新たに支援に加わってくれる学生を募集中です。
特に、土曜日に来られる方、お待ちしております!

ふれあい館HPはこちら:http://www.seikyu-sha.com/fureai/

▼府中市内小学校
  3つの小学校からそれぞれ1人ずつ、中国から来た児童の支援の依頼が来ています。
  専攻語を問わず週1回程度支援してくださる方を募集しています。 

▼武蔵野市第四中学校内 学習センター すてっぷルーム
 武蔵野市第四中学校内学習センターで行われている「すてっぷルーム」。
 ここでは、ボランティアの大学生や日本語の先生が一緒になって、外国から来た子ども
 たちや帰国生の学習支援や交流を行っています。現在、ボランティアとして参加してくれる学生を募集中です。学芸大学など、他大学の学生ボランティアとの交流もありますよ。

 日時:毎週水曜日 15時半~17時
場所:武蔵野市吉祥寺北町 第四中学校内 学習センター3階
    (吉祥寺駅、三鷹駅よりバス)

☆募集中の学習支援活動への参加申し込み及び問い合わせ先はこちら:
  t-shien@tufs.ac.jp(担当:和田、河北)
*進行中・報告*

▼府中市学習支援ボランティア
 学生たちが府中市の小中学校に出向き、外国につながる子どもたちに
 日本語を教えたり、学校の勉強をサポートしたりしています。

▼府中国際交流サロン
 毎週金曜日夕方に行われている府中サロン。
 今回は大学1年生の春からサロンで支援を続ける、トルコ語専攻の原田さんに
 インタビューしました。支援室スタッフの和田さんも「私よりサロンを知っている」と太鼓判を押す原田さんのコメントは、支援室インタビューのコーナーで!

▼足立区での学習支援
 足立区の2つの小学校で、ウルドゥー語を母語とする児童1名とビルマ語母語
 の児童1名の支援を継続中です。さらに、11月からは、新たにウルドゥー語母語
 の児童に支援を開始しました。

▼調布市での学習支援
 毎週土曜日の午前、調布市の日本語教室にて地域ボランティアの方と共に
 本学学生も学習支援をしています。
 10月から支援を始めたドイツ語専攻の佐々木さんは現在中国から来た
 小学3年生の男の子を担当しています。その感想を伺いました。

-始めたきっかけは何ですか。
佐々木さん:浪人時代、NHKの高校生向け学習支援活動のドキュメンタリー番組を見たことです。外大合格後の新入生オリエンテーションで、支援室に足を踏み入れ「外大でもできるんだ!」と思いボランティア登録しました。

-活動の様子はどうですか。
佐々木さん:彼は日本語がかなり上手で。ただ、漢字がちょっと苦手なので一緒に練習しています。ポケモンやレンジャーもののテレビの話なんかもしてくれて嬉しいですね。

今回の外語祭では、筆者所属の裏千家茶道倶楽部の茶会で、この日本語支援教室に
携わっている地域ボランティアの方を偶然にもお迎えしました。
「外大の学生と一緒に活動できることは、子どもたちだけでなく、私たち大人のボランティアにとっても新鮮ですよ」とその女性の方はお話ししてくださいましたよ。

*支援室の新顔、佐々木さんのインタビューは調布市立中学校実践でも読めます。



■国際理解教育
*報告・実践中*
★調布市立調布中学校国際理解教育★
 日時:11月9日(月) 12日(木) 26日(木) 30日(月) 
   12月7日(月)
 対象:中学2年生 (各日1クラスずつ 計5クラス)

 身近にいる外国につながりをもつ人たちとどう接したらよいか考え、理解することをねらいに各回1クラスずつに実践を行いました。月曜班と木曜班に分かれて実践に携わっている計16名の学生のうち、ほとんどは1年生や国際理解教育実践が初めての人です。
言葉無しで身振り手振りで誕生日を伝え合い誕生日順に並ぶ「バースデーライン」、○×ゲームや暗記ゲーム、仲間探しゲームなど、毎回生徒の反応を振り返り活動に工夫やバリエーションをこらしています。実践のメインは「謎の人」ゲーム。大きく「?」マークの書かれた仮面を被った3人の学生が話すのは各自の専攻語だけ。
 生徒たちは班ごとに聞き方や身振り手振りを工夫して、好きな食べ物や年齢を聞き出しシートへの記入を競い合いっています。その後のグループ・ディスカッションでは、大学生を交えて、 言語が通じない相手とのコミュニケーションを通して感じたコミュニケーションに必要なものについて語り合っています。担任の先生からも、「いつもより明るい表情が見られた。協力していた。」「今日のようないい空気を味わった子どもたちは きっとそれが体に残って、すごくいい体験になっていると思う」などの声も頂いています。インフルエンザで実践に参加出来なくなった学生もいたりとハプニングもありましたが、実践最終回に向け学生たちは練習を重ねました。月曜・木曜両方の実践に参加しているドイツ語専攻の佐々木さんに学習支援に続きこちらでもインタビューしました。

-学習支援に続き、国際理解教育にもチャレンジしようと思ったのはなぜでしょうか。
佐々木さん:自分の中ですごく憧れている職業があります。その職業に就いている方から、「今しかできないことをやってごらん」とアドバイスされたことがきっかけでした。

-自分がやりたいことと、出来ることが上手く重なったんですね。
 中学2年生と接するというのは、学習支援で小学生と接しているのとはまた違いますよね。
佐々木さん:素直な子が多いと感じますね。自分が話すことより聞くことを優先するよう心がけています。

-実践の様子を見ると、佐々木さんとても自然体に見えますね。
佐々木さん:でも実際、ディスカッションで話を抽象的なことでなく、身近なこととして落とし込む難しさは感じていますよ。

-実践に参加することで、新しい発見はありましたか?
佐々木さん:ある生徒が「外国につながりを持つ人に対し、変に国や文化を知ろうと焦る必要はない。一緒にいれば仲良くなれると言ったんです。枠からではなく、芯から人として相手を知ろうとしているのだ、と驚きました。同時に、将来の夢に対し少し焦っていた自分の身にとても染みる言葉でしたね。

-今目の前にあることを、焦らず取り組めばよい、と。
佐々木さん:そうですね。僕自身は「常に自分の思うことに素直であること」を大事にしています。

-最後に、これから活動を始めようと思っている読者にメッセージをお願いします!
佐々木さん:支援室って、正直入りづらいですよね・・。でも!入ってしまえばそこには新しい発見が待っていますよ!

「残りの実践では『謎の人』を遠い存在で終わらせて欲しくない。もっと身近に感じてもらえるようにしたい。」
と意気込みを語ってくれた佐々木さん。テレビ局と飲食店でのアルバイトをこなすなどその日常は1年生と思えない充実ぶりです。支援室の中でも、皆にエネルギーを与えてくれるそんな存在になりそうですね。


■その他の活動
*報告*
▼多文化語劇「WA-月餅 on the せんべい-」上演大成功!

 日時:11月21日(土) 18時20分~
 場所:研究講義棟101教室
 
 スペイン語専攻中村さんを中心とする企画、多言語・多文化劇
 「WA-月餅 on the せんべい-」の上演が外語祭3日目の夜、上演を無事終えました。
 開演前から会場前には長蛇の列が。出演者の友人や家族はもちろん、ビラや呼びかけを聞いた方も数多く足を止めてくれ、会場はほぼ満席。
 主人公の水野月光は中国からやってきた小学6年生の女の子。初めての日本、分けも分からぬままやり過ごす授業、「月餅」とつけられたあだ名・・。
 ある小学校の教室の中の一人の少女を巡って起こる出来事を通し、多文化共生とは何かを問いかける舞台になりました。中国出身の大学院生、周さんが翻訳した「翼をください」を中国語で合唱し舞台は無事、幕を閉じました。ミュージカル風の演出、ユーモアのあるセリフ、一人ひとりの個性を活かした配役など、
 手作り感あふれる温かい雰囲気に会場は始終包まれました。
 
 語劇に携わった中村さん、黄海さん(中国語専攻)、松嶋さん(中国語専攻)、山内さん(ロシア語専攻)、周さん(大学院)にインタビューしました。

-脚本・演出を手がけた中村さんは、高校時代演劇部だったそうですが今回はいかがでしたか。
中村さん:脚本を含め舞台をゼロからつくるというのは初めてで大変でした。でも、舞台って自分が今まで見聞きして体験してきたことを全て出せる場だと思うんです。今回も、メンバーの経験に基づいた話ですし。いかに観客に楽しみ、考え、そして見た後行動してもらえるかを工夫しました。

-松嶋さんは主役の水野月光を演じましたが、ご自身の経歴とかなり重なる部分がありますよね。
松嶋さん:月光役もそうですし、彼女を途中で突き放す中国出身のリン役がかつての自分と重なる部分もありました。実は劇中で歌った「翼をください」も私が小6のときに歌ったものです。まだ上手く日本語で歌えず劣等感を感じたあの時の思い出と、今まで練習してきたことを思い出しながら歌っていました。

-山内さんは、役者以外にも代表・制作としてメンバーを支えました。
山内さん:語劇局とメンバーとの間のスケジュール調整や物品の貸し出しなど、色々ハプニングはありましたね。他にもファッションショーのモデルを務めたり慌しい5日間でした。外語祭はひと段落着きましたが「これからが始まりだ!」と逆に意気込んでいますよ。
-月光の母親を演じた黄海さんは語劇を終えてどうですか。
黄海さん:間の取り方と照明とのタイミングの合わせ方が難しく本番もハプニングがありましたが、皆がアドリブで助けてくれました。練習の過程でいえば、中村さんが本当に輝いていて。良きリーダーとは何か、中村さんからみんな学んだと思いますね。

-劇中での周さんの観客へのメッセージは印象的でしたね。
周さん:支援室以外でもしゃべれる場を得て、皆さんに伝えてそして共有できた、というのは大きいです。

-最後に大仕事を終えた中村さんから、読者の皆さんにメッセージをお願いします!
中村さん:自分自身で見聞きしたものを大事にして欲しいです。そこで思ったことを、1対1でもどんな形でもよいから発信、アウトプットしてみてくださいね。

 ***舞台だけでは伝えきれない溢れるばかりの思いが一人ひとりから伝わってくるインタビューでした。今回の主役は月光でしたが、登場人物の誰をとっても物語が作れる舞台でした。そこが、観客の共感を呼んだのではないでしょうか。ひとつの終わりでなく、これが始まり。語劇メンバー皆の今後の活躍が楽しみです。そこから少しずつ、多文化共生の「WA」が広がっていくはずです。

▼うりぬり
 朝鮮語専攻の学生と、韓国の留学生が中心となって活動している団体で、主に小中学校での文化交流や日韓の学生間交流を行っています。外語祭では5日間に渡り、公演を行いました。今回は、7月に結成されたスペイン語専攻の1年生4人からなる朝鮮舞踊部との初のコラボレーションが実現。力強い打楽器が印象的な韓国伝統音楽サムルノリと華やかな舞踊で、観客を朝鮮半島の農耕生活が育んだ音楽の世界へと誘いました。
この春からサムルノリを始めた朝鮮語専攻の佐々木さんにコメントを頂きました!
 「野外ステージの方で最高のものをお見せしたかったのですが、やはり緊張してしまって・・・。でも、演奏途中にお客さんから拍手を頂けると本当に嬉しかったです。3歳からピアノをやってきましたが、サムルノリは皆で演奏する連帯感が良いですね。もっとメンバーを増やしていきたいです。」

▼Amigos
 ポルトガル語専攻の学生が中心となって活動している団体で、地域の外国人児童生徒に対しての日本語による学習支援や、ブラジルに関する文化交流などを行っています。外語祭では今年も展示を行いました。ポルトガル語で代表を務める岩下さんと、ポルトガル語専攻の葭本(よしもと)さんに外語祭展示の感想を聞きました!
 
-会場の210教室の窓に、やしの木をかたどった色画用紙が貼ってありましたね。
岩下さん:今年はブラジル西部のアマゾンに日本人が移住して80年ということで、アマゾンをきっかけにして入植の過程や、アマゾンの動植物と環境破壊問題を紹介するコーナーを設けました。

-もちろんAmigosの紹介もありましたよね。それに加え、日系ブラジル人の現状を伝えるコーナーも。
岩下さん:日本で暮らす日系ブラジル人の現状を伝えた新聞記事を展示しました。
不況により派遣切り、ブラジル人学校の閉鎖と不就学となった子どもたち、参政権付与の問題などの記事に衝撃を受けた方も多かったようです。

-感想ノートには、オープンキャンパスで訪れた高校生から、私たちの親世代まで幅広い方の驚きの声が書かれていますね。
岩下さん:5日間を通し600人以上の方に見て頂くことができました。普段している学習支援活動って中々効果が目に見えにくいんです。けれど、こういう場で展示することで広く知らせるという効果があると実感できましたね!

-もうすぐ、世代交代ですが1年生の葭本さんはどんな心境ですか。
葭本さん:ブラジル人学校での活動はとてもためになる反面、通うのに交通費がとてもかかるのが悩みです。そういった意味で、代表と係、そして補助金など仕組みをしっかりと整えていきたいですね。
 
AmigosのHPで写真入りブログを見れます:http://www.tufs.ac.jp/st/club/amigos06/

▼GIRASOL
 2007年、スペイン語専攻の学生で立ち上げた国際協力系サークル、ラテンアメリカの会GIRASOL(ヒラソル)。
 今年も外語祭にて展示を行いました。学習支援やワークショップ実践の報告を模造紙で展示するのはもちろん、会場にはナスカの地上絵のミニチュア版や、メキシコに留学中のメンバーの写真付き留学日記も。途上国で作られたフェアトレード商品の委託販売も行い、中でもアルパカの毛で作られた野菜のマスコットは女性の人気を集めていました。
 代表のスペイン語専攻工藤さんに今回の手ごたえをインタビューしました!
 
-去年はラテンアメリカ地域全体の政治、社会問題などを取り上げましたが、今年の
  コンセプトは何でしたか?
工藤さん:ラテンアメリカ地域についてちょっと詳しく知ってもらいたい、ということでした。自分がペルーに旅行に行ったり、メンバーがキューバ旅行とかメキシコ留学に行ってるということで、地域別に焦点を当てて紹介しました

-ナスカの地上絵をダンボールで再現したのがユニークでしたね。
 工藤さん:地上絵は去年もやったのですが、去年同様子供が実際に地上絵の上を楽しそうに歩いてくれて、嬉しい限りでした。

-5日間を通し結構な人が来たみたいですね!
工藤さん:大体200から300人くらいの方が来てくれました。特に多かったのはやっぱり府中に住んでいる年配の方でしたね。そのほかにも、去年も来たよ、と言ってくれた方も何人かいましたよ!

-展示の他にPUENTEさんが扱っているペルーとボリビアの生産者が作った商品の委託販売を行いましたね。
工藤さん:お腹がまんまるく膨らんでいるのが特徴の「アニマルマル」という動物の小さな置物が一番人気でしたよ。ほかにも、指人形の形をした動物、野菜のマスコット・ストラップ、ボリビアでは魔除けの力があると言われている「アクマくん」のマスコット・ストラップが好評でしたね。

-いわゆる「フェアトレード」商品ですよね。
工藤さん:はい。生産者に正当な賃金を保証するために値段が高くなっているのですが、お客さんの多くは、それがわかっていても、高くて手を出せないようです。費者にとっては「お買い物を通した国際協力」の手段であるフェアトレードをもっともっとたくさんの方に知ってもらい、身近なものになればいいな、と感じました。

-まだまだ課題はありますが、全体を通しての感想を。
工藤さん:去年に引き続き足を運んでくださった方がGIRASOLの展示を覚えていてくれて嬉しく思うと同時に、来場者にとって少しでも記憶に残る展示が出来たのかな、と来年の外語祭で展示をする上での励みになりました。

  GIRASOLのオフィシャルブログはこちら:
  http://ameblo.jp/latinoamerica-girasol
 

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■支援室インタビュー
 今回は、学習支援歴4年目のベテラン、トルコ語専攻の原田さんにインタビューしました。
  府中サロンでの3年半、子どもたちと向き合い見えてきたこととは?

-入学直後に、府中サロンでの支援を始めたそうですね。
原田さん:支援室を一人で覗きに来たその場でボランティア登録し、その日に府中サロン見学したんですよ。
-いきなり大胆ですね!当時はサロンが人手不足だったということもありますが・・
原田さん:でも実は高校3年生の時、オープンキャンパスで支援室で、スタッフの和田さんとお話ししていたんです。当時はまだ更沙さん、ポルトガル語専攻の学生でした。

-初めて支援を担当した子のこと、今でも覚えていますか。
原田さん:ハワイから来た女の子でした。偶然にもその子の名前が私と同じ「星来」で。
先輩方が教育実習や就職活動でサロンをお休みしていって、気づいたら自分もレギュラー
メンバーになってました(笑)

-苦労したこと、逆に嬉しいこと色々あったと思います。
原田さん:そうですね。オノマトペを教えるのは今でも苦労しています。「サクサク仕事をする」の「サクサクって何?」とか(笑)その半面、これだけ続けているとサロンを卒業した子どもたちが遊びに来てくれる、なんていう繋がりは嬉しいです。

-子どもの親御さんとの付き合いはどうですか。
原田さん:受験生を持つ親御さんからは、やはり「もっと勉強させて」と言われますね。そういう時は具体的な受験対策案を提案しています。日本語が出来ないから、勉強が出来ないと思っている方も多く、その点学生の意識とのギャップを感じます。

-学生の意識と言うと?
原田さん:がっつり勉強させる先生というより、身近なお兄さんお姉さんであろうとする学生ボランティアが多いと感じます。学校に馴染めるように、話を聞いたり一緒に遊んだり。同じ国につながりを持つ子同士を結びつける場でもあると。

-原田さんにとって府中サロンとは?
原田さん:役に立てているという実感を持てる場所、でしょうか。子どもたちが大人になったとき、覚えていてくれたら嬉しいな。

-最後に大切にしていることを教えてください!
原田さん:「大丈夫じゃないけど、大丈夫。」今の悩みも、将来の不安も、大丈夫でないように思えて案外大丈夫なものなんです。そう自分に言い聞かせていますね。

*******インタビューを終えて*****
一つひとつの言葉を選ぶように、丁寧に話してくれた原田さん。いつも物静かなのかなと思いきや、サークルではギターを弾いているそうです。大好きなバンドについても熱く語ってくれて、「静と動」そのメリハリが魅力的な大先輩でした。


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■学生の視点から-番外編-
 今回は、多文化語劇をご覧になった方へのアンケート質問の答えを紹介します。
 質問:あなたが考える「多文化共生」とは何ですか?

 ○はれ物にさわるようなこわごわとして外国人に接しないこと。国、人間には違いがあって当然ということを分からせることが必要。外国人が日本で暮らしていけるよう日本の行政、学校、地域にまず日本語をサポートするスタッフを配置すべきです。

○No matter what language or culture, it's important to try to understand everyone!

これらの他にもスペイン語、中国語などでの回答もありました。100人いたら100通りの「多文化共生」への思いがありますよね。あなたの考える「多文化共生」はなんですか?

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編集者より

 外語祭明けということで、今回のメルマガも外語祭色の強いものとなりました。
 普段とは違う皆さんの違った面が見れて、筆者としても、個人としてもとても
 新鮮な5日間でした。活動や表現の形は違っても、「多文化共生」というゴールという点では共通しているのかもしれません。
 
 そんなことを思っていたら、11月23日(月)朝日新聞朝刊社説にまさに外国人選挙権を通して考える「多文化共生社会」について前向きな提言が書かれていて、嬉しく思いました。インターネットでも読めるので、よければアクセスしてみてくださいね。
 
 朝日新聞 11月23日(月) 「外国人選挙権 まちづくりを共に担う」
 http://www.asahi.com/paper/editorial20091123.html

 小さな一歩が、大きく世論を変えることもあるのかもしれません。
 効果が見えづらくても、今すぐ変わらなくても、希望を捨てず活動を続けていきたいですね。

 ロシア語専攻 田中

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このメールマガジンに関する御意見、もしくは支援室の活動に関連して、学生にとって
有益な情報がございましたら、t-shien@tufs.ac.jp(支援室代表)までメールにてご連絡
いただければ幸いです。

多文化コミュニティ教育支援室は2012年の東京外国語大学の改組にあわせ、 より広いボランティア活動をサポートするためのボランティア活動スペースとなりました。
(本サイトはアーカイブとして公開を続けています)