メールマガジン44号

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【多文化コミュニティ教育支援室メールマガジン】

      第44号2009年8月2日

        文責:田中
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支援室HP:/blog/ts/g/cemmer_mclsc/ja/

学生ボランティアの皆さん
 
 世間はすっかり夏休み。
電車や街中でもリュックサックを背負った楽しげな小学生をたくさん見かけますね。
学生の皆さんはレポートとテストのピークがようやく過ぎ去り、一息ついたところでしょうか。
キャンプに旅行に海水浴・・何歳になっても夏休みの訪れはやはりワクワクするものですね!

 さて、多文化コミュニティ教育支援室メールマガジンの第44号をお届けします。
このメールマガジンは、月に一度のペースで配信し、支援室の活動内容等を
お伝えするものです。

〈夏休み閉室期間のお知らせ〉
多文化コミュニティ教育支援室は、8月12日(水)~8月31日(月)
の間、お休み致します。

<注目トピック>
*報告*
★留学生と日本人学生の交流会★
-お茶のお菓子を通して ノルウェー 台湾 ネパール-

日時:7月24日(金) 12:20~14:30
場所:留学生日本語教育センター 交流室
内容:ノルウェー、ネパール、台湾の留学生による発表
    各国の手作りのお茶とお菓子を通した交流

 東京外国語大学留学生支援の会と多文化コミュニティ教育支援室共催による
交流会。日本人学生と留学生が一緒に手作りしたノルウェーのワッフル、ネパールのチヤ(ミルクティー)、ラスグッラー(バラ水のシロップにつけた甘いお菓子)、台湾のパイナップルケーキなど珍しい食べ物に、参加者は舌鼓を打ちました。
それぞれの発表では自国の気候、お祭りなどを取り上げとても興味深いものになりました。

 司会を務めたロシア語専攻の山内さんは「どうしたら食べることを通し、文化に
親しんでもらえるか悩みました。屋台形式にする、ポスターは手書きにするなど、
皆で考えて工夫を凝らしました」と話してくれました。


★オープンキャンパスにて「世界」を感じるワークショップ実施★

日時:7月25日(土) ①13:00~13:40
②14:00~14:40
場所:研究講義棟208教室 
内容及び参加者:①日本語・学習支援-外国から友だちが来た!高校生23名参加
        ②国際理解教育-あなたと出会う国当てゲーム 高校生21名参加

昨年度に引き続き、今年もオープンキャンパスにて支援室でワークショップを行いました。オープンキャンパス自体の参加者も3300人と前年度を大幅に上回り、支援室も高校生でにぎわいました。日本語・学習支援の方の企画運営に携わったフィリピン語専攻板谷さん、国際理解教育の方に携わったペルシア語専攻佐藤さんに感想を
頂きました!

板谷さん
「調布市での学習支援活動を通して私が感じた事や学んだ事をお話し、来ている高校生の方々に少しでも興味を持ってもらえたらと思って説明に臨みました。終了後、生徒さんと保護者の方に『支援室のHPはありますか?外語祭でもブースは出ますか?』など質問を頂き、支援室の輪が広がったように感じました。一年前は自分が見る側だったワークショップに、紹介する側として参加できて本当に嬉しかったです。」

佐藤さん
「重要な受験対策を聞いているような、高校生のまなざし。進行役だった私は先輩の明るいノリと笑顔に救われながら言葉を必死につなぎました。国当てゲームを用いて国際理解について話し合いましたが、上手趣旨を伝えられたから不安でした。ホッと一息ついたのは終了後。先輩からの『おつかれ』の一言と、高校生からの真剣なコメント。支え合う気持ちに伝わる思いに胸がいっぱいの一日でした。」

            

※※※※ これからの活動予定と報告 ※※※※

■学習支援活動
!募集中!
▼川崎市ふれあい館
 川崎市桜本地区にある、ふれあい館では毎週木曜日の夜と土曜日の昼間に学生たちが
学習支援活動を行っています。現在支援に通う学生の多くがこの秋から留学に行ってしまうため、新たに支援に加わってくれる学生を募集中です!
専攻語問わず、木曜日・土曜日どちらか片方の参加でも大丈夫です。

ふれあい館HPはこちら:http://www.seikyu-sha.com/fureai/

*進行中・報告*
▼府中市学習支援ボランティア
 学生たちが府中市の小中学校に出向き、外国につながる子どもたちに
日本語を教えたり、学校の勉強をサポートしたりしています。今回は先月支援を
終えたばかりの、アラビア語専攻中島さんにインタビューしました。 

田中:今年の4月から6月まで、エジプトから来た子どもを支援して
いたということですが具体的にどんな形でのサポートでしたか。
中島さん:週に1回、学校の1時間目の国語、2時間目の算数の授業に付き添い、
お手伝いをしていました。

田中:初めての学習支援でしたが、一番印象に残っている嬉しかったことは何ですか。
中島さん:実は、私の前にその子を支援していた先輩がいたのですが、就職活動で忙しくなり私が引き継いだという形だったんです。けれど、最初の方からとてもよくなついてくれて 嬉しかったですね。「日本語上手でうらやましいなぁ」と言われたことも。どうやら私の ことを同じエジプトの人だと思っていたみたいです。

田中:すごく親近感を持ってくれていたんですね!逆に苦労したことは。
中島さん:日本に来て2年以上経っている子だったので日常会話に問題は無かったのですが、とにかく漢字が嫌いで書いてもらうのが大変でした。漢字嫌いは直りませんでしたが、最後の方は授業内で積極的に発言するようになって嬉しかったですね。

田中:中島さんのサポートで、日本語に自信がついた表れですね!
    担任の先生や保護者の方とのやり取りはありましたか。
中島さん:担任の先生から、保護者向け配布プリントの翻訳をお願いされてやっていました。あとは、連絡がうまく取れず授業のつもりで行ったら運動会だった・・なんていうハプニングも(苦笑)

田中:3年生のこの時期に始めることのメリットは何だと思いますか。
中島さん:まずは、授業時間割に余裕が出てくるため支援に参加しやすい、とういこと。2年間の積み上げがある分専攻語を活かしたサポートもよりしやすくなると思います。

田中:最後に、「今からでもできるかな」と迷っている人にメッセージをお願いします!
中島さん:就職活動が始まると忙しくなり、就職した後も国際協力といった活動をすることは中々大変だと思います。時間のある今しかできないことが、きっとあるはずです!

-大学院での心理学・カウンセリングの専攻を考えている中島さん。
  「まずは院に向けてお金を貯めること。それともっと本を読んだり、次回ボランティアに向けてアラビア語も勉強したいですね!」とこの夏の意気込みを語ってくれました。


▼府中国際交流サロン
 毎週金曜日夕方に行われている府中サロン。7月3日(金)には皆で七夕を楽しみました。夏休み前ラストの7月17日(金)には初の試みとなる保護者会を実施しました。
児童のご両親と学生たちがサロン・家庭での子どもたちの様子を報告し合ったほか、
一緒に作ったお団子を皆で味わいました。

▼足立区での学習支援
 足立区の2つの小学校で、ウルドゥー語を母語とする児童1名とビルマ語母語
の児童1名の支援を継続中です。

*予定*
▼川崎市での学習支援
 川崎市内の中学校で、フィリピンにつながりを持つ女の子に対し
夏休み中1ヶ月の支援を行う予定です。

▼府中市での学習支援
 府中市内の小学校で、中国から来た女の子の支援をこの秋から開始予定です。

■国際理解教育
*報告*
高校生のための国際理解セミナー
日時:7月26日(日) 10:00~17:00
場所:留学生日本語教育センター
参加者:高校生28名
内容:午前の部テーマ 「文化とアイデンティティ」
    世界のことばでこんにちは・他人に自分を例えてもらう・
    「ちゃんけん」ゲーム

    午後の部テーマ「ともに生きる」
    TUFS(転校うろうろふらふらシミレーション)
    ミックスルーツの若者のドキュメンタリー番組を題材にしたディスカッション

毎年夏と冬に行われている高校生のための国際理解セミナーが今年も開かれました。
グローバルセミナー、略して「グロセミ」の名で親しまれるこのセミナーの開催に向けて学部1年生~4年生まで20名の学生が午前と午後の2つの班に分かれ、6月から準備を
進めてきました。午前の部では、世界の国のことばで挨拶をし合う、じゃんけんをベースとしたオリジナルゲーム「ちゃんけん」のチーム対抗戦をするといった体を動かすアクティビティを通しアイスブレイキングを行いました。午後の部では、外国から来た転校生を体験するすごろく風ゲームTUFSや、外国につながりをもつ「ミックスルーツ」の若者のドキュメンタリー番組を見てグループディスカッションを行い考えを深めました。一日の活動を通し、「自分」と「相手」、「ともに生きる」とは何か、学生スタッフ、高校生が一緒になって考えた熱い一日になりました。

関連記事:支援室インタビュー
      学生の視点から

*今後の予定*
★CEMLA夏期集中講座★
 神奈川県内の4つの高校が合同で行っているプロジェクト「CEMLA(セムラ)」。
そこで実施する高校生の夏季集中講座(8月5日~7日、3日間)に本学学生5人が
相模女子大学2名の学生と共にボランティアとして参加します。
講座の中心は、6日に行われる横浜中華街へのフィールドワークとそれを踏まえての
最終日のグループ討議+発表です。学生ボランティアはそこで、ワークショップの盛り上げやフィールドワークへの同行、発表のサポートを行う予定です。

■その他の活動
*今後の予定*
★横浜開港150周年記念事業「世界こどもスポーツサミット in 横浜」語学ボランティア★
 中国・台湾・マレーシアなど16の国と地域が参加する、世界で初めてのスポーツを愛するこどもたちのサミットが21日(金)にパシフィコ横浜にて開かれます。
本学の学生ボランティアがサミットに先立ち20日(木)に開かれる国際キャプテン会議
21日(金)サミット本会議にて通訳補助を担当します。

★2009ジュニアスポーツアジア交流大会 語学ボランティア★
 8月24日(月)から31日(月)の間 バンコク、クアラルンプールなどアジア16都市(東京を含む)のジュニア選手によるバドミントンと柔道の大会が東京で開催されます。大会期間中の試合と交流プログラムにおいて、選手団のコミュニケーションサポートを本学学生ボランティアがする予定です。

★東京2009アジアユースパラゲームズ 語学ボランティア★
 9月にアジア30の国・地域から障害のある14歳から19歳のジュニア・アスリートが集まり、国際障害者のスポーツ大会が開催されます。選手・スタッフ合わせて1000人の参加が予定されているこの大会で、本学学生も各国・地域代表団に同行し、語学ボランティアとして参加します。

*進行中*
▼多言語・多文化劇プロジェクト -台本・タイトル決定!「月餅 on the せんべい」
 スペイン語専攻の中村さんを中心に、今年の外語祭での「多言語・多文化劇」上演の
企画が進行中です。毎週ミーティングを進め、脚本・会計・広報といった具体的な役職と担当が決まったほか、タイトルが決定し台本が完成しました!
タイトルはその名も「月餅 on the せんべい」。中国と日本それぞれの昔ながらのお菓子に台本のヒントがありそうです。夏休み中は役者の練習や、音響や照明の講習会など各自担当ごとに動いていく予定です。

▼うりぬり
 朝鮮語専攻の学生と、韓国の留学生が中心となって活動している団体で、主に小中学校での文化交流や日韓の学生間交流を行っています。夏休み中には合宿を行う予定です。

▼Amigos
 ポルトガル語専攻の学生が中心となって活動している団体で、地域の外国人児童生徒に対しての日本語による学習支援や、ブラジルに関する文化交流などを行っています。
 HP:http://www.tufs.ac.jp/st/club/amigos06/

▼GIRASOL
 2007年、スペイン語専攻の学生で立ち上げた国際協力系サークル、ラテンアメリカの会GIRASOL(ヒラソル)。 今回は、外大フットサル部TUFSALとの協力し6月24日(水)・25日(木)に行った「チャリティフットサル大会」についてスペイン語専攻前島くんにお話を伺いました。

田中:フットサルでチャリティとはどういうことでしょか。
前島さん:参加者1人につき300円の参加費をもらい、集まったお金をNPO法人フリー・ザ・チルドレン・ジャパンに寄付しました。会場に設置した募金箱もあわせ、寄付金はすべてエクアドルの子どもたちの教育支援に使われるんですよ。

田中:外大内の他サークルとの共催というGIRASOL初の試みですが、今後もこういう企画を考えていますか。
前島さん:今回は初めての開催にも関わらず約50名の方に参加してもらうことができました。一見ただフットサルをやっているだけですが、参加してスポーツをすることがチャリティにつながる。TUFSALのメンバーも、今後は年2回やっている大会のうち、1回はチャリティにしてみようかなと話してくれました。GIRASOLが入ることでスポーツイベントにチャリティの要素を加えることができるので、そういう意味ではこれから、バスケットバドミントンなど色々な体育会系サークルとのコラボレーションが可能ありますね!

-現場支援や出張ワークショップだけでなく、外大内でも新たなチャレンジを続けるGIRASOL。後期もクリエイティブな新しい活動が楽しみですね。

GIRASOLオフィシャルブログもぜひチェックしてみて下さい。
http://ameblo.jp/latinoamerica-girasol


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■支援室インタビュー
今回は、7月26日(日)に開催された「グロセミ」こと、高校生のための国際理解セミナーにて午後の部リーダーを務めたモンゴル語専攻の木戸さんに翌日インタビューしました。学生スタッフ、高校生を見事にまとめあげ一体感を作り上げた木戸さんの熱い想いは必読です。


田中:グロセミから一晩明けましたが、改めてセミナーのビデオを見てどうですか。
木戸さん:既に懐かしいというか、ちょっと寂しい気持ちですね。

田中:当日はどんな気持ちで進行していましたか。
木戸さん:緊張して笑ってしまうくらいでしたが、一方2ヶ月間皆でやってきたので安心感もありましたね。

田中:セミナー前後で高校生へのイメージは変わりましたか。
木戸さん:もともと、イメージというのは持っていませんでした。自分が高校生の時は、自分のことでいっぱいいっぱいだったのに、皆高校生とは思えないほどしっかりしていました。

田中:中でも印象に残った高校生のコメントはありましたか。
木戸さん:「共に生きるを考えることで、自分を考える機会になった」という感想ですね。グロセミまでの約2ヶ月間、何を伝えるか、学生一人一人伝えたいことは違うのに
何かを伝えようとするのは良いことなのか悩みました。その過程では一時、「共に生きるを考える=自分を知る」っていうのがあったんですが、結局やめてしまって。それでもこういう感想が出てきたことに驚きと繋がりを感じました。

田中:学生スタッフの人数の多さとテーマの深さでリーダーとしてプレッシャーがあったと思います。
木戸さん:プレッシャーというより、当初は自分に向いてないと感じてましたね。緊張する反面わくわくもありました。今回は2年生が中心だったので、お互いその日その日
のコンディションを感じ取ったりたくさん悩んできました。

田中:いざ役割を終えてみて・・
木戸さん:今思うのはとにかく、皆のおかげ。支援室のスタッフさん、学生スタッフ皆がいたからこそ出来たのだと。自分でやったとは思えない気持ちでいっぱいです。とにかく「感謝」。その一言です。

田中:最後に木戸さんにとってグロセミとは?
木戸さん:「次への一歩」、ですね。自分より大きなものに対し責任をもつという初めての経験でした。今まで同い年の子からも妹のような存在に見られ、それに甘えている自分がいて。そういう意味で、自分の壁を越えたという実感がありますね!

-約2ヶ月に渡り、悩んだり葛藤を抱えながらも見事にリーダーを努め上げた木戸さん。
数多くの下級生と上級生をバランスよくまとめ上げることのプレッシャーが多きかったことと思います。
この経験をもとに、さらなる次に一歩を踏み出せそうですね!

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■学生の視点から-番外編ー
今回は番外編と題し、高校生のための国際理解セミナーに参加した現役高校生からの
感想を紹介します。

○人と人が「共生」することは、人と受け入れる必要があり、それは自分の新年・考え方
を少し曲げることなので、簡単ではないが、通じ合ったときには楽しいし、嬉しいので
これからも頑張っていきたいと思った。
-高校2年生

○普段自分が漠然と考えていることをゲームやディスカッションで明らかにできたし、
新たな発見やものの見方ができました。物事の本質が少し見えた気がします。
自分で考えているとどんどん深みにはまってどうしようもないことを人と話合ったことでふと別の考え方が出てきて抜け出せたり、こんな側面もあったんだと思えたり心が少し楽になりました。
-高校3年生


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編集者より

高校生のための国際理解セミナーに私も学生スタッフとして参加しました。
気づけばもう3回目の「グロセミ」参加。
毎回、議論に餓えた高校生たちの熱い思いや素直な言葉に刺激を受けます。
高校生と大学生、年齢も普段勉強していることも違う人たちが一つのテーマを
上下作用色んな角度から眺めて、頭をフル回転させる。
この熱い経験こそがグロセミの魅力なんだなと感じます。

グロセミは高校生にとってだけでなく、大学生にとっても大きな出会いと学びの場。
一日のセミナーをきっかけに、高校生も大学生も皆それぞれ新たなNEXT ONEに
繋げていけたらいいなと感じました。


ロシア語専攻 田中

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このメールマガジンに関する御意見、もしくは支援室の活動に関連して、学生にとって
有益な情報がございましたら、t-shien@tufs.ac.jp(支援室代表)までメールにてご連絡
いただければ幸いです。

多文化コミュニティ教育支援室は2012年の東京外国語大学の改組にあわせ、 より広いボランティア活動をサポートするためのボランティア活動スペースとなりました。
(本サイトはアーカイブとして公開を続けています)