メールマガジン43号

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【多文化コミュニティ教育支援室メールマガジン】

       第43号2009年6月30日

        文責:田中
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学生ボランティアの皆さん

ここ最近、30度前後の続きいよいよ夏が近づいてた!という感じですね。
逗子海岸は例年より早い海開きを迎えたそうですよ。
皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

さて、多文化コミュニティ教育支援室メールマガジンの第43号をお届けします。
このメールマガジンは、月に一度のペースで配信し、支援室の活動内容等を
お伝えするものです。

<注目トピック>
!募集中!
★留学生と日本人学生の交流会 参加者募集!

日時:7月24日(金) 12:20~14:30
場所:留学生日本語教育センター 交流室
内容:留学生と日本人学生の交流
    ・留学生による自国・地域の伝統文化の紹介、発表
     → 発表国・地域は、ネパール、ノルウェー、台湾
    ・留学生の用意した自国・地域のお茶とお菓子を食べながら交流

参加について:募集する参加者は、以下の2つに分けられます。
          
①当日参加者(定員:約50名)
当日飛び込みでの参加もできますが、事前に参加することがわかっている人は、
人数の把握をしておきたいと思います。参加したい方は、下記の連絡先までお知らせ
ください。

②当日参加+事前準備などを手伝ってくださる方(計10名程度)
当日発表を行う留学生のサポートをしてくださる方を募集します。サポートとして、
事前のお菓子作りの手伝いや、当日の会場のセッティングなどをお願いする予定です。
(↑ 日程については、都合のつく範囲で調整します。)
また、ノルウェーの留学生が発表を行うとき、英語通訳ができる方を募集します。
    

★スタディ・ツアーBコース(新宿区大久保) Cコース(川崎市桜本地区)
及びツアー座談会が実施されました!

Bコース:6月6日(土)新宿区大久保 10時~16時頃

 韓国、朝鮮、中国、タイ、ミャンマー、ベトナム、マレーシアなどのレストランや雑貨店が並ぶ、多文化の街大久保。在籍児童の6割以上が外国につながりをもつ大久保小学校を訪ね、日本語国際学級の先生の案内で街を歩き実際に大久保で子育てを経験した保護者の方から「外国人の子育て」というテーマでお話を伺いました。自分たちだけでは気づかない生活の場としての大久保に気づき、
参加者の学生にとって発見の多い一日となりました。

支援室HP関連記事でツアーの写真が見れます:
/blog/ts/g/cemmer_mclsc/2009/06/06185003.html


Cコース:6月13日(土)川崎市桜本地区 9時30分~18時30頃

 第二次世界大戦前からの歴史をもつ、在日韓国・朝鮮人集住地域。近年は、南米やフィリピンからのニューカマーの人々も暮らしています。
ツアーでは川崎朝鮮初級学校の校長先生や、過去20年間にわたって“共に生きる”まちづくりの核となってきた川崎市ふれあい館の館長さんにお話を伺った他、街歩きを案内して頂いたり外国につながりを持つ園児が多く在籍する桜本保育園も訪問しました。参加した学生たちにとって「共に生きる」という言葉の意味を改めて
考える一日となりました。

座談会:6月19日(金)14:50~16:20  研究講義棟222教室

4月と6月に実施されたA~C、3つのコースのスタディ・ツアー(A:横浜中華街 B:新宿区大久保 C:川崎市桜本地区)それぞれに参加学した学生が一同に集まり振り返りを行いました。昨年度のツアーのリピーターはもちろん、今年は1年生の参加率も高く、中には全コースに参加した学生もいました。

座談会で出た感想(一部抜粋):
・以前は在日韓国朝鮮人の方や、華僑の方は日本に対しあまり良くない感情を持っているのではないか、距離を置いて接するべきだと思っていた。しかしツアーで実際に直接会って話したことで、自分の中で壁が無くなったのを感じた。

・全コースに参加した。お話を伺った方全ての人から「一緒に生きたい、生きよう」というメッセージを感じ取れた。マイノリティの問題はマジョリティにとっても問題だということを再認識した。

・異文化、他者を完璧に理解するということは難しいと思う。実際に人と出会い、その人を知り、疑問を持つ。そして想像してみるというプロセスが大切なのではないか。

※※※※ これからの活動予定と報告 ※※※※

■学習支援活動
*進行中・報告*
▼府中市学習支援ボランティア
 学生たちが府中市の小中学校に出向き、外国につながる子どもたちに日本語を教えたり、学校の勉強をサポートしたりしています。今回は小学校で支援を始めたペルシア語専攻松村さんにインタビューしました。

田中:先月参加した国際理解教育・学習支援活動入門講座 をきっかけに学習支援を始めたそうですね。
松村さん:はい。入門講座で「ペルシア語母語の子の支援を募集している」と聞いたのがきっかけでした。現在は府中市内の小学校で週1回、授業に付き添うという形で勉強のお手伝いをしています。

田中:ペルシア語を学び始めたばかりで支援をすることに不安はありましたか。
松村さん:最初は不安でしたが、自分の専攻語に関係なく支援をしている学生の方もたくさんいると聞いて安心しました。これから、支援室スタッフの和田さんや河北先生とも相談しつつ、より良いサポートを出来るようにしていきたいですね。

田中:これから学習支援を始めてみようかなと思っている1年生の方にメッセージをお願いします。
松村さん:学習支援を通して新たな人との出会いがきっとあるはずです。何より子どもが可愛いですよ!

▼川崎市ふれあい館
 スタディ・ツアーCコースでも訪問した川崎市桜本地区にある、ふれあい館では毎週木曜日の夜と土曜日の昼間に学生たちが学習支援活動を行っています。
今回は、昨年5月にAdd-on Proglamの授業の実習をきっかけに現在もボランティアに通っているスペイン語専攻の堀さんにお話を伺いました。

田中:現在どんな活動をしていますか。
堀さん:私は現在、月2回、フィリピンから来た16歳の女の子と一緒に勉強しています。3月に日本に来たばかりなので、日本語の学習が中心ですね。私自身、大学で日本語教育についても学んでいるのでそれを実践するという面白みもあります。

田中:現在支援に通っている学生の大半が後期から留学・休学してしまうということですが・・。
堀さん:そうなんです。特別なスキルが必要というわけではないので、ぜひ硬く構えずに気軽に始めてみてください!

ふれあい館HPはこちら:http://www.seikyu-sha.com/fureai/




▼府中国際交流サロン
 毎週金曜日夕方に行われている府中サロン。このところ、勉強と遊びのメリハリが
課題になっていましたが5月中旬からは机の配置を変えてみたり、遊びを含めた自由
時間を設ける小中学生の交流を図るなど新たな工夫を試みています。

▼川崎市での学習支援
 現在、中国語母語の児童生徒1名に対して、1名の学生が学習支援をしています。

▼足立区での学習支援
 足立区の2つの小学校で、ウルドゥー語を母語とする児童1名とビルマ語母語
の児童1名の支援を継続中です。


■国際理解教育
*進行中*
★高校生のための国際理解セミナー
 7月26日(日) (オープンキャンパス翌日)に本学にて、全国に参加を呼びかけた高校生を対象に国際理解セミナーを行います。セミナーは大きく分けて午前が「文化とアイデンティティ」、午後が「ともに生きる」をテーマをしたワークショップ形式を予定してます。現在、学部1年生~4年生、大学院生を含めた24名の学生が午前と午後の2つの班に分かれ、毎週ミーティングを重ねて準備を進めています。

*進行中*
★多言語・多文化劇プロジェクト
 スペイン語専攻の中村さんを中心に、今年の外語祭での「多言語・多文化劇」上演の
企画が進行中です。毎週ミーティングを進め、脚本・会計・広報といった具体的な役職が決まりました。
過去の語劇の作品を観たり、関連資料を集めるなどして、現在脚本制作が進行中です。

■その他の活動
▼うりぬり
 朝鮮語専攻の学生と、韓国の留学生が中心となって活動している団体で、主に小中学校での文化交流や日韓の学生間交流を行っています。現在夏休みの合宿を計画中です。

▼Amigos
 ポルトガル語専攻の学生が中心となって活動している団体で、地域の外国人児童生徒に対しての日本語による学習支援や、ブラジルに関する文化交流などを行っています。
 HP:http://www.tufs.ac.jp/st/club/amigos06/

▼GIRASOL
2007年、スペイン語専攻の学生で立ち上げた国際協力系サークル、ラテンアメリカの会GIRASOL(ヒラソル)。6月19日(金)に東京都町田市立真光寺中学校の「国際交流の日」というイベントで多文化共生をテーマにワークショップを行ってきました。
今回はその時の様子をスペイン語専攻の増岡さんに伺いました。

田中:どんなワークショップを行ったのでしょうか。
増岡さん:2年生の生徒約40人を対象に、「日本の中の外国、世界の中の日本」をテーマに日系人を題材にして自分なりの多文化共生を考えてもらおうという趣旨で行いました。具体的には、人型に「自分成分表」を書き込んでの自己紹介、メキシコでの七夕の様子など写真の一部を隠して推測するフォトランゲージ、日系ブラジル人の10代の女の子が撮ったビデオを見てのディスカッションを行いました。

田中:特に生徒の手応えを感じられたのはどんなところですか。
増岡さん:ディスカッションの際にビデオの女の子、ルマちゃんの「自分成分表」を班ごとに作ってもらったのですが心臓はブラジル他はすべて日本、頭だけ日本・・など、各班の個性が出て面白かったですね。中には「国籍なんて関係ないなんて綺麗ごとじゃないのか」と考えた生徒もいて、驚きました。

田中:逆に大変だったところは。
増岡さん:まずは企画内容を2週間前に大幅に変更したことです。当初の内容には一貫性やGIRASOLらしさがいまひとつ感じられなかったんです。ですが、5月末にGIRASOLスタディ・ツアーと題して行った横浜のJICA移住資料館で「写真」や「日系人」というヒントを得て、そこから今回の内容が生まれました。

田中:今回の活動の増岡さん自身の満足度はどれくらいですか?
増岡さん:60~70%ぐらい・・ですかね。ディスカッションの盛り上げ方をもう少し工夫すればよかったかなと。ですが、内容に一貫性がありましたし何よりGIRASOLの今回担当した4人のチームワークはばっちりでした!生徒の皆さんには日系人が何なのかは分からなくても「いる」という事実は伝えられたと思います。次は参加者全員に本当に楽しんでもらえる、そんなワークショップを作りたいですね!

-最近では日本ペルー共生協会とも協力し学習支援も始め、少人数とは思えない活動の幅を広げるGIRASOL。
 今後も活躍が楽しみですね!オフィシャルブログを開設したとのことなので、ぜひそちらもチェックしてみて下さい。
http://ameblo.jp/latinoamerica-girasol

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■支援室インタビュー
今回は、来月29日に開催される高校生のための国際理解セミナー(通称グローバルセミナー、略してグロセミ)にて午前の部リーダーを務めるカンボジア語専攻の菅野さんにインタビューしました。
菅野さんがグロセミに懸ける熱い思いとは!?

田中:まず最初に支援室の活動を始めたきっかけを教えてください。
菅野さん:昨年の春、新入生オリエンテーションでAdd-on Proglamの説明会で、自分と同じカンボジア語専攻の柴本さんの学習支援の体験談を聞いたのがきっかけでした。それまでは「カンボジア=国際協力」というイメージが強かったのですが、今すぐここで出来ることがある、ならばそれをしようと思い活動を始めました。

田中:それで、早速学習支援活動を始めたんですね。
菅野さん:はい。1年生の4月から約1年間、府中サロンで韓国から来た小学生の女の子をサポートしました。現在はサロンとは別のところで、カンボジアから来た高校生のサポートもしています。

田中:小学生と高校生だと、サポートの仕方にも大分違いがあると思いますが、苦労した点はありますか。
菅野さん:小学生の支援を始めた頃は相手が日本語での会話が予想以上に上手で、「私の役割は何だろう」と戸惑いましたね。でも徐々に慣れていきました。今サポートしている高校生の子とは、国語の先生とも協力して今年の冬に日本語能力試験2級を受けようという目標を立てています。彼のクラスの雰囲気もとてもよく、9月の文化祭ではカンボジアを取り入れた出し物をしようとクラスメイトの子が提案してくれていて嬉しいですね。

田中:学習支援をする傍ら、今回グロセミの企画に参加しようと思ったのはどうしてですか。
菅野さん:周りの2年生の友人が国際理解教育をやっているのに、自分は学習支援のみしかやってきておらず「もったいない!」と思ったのが大きいですね。一歩踏み出してみよう、そう思って飛び込みました。

田中:実際、「文化とアイデンティティ」がテーマの午前の部のリーダーとして動いてみてどうですか。
菅野さん:まず、私の中で、「1年生の学生スタッフを主体的に動かそう」というのがあって。私自身も初めての国際理解教育で1年生なんですが(笑)でも、この1年ちょっとの間で培ってきたものは大きいと思うんです。そういう意味でも、この企画は1年生にとっての方が上級生よりも、より大きな意義を持つだろうと感じるので、1年生が積極的になれる雰囲気を作れるようにしています。

田中:参加する高校生に向けて「こんなグロセミにしたい!」というイメージはありますか。
菅野さん:高校生にとっては大学生と話すというだけでも大きな刺激で、どうしても「やっぱり大学生はすごいなぁ」となってしまうと思うんです。そうではなくて、大学生を一緒に考えてくれる存在と思ってもらえるようにしたいですね。

田中:最後に菅野さんのモットーを教えてください!
菅野さん:「自分が努力したことに、たとえ本当に意味がなかったとしても、意味がなかったと思うのは愚かなこと」。高校時代、友人からもらった大切な言葉で今も励みにしています。あとは、基本的に「生き恥をさらす」。こう考えて生きてますね。何をやっても後々後悔はするし、恥ずかしくなると思うので、ならば最初から開き直ってしまおうじゃないか、と。「やったもんがち」みたいな感じですね!「忙しい」「自分に条件の合うボランティアがない」そう思ってなかなか活動を始められない方も多いと思います。でも、何か思い切って一つ始めてみれば案外時間なんて出来るものですよ!
ぜひ生き恥をさらしてみてください。

―支援室の活動以外にも、週4日の喫茶店のアルバイト、日本カンボジア学生会議での活動もこなす菅野さん。
 「他人の企画に乗っかるなら、自分たちで計画しよう」と夏休みにカンボジア旅行も計画中だとか。
 自分なりのスタイルを持つ菅野さんの言葉からは芯の強さが感じられる一方、だじゃれを挟む茶目っ気も。思わず付いていきたくなる、そんな素敵なリーダーでした。

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■学生の視点から

▼支援室の活動体験者の声
 スタディ・ツアーBコース(新宿区大久保)に参加して
                     英語専攻 香川

 今回、初めて支援室の活動に参加し、大久保の街を実際に歩き、現場の声を聞くことで、新しい考えを持つことができました。新宿区は人口の約10%が外国人ですが、アジアから来た人が多いため、一見日本人と見分けがつかないこともあります。ですが街を歩くと韓国語、中国語をはじめ、様々な言語が聞こえきましたし、
外国料理店、多言語表示された看板の数の多いことに驚きました。

 この日に聞いたお話の中で、もっとも印象的だったのは、外国人生徒に対する教育は、ただ日本語をできるようにするだけでなく、自分の祖国とまったく異なった文化の中で、人格、アイデンティティを形成する助けをする、ということです。実際に見せて頂いた、日本語国際学級で学ぶ子どもたちが書いた日記や詩には彼らが自国と
日本の間でさまよう葛藤が表現されていて、言葉の問題以上に大きな問題が存在しているということがよく分かりました。 
 国際化や多文化共生いう言葉をよく使いますが、国際交流会のように一時的に異文化に触れることと、現実に異文化と隣り合わせに生活することには大きな差があるということを今回のツアーを通し体感することができました。

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編集者より
このメールマガジン作成のために、毎月様々な方に取材に協力をして頂いています。
初めて会う方はもちろん、前からの顔見知りであっても、インタビューをする中で
「この人今こんなことに力を入れてるんだ!」「こんなこと考えてたんだ!」など毎回必ず
新しい魅力を発見することができます。
特にその人が普段は見せないような「熱い想い」に少しでも触れることが出来たかなと感じる時、メルマガを担当していて良かったと一番強く思います。

皆さんあってのこのメールマガジン。
まだまだ力不足な筆者ですが今後ともよろしくお願いします。
次はあなたのところへ取材に行くかもしれません!

ロシア語専攻 田中

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このメールマガジンに関する御意見、もしくは支援室の活動に関連して、学生にとって
有益な情報がございましたら、t-shien@tufs.ac.jp(支援室代表)までメールにてご連絡
いただければ幸いです。

多文化コミュニティ教育支援室は2012年の東京外国語大学の改組にあわせ、 より広いボランティア活動をサポートするためのボランティア活動スペースとなりました。
(本サイトはアーカイブとして公開を続けています)