メールマガジン第11号

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 【多文化コミュニティ教育支援室メールマガジン】
    学生の声特集           第11号 2006年4月4日
                          文責:猪狩 伸平
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多文化コミュニティ支援ボランティアのみなさま:
 多文化コミュニティ教育支援室メールマガジンの第11号を送信いたします。こ
のメールマガジンは月に一度のペースで配信し、支援室の活動内容等をお伝えするも
のです。今回はこれまでの活動に関わってくださった学生からの声を集約し、実際に
多文化コミュニティ教育支援室に集う学生がどのような思いで活動を行なっているか
をお伝えします。そのなかでも特に、多くの学生が参加してくれた国際理解教育の現
場からの声をお届けします。

???????国際理解教育ボランティアについて??????-
国際理解教育ボランティアは本学の学生や留学生がチームを組んで小・中学校へ出向
き、総合的学習の授業時間等を使って学生の勉強している地域や留学生の故郷の文化
の紹介するものです。学生らが今までの授業や、留学などを通して経験してきた事を
伝えたいという気持ちと総合的学習の時間を利用して子どもたちにもっと広い世界を
知って学んでもらいたいという小・中学校の思いが合致して行われることになりまし
た。昨年度に引き続き、今年度もさらに実践を重ねていく予定です。

????-本学学生が国際理解教育に参加した学校一覧????-

◆府中市立第七中学校
◆府中市立小柳小学校
◆川崎菅中学校
◆川崎東柿生小学校
◆狛江市立狛江第一小学校
◆新宿区立大久保小学校
▼川崎市京町小学校(学童保育)
▼品川区立杜松小学校(学童保育)

▼学生の視点から
■「国際理解とは何か」
日本語専攻 森本 舞さん
国際理解とは何か。答えは一通りではないが、私の思う国際理解は、違う国の人の立
場や気持ちをわかることである。
 まず「国際」について考えたい。国を構成しているのは土地と人である。人が国に
付随する歴史、文化、政治などを作っている。また国土も自然にあったものではなく
人が決めたものだ。つまり国においてもっとも重要なのは人であり、国を理解するた
めには人に目を向ける必要があるのだ。
 次に「理解」についてである。理解ということばには、単に情報を得るだけではな
い深みがある。それは経験をもとに機能的に何かを見いだすことであろう。こうして
たどりついた結論は経験を積みかさねる度に考えなおされ、改められる。
 私の考える国際理解は、これができたら国際理解だというゴールがあるのではな
く、自分の中に変化を起こしつづけてゆく、いわば終わりなき旅なのである。
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■「コーディネーターのすすめ。活動に興味を持っているみなさんへのメッセージ」

ロシア語専攻 飛田美由紀さん
小柳小学校のコーディネーターを務めた飛田美由紀です。留学生の丁さんと一緒に
コーディネーターをして、参加者も23名と大勢いてとても楽しかったです。私はボ
ランティア経験が全くなく、不安は多々ありましたが、熱意を持って取り組んでいけ
ば、そして分からないことは相談して進めれば、絶対できる!と最終的には感じまし
た。コーディネーターは常に学校と参加者の間に立っているので、私は全体を見通す
力が付きました。また、とりまとめをするだけではなく、チームメンバーの一員とし
ても参加して、他の参加者よりも活動を2倍楽しめて得をした気分でした!そして、
参加者はもちろん、支援室スタッフの方や他のボランティアのコーディネーターさん
とも仲良くなれました!このようにコーディネーターになるとイイ事がたくさんあり
ます☆初心者の私にもできたので、やったことない人はぜひ思い切ってコーディネー
ターをやってみましょう!!
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■「国際理解『教育』とは」
 大学院地域研究コース 猪狩伸平
「なぜ、外語大生が小学校や中学校で授業をするんだろう。そもそも、国際理解教
育って何?」そんな事を疑問に感じている方、多いのではないでしょうか。同じよう
な疑問を持ちながら僕自身もスタートしました。そして、1年間、東柿生小学校とい
う小学校で実践に携わってきたことから気が付いた事は、外語大生だからこそできる
実践があるという事です。小学生にとって、まだまだ外国のイメージはつかみにくい
ものです。そこに、実際にその国や地域へ出かけ、そこに住む人々との交流を持った
経験がある人間やまたそういった事がしたいと考えている外語大生が出向いて生き生
きとした話をする。実践に参加する学生たちの意気込みが、国際理解教育を単なる国
紹介ではない、その地域に住む人々の姿や習慣を浮かび上がらせる授業に発展してい
くのだなとこれまでの授業を通して実感しました。普段から、様々な国や地域の人々
と交流し、国と国との垣根が低い外語大生ならではの特徴が、この授業づくりに生き
ているではないかと感じます。
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▼留学生の視点から
■「実践に参加して」
日本語専攻 林花さん
今回の東柿生小学校での実践を通じて、「生の日本」を感じることができてとてもよ
かったと思いました。日常生活の中ではなかなか日本の子供たちと触れ合う機会がな
く、電車の中や町で見かけていた東京の高校生たちを日本のすべての子供に対するイ
メージとして思い込んでいたが、今回東柿生小学校の子供たちそして先生の方々と充
実な一日を過ごすことによって、自分の日本人に対する観点が変わり始めました。一
人ひとりの素直な笑顔は永遠忘れない思い出となるだろうと思いました。
自分から日本の小学生たちに自分の国について紹介するなかで、一気に中国の全てを
子供たちに伝えることができないことについて当たり前のことながら非常に残念に思
う一方、日本は中国に比べては大国ではないが、日本を知ることにも一つの何かに留
まらず、色々な地域の人々と交里鮃圓Δ海箸僚斗彑④鬚弔・鼎・兇犬泙靴拭・崚豕
イコール日本ではない」との言葉の意味について新たに認識を深めることができて幸
いでした。
日本の留学生活の中でまた一つの大切な思い出となる今回の実践についてもう一つ感
じたのは小学校の先生の方々でした。小学生は中学生や高校生とは違い、彼らには特
別な教育が必要であることが分かりました。小学生とうまく交流できることには、児
童の心を読んで上げられる能力が要るし、それには児童に対する愛を込めた思いやり
も大事だと感じました。今回、子供たちに伝えてあげようとした内容は、特別に小学
生たちのために考えたものではなかったため、恐らく、児童たちには受け入れられな
い部分も多かったのではないかと思いました。小学生たちが興味を持つような内容
を、彼らが理解し易い方法で工夫していたらもっとよかったのではないかと考えまし
た。例えば、説明ばかりではなくて、絵や音楽、そしてビデオなどを有効に組み合わ
せて利用することによって、児童たちの注意力を分散させないように、始終興味を
持って集中できるようにすることが望ましいことではないかと考えています。
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多文化コミュニティ教育支援室は、本学の学生が大学で学んでいる各国の言語や文化
に関する知識を活かしながら、日本で暮らしている外国人児童生徒に対する学習支援
ボランティア活動を大学としてサポートし、多言語多文化化しつつある地域社会が求
める人材の育成を目標としています。今回は、実際に活動に参加してくださった学
生、留学生の声をお届けしました。定期的に、このような学生の声を反映させたメー
ルマガジンも送信させていただきます。ご期待ください。

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 このメールマガジンに関する御意見、もしくは支援室の活動に関連して、学生
にとって有益な情報がございましたら、t-shien@tufs.ac.jp(支援室代表)まで
メールにてご連絡いただければ幸いです。

多文化コミュニティ教育支援室は2012年の東京外国語大学の改組にあわせ、 より広いボランティア活動をサポートするためのボランティア活動スペースとなりました。
(本サイトはアーカイブとして公開を続けています)