ひまわり学生運動二周年 小笠原 欣幸 二年前の今日(2014年3月18日),台湾の若者らによる国会占拠事件=「ひまわり学生運動」が始まった。彼ら彼女らは,この日から4月10日まで実に23日間立法院を占拠。王金平院長の裁定により一定の成果を勝ち取り,ゴミを拾って名誉ある撤退を果たした。この運動は政治の力に転化し,同年(2014年)11月の統一地方選挙での国民党大敗を導き,台湾政治の「地殻変動」を引き起こし,今年1月完全なる政権交代へと結実させた。近年の「台湾アイデンティティ」の興隆を象徴する出来事である。 世界の学生運動を見まわしてみても,これほどの成功をおさめた事例はない。実に多くの国で,学生・若者が国家権力に立ち向かい,蹴散らされ,弾圧され,殺された。学生運動の要求が権力者に認められること自体がまれであり,それが政治の力に転化して政治の構造を変えるというのは,まさに奇跡である。 1960年代末の日本の学生運動の惨めな結末,1980年代末の中国の学生運動の悲劇と比べてみても,この二年間の「ひまわり」の成果は傑出している。 多くの幸運が「ひまわり」を成功に導いた。特に,前年の2013年9月に馬英九vs王金平闘争が発生していなければ,あの王金平裁定もなかったはずで,結果は違っていたであろう。また,馬政権の第一期に発生したのであれば,あれほど多くの市民の支持を得られなかったであろう。馬英九が政権第二期に対中政策で前のめりになり多くの人が不安を感じていた時だったからこその支持の広がりであった。 多くの幸運があったとはいえ,それをつかんだのは台湾の若者だ。これから中国の圧力に直面し,先行きは楽観できない。運動および運動参加者には不十分なところがたくさんある。不足をあげつらうのは簡単であるが,率直に祝福したい。運動に参加した彼ら彼女らが台湾の民主政治をどのように発展させていくのか見守りたい。 (2016年3月18日 記) 《島嶼天光》 太陽花運動歌曲 (YouTube) |
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