日本語と韓国語の対照研究,
あるいは韓国語研究,韓国語教育の研究のために
日本への留学を目指す皆さんへ

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10 December 2002 【大学院 地域文化研究科 対照言文情報講座】

   Q:東京外国語大学はどのような大学か?

A:東京にある国立大学のうちの1つで,受験のいわゆる難関校の1つです.言語研究,地域研究などを中心に活発な研究がおこなわれています.外国語学部,大学院地域文化研究科,アジア・アフリカ言語文化研究所(AA研),留学生日本語教育センターなどから構成されています.

   Q:日本語研究をしたいが,東京外国語大学はどうか?

A:日本語研究は,学部では日本課程,大学院では日本専攻で行っています.東京外国語大学は,多くの教官を擁する,日本における日本語研究の中心の1つです.入学をお勧めします.

   Q:日本語と韓国語の対照研究をしたいが,東京外国語大学はどうか?

A:何をおいても,東京外国語大学で学ぶことを強くお勧めします.日本課程の日本語学専門の専任教官9名,日本課程以外の外国語学部や留学生日本語教育センターに所属する教官も日本語学関連の教官が大勢おります.また,韓国語学専門の専任教官は5名,韓国学全体では10名を擁し,海外で最大級です.規模とその陣容から見て,他の大学は決定的に不利でしょう.東京外国語大学の大学院地域文化研究科対照言文情報講座に所属する教官のもとで研究なさることを勧めます.

   Q:韓国語教育の研究をしたいが,東京外国語大学はどうか?

A:東京外国語大学を強くお勧めします.学部から大学院博士課程まで韓国語の専攻が揃っているのは東京外国語大学と大阪外国語大学しかありません.上と同様の理由から,東京外国語大学を強くお勧めします.

   Q:韓国語学の研究をしたいが,東京外国語大学はどうか?

A:韓国語学を韓国以外でしたいということであれば,上に述べた理由で,アメリカでもヨーロッパでもなく,東京外国語大学を強くお勧めします.

   Q:韓国語学を韓国ではなくて,東京外国語大学で研究する意義は?

A:まず,多くの言語の中の1つとして韓国語を対象化することができること,とりわけ,日本語と対照する中で韓国語から見えてくるものは大きいでしょう.また,韓国内での学問的な方法だけでなく,世界ではどのような方法が行われているかを身をもって学べること.一言で言って,<国語学としての韓国語学>ではなく,<言語学としての韓国語学>という観点から学ぶことができるでしょう.母語(native language)としての韓国語では,当然のこと,自明のことと思われていることが,他の言語と対照する中で,実は重要な言語学的問題であるというようなことがわかってきます.つまり,韓国語には未知の豊かな言語学的問題に満ち溢れていることがわかるのです.韓国語教育の現場から日々突きつけられる問いからも,韓国語学を東京外国語大学で研究する意義がわかるでしょう.

   Q:韓国語学や日韓対照言語学,韓国語教育を学ぶ学生はどのくらいいるのか?

A:大学院博士前期課程(いわゆる修士課程)では,8名,うち,5名が韓国からの留学生です.大学院博士後期課程(いわゆる博士課程)では,3名,うち,1名が韓国からの留学生です.いずれも極めて優秀です.以上は,韓国語専攻の教官を指導教官とする者で,このほかに日本課程の教官のもとで日韓対照言語学を学ぶ大学院生が,10−20名ほどでしょう.こちらはほとんどが韓国からの留学生です.

   Q:東京外国語大学の大学院で日韓対照研究などを学ぶ学生たちの水準は?

A:極めて優秀です.研究者の水準は論文に如実に現れます.たとえば,韓国語学の教官のもとで学ぶ,博士後期課程(いわゆる博士課程)に在学する学生は現在3名おりますが,すでに3名とも,韓国学に関する日本で最大の全国学会誌『朝鮮学報』に投稿しています.うち,2編はすでに審査を経て,刊行されています.『朝鮮学報』級の学会誌に論文が掲載されるのは,厳しい審査を経ますので,非常勤講師や専任の教官でさえ,実はそう簡単なものではありません.そうした難関を大学院生の時代に経ているわけですから,韓国語学,日韓対照研究の大学院生たちの,研究者としての優秀さがわかるでしょう.なお,最新の論文は,41ページ,28ページという,重厚で本格的な論考です.『朝鮮語研究1』には43ページにのぼる論考も掲載されています.博士前期課程(いわゆる修士課程)の学生たちも,全国学会で発表するなど,活発な研究活動を見せています.また,修士を終え,韓国のソウル大学国文科の博士課程に留学中の学生も,韓国の国語学会で発表するなど,優れた研究活動を行っています.これらの具体的なデータは次のページに記載されています:

http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/nomahideki/grdschool01.html

   Q:日本における東京外国語大学の韓国語研究,韓国語教育,日韓対照研究の位置は?

A:たとえば,全国的な学会誌『朝鮮学報』に,過去12年間に掲載された語学関連論文の43%は,東京外国語大学大学院のアジア第一言語専攻の出身者が書いています.無論,圧倒的な第1位で,他大学の大学院を圧倒するものだと言ってもよいでしょう.こうした事実一つをとってみても,少なくとも,韓国語研究,韓国語教育,日韓対照研究を目指すなら,修士課程であれば,東京外国語大学のアジア第一言語専攻で学ぶのが理想的だと言えるでしょう.なお,第2位を占めるのは,韓国の諸大学で,ソウル大学と延世大学となっています.第3位は京都大学ですが,残念ながら現在は,言語学専攻に韓国語学を専門とする方はおられません.

   Q:大学院を終えて就職状況はどうなっている?

A:これまで大学院博士前期課程(修士課程)を終えた韓国語学専攻の者は,13名います.うち8名は大学の専任教員(東京外国語大学,神田外語大学,二松学舎大学,法政大学,九州大学),1名は企業に就職しています.3名はソウル大学に留学中です.2名は大学などの非常勤講師を勤めています.

   Q:大学院の専攻はどうなっている?

A:大学院は,地域文化研究科という研究科の名称を持っています.大学院地域文化研究科は,まず博士前期課程(いわゆる修士課程)と,博士後期課程(いわゆる博士課程)に分かれます.前期は最低2年,後期は普通最低3年学びます.前期修了時には,修士論文を,後期では博士論文を書きます.前期課程,後期課程とも,それぞれ,言語文化コースと地域研究コースに分かれています.言語研究関連は全て言語文化コースです.なお,これらとは別に,言語関連では,国際コミュニケーションコース,日本語教育コースがありますが,これらは博士前期課程(いわゆる修士課程)のみのコースです.国際コミュニケーションコースは,通訳を養成する2年のコースで,言語研究者を養成する言語文化コースとはカリキュラムが全く異なる,別のコースです.現在のところ,国際コミュニケーションコースの授業は,対照言文情報講座の教官は担当していません.言語研究を目指す方は,言語文化コースを選択することになります.

   Q:博士前期課程(修士課程)の言語文化コースはどうなっている?

A:韓国語を専攻とする教官のもとで,韓国語学や日韓対照研究を学ぶ学生は,博士前期課程,即ち,いわゆる修士課程では,アジア第一言語専攻を選択します.そのうちの朝鮮語専攻となります.日本語を専攻とする教官の下で学ぶ学生は,日本専攻などを選択します.このホームページは韓国語と日韓対照言語学を専門とする教官のページですから,ここで学ぶ学生は,アジア第一言語専攻ということになります.

   Q:博士後期課程()博士課程)の言語文化コースはどうなっている?

A:博士後期課程の学生は全て地域文化専攻という名称になります.博士号は,言語学博士,文学博士等々となります.

   Q:対照言文情報講座とは?

A:「講座」とは,教官組織の名称で,「専攻」「コース」などは学生の履修コースの名称です.したがって,対照言文情報講座も教官組織の名称です.この対照言文情報講座に属する教官は,野間秀樹教授,伊藤英人助教授,南潤珍助教授の3名の教官です.対照言文情報講座は,大学院地域文化研究科に属する講座ですので,この3名は大学院所属の教官ということになります.それ以外の韓国語学の教官や,大学院の授業を担当している日本語学の教官は,外国語学部の言語・情報講座の所属になります.東京外国語大学の大学院所属の専任教官は8名,大学院連携講座所属の教官は6名で,大学院を担当するその他の百数十名の教官は,外国語学部所属と,AA研所属に別れます.外国語学部の中は,言語・情報講座,総合文化講座,地域国際講座の3つの講座に分かれます.

   Q:大学院の入試は難しいのか?

A:難しいと言えます.問題の具体例はホームページでも公開しています.過去に出題された問題を参考になされば,よいでしょう.

   Q:過去にはどんな問題が出題されたのか?

A:科目は3つです.(1)朝鮮語科目(韓国語).3時間.(2)言語学科目.1時間.(3)外国語.1時間.このうち,(2)では,一般言語学と一般音声学に関する基本的な知識が問われます.(3)の外国語科目は,韓国語母語話者の場合は,英語,ドイツ語,フランス語,中国語などから選択します.日本専攻では,日本語を外国語科目にすることができますが,アジア第一言語(韓国語)専攻では,日本語を外国語科目にすることはできませんので,日本語と韓国語だけできても入学できません.必ず,英語など,他の言語を学ぶ必要があります.(1)の朝鮮語科目の内容は,(a)日本語を韓国語に訳す問題,(b)韓国語を日本語に訳す問題,(c)中期朝鮮語(中世韓国語)に関する問題,(d)韓国語学に関する論述問題の4種類の問題が毎年出されています.ただし,これは過去の問題のことで,将来にわたって同様の問題が出題されるという保障はありません.

   Q:過去の問題はどこで見ることができる?

A:過去の問題は,入試課で借り出し,生協で複写することが可能です.郵便やメイルで申請することはできません.ホームページでも一部は公開しており,今後,さらに公開してゆく予定です.

大学院 博士前期課程(修士課程) アジア第一言語専攻 朝鮮語 2001年度 入試問題 [pdf 1734KB]

それでは,キャンパスでお会いしましょう!