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Viven solos

次の文を、主語を複数にして書き換えてください。

簡単ですね。 vosotros にすればいいのだから vivesvivís にし、 solo を主語に一致させて solos にすれば出来上がりです。

で、こういう問題をある日試験に出したところ、意外なことに

という答えが結構多かったのでした。 こちらとしては「君は一人で住んでるの?」から 「君達は君達だけで住んでるの?」に変えて欲しかったのですが、 「君達は一緒に住んでるの?」になってしまったわけです。 発想としては、「君達」は2人以上いるのだから「一人 (solo)」は おかしい、ということなのでしょう。 それは良く分かるし、vivís juntos 自体もスペイン語として 間違っているわけではないので、 この答えは○になりました。

まあ、この solos なんかは、 スペイン語をやっているうちに自然と身に付くことだろうとは思うのですが、 辞書などに指摘があれば、学習者に対して親切でしょう。 メジャーな西和辞典の中では、研究社 『新スペイン語辞典』 に「Cuando estemos solos, te contaré todo. 二人きりになったら全部話してあげる」 という例文が載っていますが、 他の辞書にもこういう配慮が欲しいところです。

仮に、「一人」が複数にならないという発想を転換しないと solos が出て来ないとすれば、 これはかなりの大仕事かも知れません。 しかし、本当のところを言えば solo は「一人」ではないのです。 スペイン語のノリとして solos が普通に言えるわけですから、 solo (solos) の基本的な意味は『新スペイン語辞典』 が言うように「…だけで」だと考えた方がすっきりします。 たまたま (と言っても頻度としてはこちらの方が多いでしょうが) 単数形で 出てくれば「その人だけで」→「一人で」と訳すのが適当だという話に 過ぎません。

さて、ここまでの話が分かったことを前提にちょっと混乱させるような ことを言います。 実は ¿Vivís solos? は「君達は一人で住んでるの?」とも訳せるのです (ちょっと苦しいかな?)。 つまり「君達は (みんな) 一人暮らし?」という意味になるんですね。 君達が君達だけで一緒に住んでいるのか、それぞれ一人で暮らしているのか、 その場の状況次第でどちらとも解釈できるので、 このスペイン語は、両義的、曖昧だということになります。 実際、このような曖昧さは solos に限った話ではなくて、 複数 (形) 全般に共通して見られる特徴なのですが、 これについてはまた日を改めてということにしましょう。 とりあえずは solo に複数形 solos があること、 複数形には2種類の解釈があることだけ確認しておきます。


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2001/08/08 (2000/03/06)

KAWAKAMI Shigenobu
kawakami.s@tufs.ac.jp