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*Más antes

授業で「もっと前に言ってくれてれば、、、」というのをスペイン語に 訳してもらうと *Si me lo hubieras dicho más antes... のような答えが出て来ることがあります。 これは Si me lo hubieras dicho antes... にすべきなのですが、 「前に」が antes なんだから「もっと前に」は *más antes だろうという 発想はよく分かりますね。

じゃあ、 スペイン語は日本語じゃないんだから 気をつけて antes には más をつけないようにしましょう、 で話を終りにしちゃってはもったいないので、 もうちょっと続けます。

そこで más がつくということは比較表現になるということだ、 という風に考えてみます。 例えば guapo vs. más guapo のペアを見てみると、 比較級になれば、比較の対象を伴うことができますが、 そうでなければ無理です。

それじゃ antes はどうか。 これはそのままで比較の対象を従えることができるのです。

つまり antes はこのままで既に比較表現なのだと考えることができそうです。 なら *más antes が変なのは *más mejor が変なのと同じだということになりますね。

antes は他にも比較級の表現と似たような振舞いを見せます。

もちろん antes と比較級の大きな違いは、前者に「原級」がないことです。 つまり、これは「比較表現」ではあっても「比較級」ではないということに なります。

なお、「今から2ヵ月前」の意味では dos meses antes ではなくて hace dos meses を使います。

また、más antes が実際のコミュニケーションの場で使われることは あるようですが、ここで問題にしたものとは少し性質の違う話なので、 扱わないことにします。


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2000/02/10

KAWAKAMI Shigenobu
kawakami.s@tufs.ac.jp