(「シェイダさんを救え!ニュースアップデイト」第32号より)2月1日金曜日、東京外国語大学(東京都府中市)にて、シェイダさんを囲んで討論 会企画が行われます。
1963年にテヘランで生まれたシェイダさんは、1979年に一中学生としてイラン革命に 参加。その後1981年のホメイニー体制の確立により、彼が参加していた政治組織は国内 で壊滅し、自身も弾圧の危険にさらされました。一方、彼が自分の性的指向を自覚した のも同じイラン革命のころ。イスラーム法の直接的な執行により、同性愛者とされた 人々が処刑されていった1980年代を、彼は同性愛者としてイランで生き抜き、そして1991 年に亡命への道を選びました。彼はいわばイラン現代史の生き証人ということができま す。また、彼は法務省入国管理局の強制収容所に1年7ヶ月間にわたって収容され、日 本の入管体制の過酷さについても実体験している、貴重な人であるといえます。
彼の目から、イラン革命は、そしてその後に確立したイランの現体制はどう見えたの か。同性愛者としてイランを生きるとは、また難民として日本を生きるとは、どういう ことなのか……。生の体験からつづられるシェイダさんの話に耳を傾けましょう。以 下、討論会企画の紹介です。
在日イラン人同性愛者
シェイダさんを囲んで
――イラン革命・同性愛者・難民をめぐって――●日時:2月1日(金) 18:00-20:30
●会場:東京外国語大学 府中キャンパス 海外事情研究所 (研究講義棟427教室)
(中央線武蔵境駅から西武多摩川線に乗換え、多磨駅下車約5分 (→案内)
●入場無料 どなたでもお越しください。日本で難民認定を求め、裁判を続けているシェイダさんをお招きして、現代イランの 政治的変遷と同性愛者の置かれた位置について語っていただき、ささやかな討論と交流 の場をもちたいと思います。イスラームと同性愛者について、在日外国人の状況やこの 国の難民・入管政策について、またアフガニスタンの状況について関心のある方も、ぜ ひお集まりください。
コーディネイターには、在日アフガン人難民問題 にも積極的な取り組みをしている,稲場雅紀さんをお迎えします。
■シェイダさん裁判について
イラン人のゲイ、シェイダさんは、同性愛者を死刑にする刑法をもつ祖国イランか ら、迫害を逃れて1991年に来日しました。その後、彼は欧米に拠点をもつ亡命イラン人 同性愛者の人権団体「ホーマン」の日本唯一の会員となり、1999年には、あるイベント で「私はゲイ。私の祖国はイラン。イランでは同性愛者は死刑になっています」 とカミングアウトしました。
彼はレズビアン・ゲイ映画祭や札幌のパレードなどに積極的に参加し、日本のレズビ アン・ゲイ・コミュニティとの交流を求めていきますが、2000年4月、オーバーステイ の容疑で逮捕され、入国管理局によって強制収容されてしまいます。難民申請も却下さ れ、ついに2000年7月、法務省は彼にイランへの強制送還を言い渡しました。 シェイダさんはそれを違法として、東京地方裁判所に提訴、「シェイダさん在留権裁 判」が始まりました。
詳しくは、チームS・シェイ ダさん救援グループ をご覧ください。
●コーディネイター: 稲場 雅紀 (チームS・シェイダさん救援グループ)
●司会: 浜 邦彦 (東京外国語大学非常勤講師)
●連絡先:TEL/FAX 03-3949-1969 / islands@mbe.nifty.com (浜)
【参考】 シェイダさんの手紙
アフガニスタンへの軍事攻撃は人間性への攻撃である人間性を犯されれば、私たちは怒るでしょう。人間性を奪い取られれば、私たちは泣くでしょう。人間性を殺されれば、私たちは叫ぶでしょう。人間性に対する爆撃がなされれば、私たちは書くでしょう。泣くために、怒りを叫ぶために、抗議の声を誰かの耳に届かせるために、そして、そうすることでほんのわずか自分を沈めるために、書くのです。書くことで、資本主義が毎年いくどとなく私たちに与える圧迫から逃れ、その圧迫の下で粉々にされ、抹消されてしまわぬようにするのです。しかし、いくら書いたところで、いくら叫んだところで、皆に助けてくれと呼びかけたところで、もはやアフガニスタンの子ども、女性、男性は戻ってはきません。この何年にも亘る悲劇の中で、様々な形で死なせてしまったすべてのアフガンの人々は戻ってきません。今なお、私たちは、繰り返すアフガニスタンの悲劇を生きているのです。
テロリズムへの抵抗という口実で行われたアフガニスタンへの攻撃は、中東におけるアメリカとそのヨーロッパの同盟国の拡大主義的、好戦的かつ、貪欲な政策の一環に他なりません。アフガニスタンの人々や、ターリバーンの反動分子からの彼らの解放、あるいはイスラーム原理主義のテロリズムとは何の関係もありません。
アメリカとそのヨーロッパ同盟国のアフガニスタンへの軍事侵略は、身を守る手だてのないイラクやユーゴスラビアの人々に対する野蛮な爆撃という結果になった、まさにあの政策の延長にあります。これからどんな悲劇的な結果が起きることか、誰の目にも明らかです。今、アフガニスタンを支配する反動分子を倒そうとしているまさにその手が、彼らにとって不吉で野蛮だという存在に、5年前、アフガニスタンの苦しむ人々の運命を支配させたのです。自身、世界最大の国家テロリストであるアメリカは、昨日まで現地での自分の同盟者だったターリバーンを打ち倒し、迫害を受けたアフガニスタンの人々に他の傀儡政権を押しつけようとしているのです。アメリカ、そのヨーロッパ同盟国、現地の反動分子は、23年前、イスラームの反動分子をアフガニスタンの人々に押しつけ、この地の人々、とりわけ女性達、少女達にとって、この国を廃墟、本当の意味での地獄に変えてしまったのです。
一切の疑いはありません。戦争とテロリズムは、資本主義内部での利益を巡る権力の抗争から生じるものです。この2つのものは、一般の人々とはなんの関わりもありません。アフガニスタンの人々が今のこの状況から解放されるためには、政党制による民主主義的な権利の保証、彼ら自身の手による国家の独立の獲得、他の先進国による国際的な協力、政治家や政党の献身が必要なのです。アフガニスタンに対する軍事攻撃は、まさにこの理由で、裁かれねばならないものです。
シェイダ
2001/10/19
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