基本的な球の取り方

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 一見、曲芸のように球を走らせて手球を2つの的球に当てるスリークッションだが、実はいくつかの基本的な取り方があり、多くの場合はそれらを応用したり組み合わせたりしている。

 裏回し・表回し 

裏回し
【図1】

表回し
【図2】

【裏回し・表回し】

 球が縦に配置されているときに、手球を第1的球に当てた後に横の長クッションに入れ、奥の短クッション、反対側の長クッションと3回入れて第2的球に当てる方法を「裏回し」と呼び(【図1】)、手球を第1的球に当てた後に向こう側の短クッションにまず入れて回す方法を「表回し」と呼ぶ(【図2】)。いわゆる「大回し(台をいっぱいに使って手球を走らせて取る取り方)」の1種である。表回しは手球が手前の第3クッションに入る前に第2的球に当たることがよくあるが、裏回しは手球が確実にクッションに3回入って第2的球に向かってくるので、実戦でも多用される取り方の1つである。
 裏回し・表回しは順ひねりを入れる場合が多い。すなわち、手球を右(時計回り)に回すときは右ひねり、左に回すときは左ひねりを入れる。ただし、表回しは球の配置によって、ノー=イングリッシュ(ひねりなし)で撞くことも少なくない。
 裏回し・表回しは、図のように、縦方向に見て2つの的球が短クッション方向に分かれて配置されているときに、しばしば利用される。特に第2的球がコーナー付近にある場合は、裏回しが多用される。
 裏回し・表回しで用いられるシステムとしては、裏回しのときはファイブ=アンド=ハーフ=システム、表回しのときはプラス=ツー=システムやセブン=システムがある。

 箱球 

箱球
【図3】箱球

 球が横に配置されているときに、手球を第1的球に当てた後に向こう側の長クッションに入れ、短クッション、手前の長クッションと3回入れて第2的球に当てる方法。裏回しとともに実戦で多用される基本的かつ重要な取り方の1つである。高点者になってくると、箱球を外すことはまずない。球の配置が全体的に回す方向の短クッションに近いものを「小箱」と呼び、逆に反対方向の短クッション方向に球が配置されているものを「長箱」とよぶことがある。
 裏回しと同じく、通常は回す方向にひねりを入れるが、配置によってノー=イングリッシュで撞くこともある。
 箱球で用いられるシステムとしては、ファイブ=アンド=ハーフ=システムがある他に、箱球用のシステムがある(名前は分からない…)。
 

 二重回し 

二重回し(裏回し)
【図4】

二重回し(表回し)
【図5】

二重回し(箱球)
【図6】

【二重回しのいろいろ】

 裏回し・表回し・箱球の手球をさらに走らせて、反対側のコーナーまでもって行き、第2的球を当てる取り方。台いっぱいに手球を走らせるダイナミックな取り方で、スリークッションの醍醐味の1つといえる。
 手球をクッションに多く入れる分、球の進路が不確実になりそうだが、第3クッションの出方で第5クッションがどこに入るか計算でほぼ求めることができるので、さほど困難な取り方ではない。ふつうは手球を回す方向にひねりを入れる。
 二重回しは通常の裏回しなどよりも長く手球を走らせなければならないので、撞き出しにある程度のパワーが必要となる。しかし、力まかせにがむしゃらに撞いても球は走らない。そこがスリークッションの難しいところでもある。球を走らせるのにふさわしい撞き出しでキューを出せば、ばかぢからを出して撞かなくても球がそれなりに走ってくれるのである。
 二重回しで用いられる主なシステムは、ファイブ=アンド=ハーフ=システムである。

 空クッション 

空クッション(大回し)
【図7】

テケテケと八の字
【図8】

アンブレラとダブルレール
【図9】

【空クッションのいろいろ】

 手球を直接的球に当てず、最初にクッションに入れてから的球に当てることを空クッションという。一般に、「空クッション」といったときは、【図7】のように手球を3回以上先にクッションに入れてから2つの的球に当てる場合を指すが、ここではクッションに1回あるいは2回入れて的球に当てる、いわゆる「先クッション」も併せて解説する。
 【図8】の(A)は「テケテケ」と呼ばれる取り方である。先にワンクッション入れてから的球に当て、同じクッションにもう一度入れてから向こう側のクッションに入れる。第1的球に当てる厚みが重要となる。(B)は「八の字」と呼ばれる。手球の動きが「8」の字だからである。やはり的球に当てる厚みが大切だが、テケテケより難しく、これを当てると拍手がもらえる。【図9】の(A)は「アンブレラ」と呼ばれる取り方で、手球の軌跡が傘のようなのでこの名がある。テケテケの1種だが、先にツークッションを入れなければならないので、ふつうのテケテケより難しい。やはり拍手がもらえる。(B)は「ダブルレール」という。第3クッションを第1クッションと同じクッションに戻す変則技で、手球の動きの意外性が楽しい。

 その他の取り方 

空クッション(大回し)
【図10】
バタバタ

テケテケと八の字
【図11】
切り返し

アンブレラとダブルレール
【図12】
三重回し

【さまざまな取り方】

 【図10】バタバタ。2つのクッションを行ったり来たりさせて当てる取り方。単純で分かりやすい取り方だが、見た目とは異なりひじょうに難しい。図は短クッションを用いず、長クッションだけを行ったり来たりする、いわゆる「空中バタバタ」と呼ばれるもので、難易度が高い。このほかに、的球が短クッションに近い場合、手球を短クッションに入れながらバタバタするとり方もあり、これは「はた織り」とも呼ばれる。
 【図11】切り返し。手球を的球に当てた後クッションに垂直に入れ、手球の方向を文字通り「切り返」して当てる取り方。図では台を縦に使った切り返しだが、これは「長線(ちょうせん)回し」とも呼ばれる。
 【図12】三重回し。二重回しよりも、もう半周多く手球を回して取る取り方。まさに「力技」である。回して取るのは、この三重回しが限界。


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