トビタくん留学日記

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アパートの鍵がへし折れて

2021.11.24 イタリア,イタリア語,ペルージャ外国人大学,派遣留学

アパートの鍵がへし折れて、帰れなくなった話。


チャオ。こんにちは。
僕は現在イタリアのペルージャにある、ペルージャ外国人大学に留学しています。半年間の滞在予定です。


11月も後半に差し掛かり、より一層冷え込んできた気がします。ここ最近のペルージャの日中の平均気温は13度といったところです。風邪などをひかないように、暖かくして過ごしたいものです。


本来だったら、滞在して2ヶ月の節目ということで、通い慣れてきたペルージャ外国人大学での留学生活について書く予定だったのですが、これまでの滞在でかなりショッキングな出来事があったため、留学日記として残しておこうと思いました。
タイトルにある通り、玄関の鍵がへし折れてアパートに帰れなくなる話です。


それは月曜日の放課後の出来事でした。
リビア人とベネズエラ人のクラスメイトと一緒に、町の外れにある大きめのスーパーマーケット(ペルージャ中心街には小規模のスーパーしかない)で各々の買い物を済ませた後、僕は借りているアパートに帰ってきました。
通りに面している狭い玄関を開け、階段を登ります。僕の住居は二階にあります。二階の踊り場にあるドアが僕のアパートの入り口です。

鍵穴に差し込んでいつものように2回ひねって解錠しようとしたその時、パキッと乾いた音がしました。

手応えがなくなった鍵は、先端がなくなっていました。

目を疑い鍵穴を調べると、先端は折れた断面をこちらに見せて、鍵穴に埋まっていました。

1.jpg2.jpg


え???

えぇ???

SNSでネタにされるような珍事件が、まさか自分の身に起こるとは!
とりあえず写真を撮って投稿しておきます。
笑い話で済ませたい気持ちと同時に、どうすればいいのか焦る気持ちが押し寄せてきます。

鍵穴に刺さったままの断面と、手元にある鍵の断面をピタリと合わせてみて、どうにか回せないか試してみましたが、ダメでした。
鍵穴から折れた鍵の先端を取り出せないか、指先でカリカリと掻いてみましたが無理そうでした。

そうこうしているうちに、SOSメッセージを送った日本人の大家さんから返信と着信がかかってきました。曰く、カギ屋(金物屋)に行ってみてはどうか、と。
買い物の荷物を踊り場に置き、カギ屋へ向かいます。


1軒目に訪れたカギ屋では、自分でなんとか状況を説明した後、大家さんから電話越しで店主と相談してもらったのですが、解決には至りませんでした。
というのも、折れた鍵のグリップ部分には複製防止の加工が施されていた上に、鍵の先端がないのではスペアキーを作れないということ。また、この時間から店を空けることは出来ないというのが主な理由でした。

2軒目に紹介されたのは、自分のアパートの近所のカギ屋でした。
同じように説明したり、電話越しに大家さんと話してもらったりすると、営業終了の19時半以降に対応するから、それまで待っていてくれと言われました。
なんと親切なカギ屋でしょう。やはり近所だからでしょうか。

さて、その時17時40分。予定の時間までだいぶ時間があります。
外はもうすでに日が落ちて暗くなっていました。
どこで時間を潰そうか、スマホの充電は20パーセントも無いな、心細い気分を払拭しようと何か食べることにしました。


以前授業の昼休みの時間に来たことがある、パニーノを売るお店に来ました。
ここでは、グラスワインも扱っていることを知っていました。
お昼からワインを飲むイタリア人を羨ましく思ったことです。

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コップになみなみ注がれた赤ワインを啜りながら、屋外で時間を潰す予定だったのですが、時間が経つほどに寒さを増し、気がつけばスマホの充電は限界を迎えていました。
アレンジされた「おジャ魔女カーニバル‼︎」の動画をみている場合ではなかったのです。


スマホの電池が切れたらどーしよ?(どーする?)

このまま外にいると連絡手段を断たれてしまうと悟り、アパートのドアの前に戻ってきました。ここからでも家のWi-Fiに接続できましたし、多少は寒さから守られた空間です。充電の消耗も緩和できることでしょう。

充電のこり1%のスマホを祈りながら操作して、友達を頼ることにしました。
幸い、放課後一緒に買い物にも行ったリビア人のクラスメイト、ウマルが僕の投稿を見てメッセージを送ってくれていたので、彼が頼みの綱です。


快諾してくれた彼の返信を確認し、彼のシェアハウスに向かいます。
スーパーで買った冷凍ピザは、彼への手土産にすることにしました。マルゲリータなので、イスラム教徒のウマルも問題なく食べられます。

今月に入って、彼が割と近所に引っ越してくれていて本当に助かりました。
地図アプリを開かなくても記憶を頼りに到着できました。
事情を説明し、スマホの充電器を貸してもらいます。あいにくウマルのスマホはアンドロイドだったため、彼と同じフロアに住む同居人にiPhoneのケーブルを貸してもらえないか頼み込みます。
完全に運任せでしたが、同居人のデンマーク人青年が貸してくれました。ありがとう。ありがとう。

ウマルはお湯を沸かして紅茶を用意してくれました。何もないけど、と言いつつお茶請けのパイの実的なお菓子も開けてくれました。ホスピタリティーに厚い男です。手ぶらで来なくて本当に良かった。


カギ屋で約束した時間まで1時間弱ありました。
それまで僕らは身の回りの出来事について話しました。ゲストハウスを探せるアプリで見つけた今のシェアハウスを、彼は大変気に入っているようでした。ウマル以外の同居人は二人とも静かだし、キッチンも広い。電気、水道代も込みの家賃は妥当な値段、などなど。
シェアハウスにお邪魔する機会も今までなかったために、話の内容も現実味を帯びています。

時間はあっという間に過ぎ、ウマルと別れます。
やはり待つべきものはウマルですね。
グラッツェ(ありがとう)、ウマル。

閉店時間の19時半にカギ屋の前に着きました。
カギ屋の店主は片付けと戸締りをした後、工具をいくつか持って店から出てきました。
僕のアパートまでは100メートルもありません。歩いてすぐに到着します。

折れた鍵の破片が刺さった鍵穴に、オイルをさし、専用の先端が細い工具やペンチを使うと、ものの数十秒で取り出せてしまいました。


すぐに店に戻り、スペアキーを2本作ってもらいます。
1件目のカギ屋でもそうでしたが、どうやら少し特殊な形状の鍵らしく(素人には何が特殊なのか区別できない)、スペアの鍵が見当たらないかもしれないと言われ一瞬戸惑いましたが、同じ規格の鍵が店にはありました。

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店主は手際よくスペアキーを作りながら「日本人か?」などと質問してきました。
中国人のコミュニティが比較的多いエリアにも関わらず、電話口での会話からそう思ったのだと教えてくれました。
僕の大家さんのことも見かけたことがある様子でした。
賃貸住宅や学生向けのアパートもペルージャにはたくさんあるので、管理人や大家の顧客はやはり多いのでしょう。


新しい鍵を受け取り、使えなかった場合はチラシに書いてある電話番号にすぐ連絡するように、と帰り際に言われました。ありがとうカギ屋さん。


5.jpg (開いた!)

新しい鍵の一本はちゃんと使えましたが、もう一本は鍵穴に刺してもどこかで詰まっている感触がして、使えませんでした。
あのカギ屋にはもう何回か通うことになりそうです。



おしまい。

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