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2014年1月 月次レポート(蔦原亮 スペイン)

1月 月次レポート
マドリード自治大学
蔦原亮

 今月20日から23日までの間にカスティージャ・イ・ラ・マンチャ大学で開催されたスペイン言語学会で研究発表を行った。規模・歴史ともにスペインで最も重要な学会の一つであるこの学会で本滞在を締めくくることができたことは僥倖であった。
 研究発表はスペイン語において、動詞から動作主名詞を派生する接辞-dorと-nteの共通点と差異に関するものであった。コーパス、Corpus del español (Davies 2002)から収集された、20世紀以降の-dor, -nteを含むすべての名詞の指示対象の使役性を分析し、極めて高い使役性を持つ-nte語、および、被動作主性の-dor語の生産性は極めて低いことを報告し、この点をもとに両接辞の差異を考察した。一方、意図性を欠く使役性を有する指示対象、使役性を持たない指示対象を持つ名詞の派生については制限がないという点も併せて報告した。
 今回の学会発表では事前に派遣先の情報言語学研究室、および派遣者の立ち上げた言語学専攻の大学院生の集まりで二度に渡ってリハーサルを行い、様々な有益な助言をいただいた。そうした助言のおかげで、問題点、結論、結論に至るまでのプロセスについて明確に話すことができたように思う。その結果、発表後の質疑応答、学会の外での「第二ラウンド」で内容の濃い議論を交わすことができた。第二ラウンドでは共同研究の打診も受けた。これは初めてのことで、望外の喜びであった。
 学会後は、発表準備のために全く手を付けられずにいた住居の掃除、荷造りとあいさつ回り、毎晩のお別れ会の合間を縫って学会でのフィードバックや問題点の改善のための検討を行い、そうする内に本滞在も終了となった。
 最後になりましたが、11年、12年に引き続き、スペイン滞在という素晴らしい機会を与えてくださり、さらには手厚くご支援をしてくださった先生方、OFIAS事務局の皆様には深く、お礼申し上げます。

 

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