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2014年1月 月次レポート(説田英香 ドイツ)

1月レポート
説田英香
派遣先: ドイツ連邦共和国

 1月は先月に引き続き、博士論文の第一章第二節および第三節の執筆を行った。その傍ら、毎週水曜日にはコロキウムに参加した。
 第一章では本論の前史にあたる、1960年代のドイツ連邦共和国(以下、ドイツ)における外国人雇用政策と外国人雇用の実態についてまとめた (第一章第一節については2013年12月レポートを参照)。第二節では特に、外国人労働者の滞在期間長期化そして家族呼び寄せが、ドイツ政府によってどのように認識され、これらの傾向に対してどのような対応がなされたのか、という点に着目した。70年代と比較して、1960年代には根本的な外国人(雇用)政策方針に関する表立った議論は行われず、政府によって明確な政策方針が提唱されることもなかった。その様な中、当時の連邦政府が外国人雇用をどのように位置づけ、どのような政策を想定していたのか、という点を、政府内での個別の議論から浮き彫りにした。第三節では主に、1966/67年不況期の外国人雇用においてみられた労働力需要調整と、それが与えた外国人政策の議論への影響について論じた。ここでは特に、失業と帰国の関係性に焦点を当てた。
 第二節と第三節の執筆にあたって、以下の先行研究および刊行史料を参照した: Karen Schönwälder: Einwanderung und ethnische Pluralität. Politische Entscheidungen und öffentliche Debatten in Großbritannien und der Bundesrepublik von den 1950er bis zu den 1970er Jahren, Essen 2001; Barbara Sonnenberger: Nationale Migrationspolitik und regionale Erfahrung. Die Anfänge der Arbeitsmigration in Südhessen 1955-1967, Darmstadt 2003; Bundesanstalt für Arbeit (Hg.): Anwerbung, Vermittlung, Beschäftigung. Ausländischer Arbeitnehmer - Erfahrungsbericht (1961-1970) 。
 1960年代における外国人労働者のドイツ社会への「統合」に関する議論や、外国人労働者の生活実態などについて、構成上の問題からまだ組み込めていない論点がいくつかあるが、第一章の大部分は完成している。当初、1972年の「アンカラ協定」を第一章で論じる予定であったが、内容および史料の観点から、第二章への移動を検討している。現在は、2013年11月に収集した史料の分析を行っている段階にあり、このテーマに関する執筆は2月に予定している。

以上

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